第三十話 過去の一部
過去の一部ですが、ここでも何が起こったのか分かりません。
ここは……またあの暗闇……
俺は……どうなった?
「……く…」
なんだ?
声?
「……くん!」
声が大きくなってくる……
「アイくん!」
「うわあ! ……紫?」
なんだか変な夢をみてたような気がする。
ここは、広場のベンチ。
周りは山が見える。山村?
隣には紫ちゃんがいる。
「まったく。今日はあなたの家であなたの10歳の誕生日会をやるのに、
主役がもう疲れて寝ちゃうってどうなのよ?」
「……ごめん……何か変な夢見てて……」
「どんな夢よ?」
「……何だっけ?」
「ハア、まったく。
それより、はやくアイの家行きましょっ!」
「わ、分かったよ」
機嫌が凄い良い紫と一緒に、うちに行く。
所々に見える、木造の古い家。
ここは、四方を山で囲まれ、第三次世界大戦どころか、第二次世界大戦も生き抜いた
とても古い山村。近頃、都市の周りは能力者とかいうので危険みたいだけど、ここはとっても平和だ。
その家々を見ながら歩いていく。
もう日が暮れそうだ。烏が遠くで鳴いている。
その中で、一層大きい家。僕の家だ。
今は、お父さん、お母さん、おばあちゃん、おじいちゃんと僕の五人暮らし。
それと、今日の僕のお誕生日会は、
紫の家の人たち(紫のお父さん、紫のお母さん、紫の弟、それに紫)が来る。
昔からうちと紫の家は仲が良いのだ。
家の中では、畳の上に大きい机があり、その上には、お母さん手作りの料理とケーキがある。
「わあ! すごい!」
そして、みんなが揃う。
「「「「「「「「お誕生日、おめでとう、アイ!」」」」」」」」
みんなが声をそろえて言う。
僕は手作りケーキの上にある十本のロウソクを吹き消す。
その後は、紫やみんなと喋りながら料理を食べた。
とっても嬉しかった。
僕の誕生日のためだけでもここまで祝ってくれるみんながいてくれて良かった。
……なのに、
「どうして、どうしてこんな事になっちゃったんだよっ!」
叫ぶ、が、それも炎の前では何も意味を成さない。
燃えている。さっきまでいた家が。
目の前には、何かによって切り裂かれた無残な死体。
もう誰が誰だかわからない、『六つ』の死体。
……六つ?
「紫っ! 明っ! どこ? どこにいるんだ?」
紫はさっきまでそこら辺にいた。
明は病弱だったけど来てくれたからここにいるはず。
すると後ろから何かに包まれた。
それは、紫の手だった。
「ごめんね……こんな事、嫌だよね。
大丈夫。私が何とかするから」
紫は僕の額に手を当てる。
すると何か暖かいものが入ってくる感じがする。
「大丈夫だから、アイくん。ずっと、私達、一緒だもんね?
神様、どうかアイくんだけでも助けてくれますように……」
その瞬間、僕の体から何かが抜け出す感触がして、なぜか眠くなってくる。
ボンヤリとした視界の中にいるのは、紫、その少し向こうにいる明。
その光景を見て、意識が途切れた。
「はっ!」
俺は起きた。辺りを見る。
そこは、薄暗い、砂煙漂うところで、隣には眠る紫がいる。
「夢か……」
どうやら意識を失っている間に夢を見ていたらしい。
自分の内側に目を向ける。
……能力が、体、脳、臓器など必要最低限血を供給しているらしい。
だが一時的なもの。もうすぐ大量出血で死ぬだろう。
紫はもう大丈夫なようだけど。
俺はなんとなく、瓦礫に向かって呟く。
「みんな、紫をはやく、光がある場所に。日常に戻してやってくれ……」
その言葉は、反響するが、何も起こることはなかった……。
……最近どんどん駄文になってきている。
その証拠に、日間ユニーク数が激減?してきている……。