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第二十八話 戦闘!対『HC-R3』ドライ

戦闘です。

くそ、体が熱い。

それで目が醒めた。

今までは、意識を失うなどして痛みはほとんど無かったが、

今回ばかりはそうもいかないようだ。

体から『生』が抜け出ていく感触。

今は熱いが、段々冷めていく体。

俺はそれと同時に湧き上がる激しい痛みに悶えていた。


致命傷を受けた時は、痛みはほとんど感じずに死ぬらしいが、

そんな事は無いようだ。

そんなことを考えていると、段々さっきまでぼやけていた視界がハッキリしてきた。


目の前には、戦闘をしている、同じ顔の人間。

だが違う点もある。

一つは圧倒的な戦闘能力の違い。

俺の知らない・・・・紫は、人間には到底できない動きを

いとも簡単にしている。

それに対して、紫はいくら訓練されているとは言えども、それが人間の上限。


そして二つ目の違い。

それは眼の光。

知らない紫は、まるで人形のように、光のない眼をしている。


「くそっ、今すぐ、行く、ぞ……紫……」


うまく言葉が紡げない。

それに気付いた紫。


「!? 動いちゃダメっ! アイ!」


「うるせえ…………ガハァっ!?」


俺の口から何か鉄の味がする赤い体液が出てくる。

……こりゃヤバイかもな……。


その時、その部屋全体に、声が響いた。

それは、知らない紫が発したもので、くしくもそれは、俺を庇ってくれる紫と同じ声だった。


「余所見をしていて良いのか? オリジナル・・・・・?」


そして、赤が舞い上がった。

それは、一瞬の出来事だった。

俺を少しでも気にかけてしまった紫の背後に迫った影は、紫の

肩の付け根を、文字通り『貫いた』。


「いっ、きゃああああ! あああ! 痛い! 痛い! あああ……」


その手?は俺の腹に風穴開けたのと同じ要領で、紫の右肩を貫き、そして千切った・・・・


俺の目の前に倒れる紫。

その様子は、いつもの上品で、優しい大人のものでは無かった。

ただの女の子。

そう。いくら部隊にいるからといっても、いくら大人びていても、まだ俺達と同じ中学生。


その子は、こちらを見る。


「痛いよ……アイ……」


その泣き顔は、俺の記憶と合わさった。

能力暴走時にフィードバックした俺のものらしき記憶。

その時見た、泣き顔。

それは紫そのものだった。


俺は、もう、この子を泣かせたくない。

この子が笑える世界を作る。

それが俺の夢であり目的。

例えこの身が朽ち果てようとも、俺は、この世界にちじょうを守る!


「……紫、俺が、守ってやるから。あの時できなかった事を」


「え……?」


「…………能力、『祖体制御マテリアルコントロール』発動。

イメージ、『再生』。対象、能力使用者の傷全て」


なぜかスラスラとでた単語。能力名。

そして能力発動する感触。

それと同時に戻っていく傷跡。


「いくぞ……」


するとその様子を見ていた知らない紫が言う。


「その能力は記録にありますが、まさか再生を任意で行えるようになるとは。

それと私の製造名は『HC-R3』。ドライと呼んでいただいて結構です」


「そうか。やっぱりお前はホムンクルス……しかも3体目。

そこまで進んでいるか……。

おい。お前はなんで紫と同じ容姿と声をしている?」


「その質問には答えられません。そうですね……もしこの戦闘で万が一あなたが勝つような事が

あれば、博士に回線を繋ぐようにしろと命令されているので。その時に」


「成る程、勝てば良いんだな……」


その瞬間、ドライは吹き飛んだ

否、俺が吹き飛ばした。

風を強い竜巻ほどでたたきつけたのだ。


しかし、空中で体勢を整えて壁に足を着くドライ。

その瞬間、なにかが飛んできた。


「チィッ!」


俺は咄嗟に横に飛んだ。

そして元いたところを見ると、床が凹んで潰れていた。


「能力『重力加担グラビテーション』。

この不可視の攻撃にあたるとあなたは潰れますよ?」


「おいおい、見た目に似合わない凶悪な能力だな……」


俺は、能力を右手と左手に集中する。

もう油断はできない。いくら紫の容姿をしているといっても、まったくの別人。


俺は相手の隙をつきながら、紫に近づく。

今までいた床がどんどん潰れていく。

しかし、それを避ける。

そして、紫とドライの間にくるように立つ。


「……できればこれは使いたくなかったよ」


「?」


「くらいな……『崩壊』」


俺は右手を伸ばして空気を間接的に操る。

ドライの周りの物質を捕らえる。

そして俺は、その原子を、『崩壊』させた。


原子の崩壊、これは核分裂を表す。

核分裂を無限にしていくそれは、膨大なエネルギーをためていく。

そして俺はそれを、全能力を使い、掌握する。

額から汗が流れる感じがする。

一歩間違えば紫も危険に晒してしまうのだ。


目の前では、いきなりの事に反応できないドライがいた。


「なんです……これは……こんなもの、データに……」


そして俺はそのエネルギーから、掌握を止めた。

その瞬間、膨大なエネルギーは拡散し、放射能を撒き散らす『核爆弾』となった。

俺は瞬時に、左手に用意していた能力を使う。


「っ! 間に合え! 『変化』!」


そう叫ぶと同時に、俺と紫の周りを囲む、放射能とエネルギーを一切通さない絶対領域を作る。

そして、部屋内で拡散するエネルギー。

それに巻き込まれるドライ。


そして、爆発が起きた。


ドガアアアアアア!


轟音と共に、閃光が出て、そして、地下が崩れた……。



地下が崩れた。

紫、哀、ドライはどうなったのか?

ドライの秘密とは?

紫と哀の関係とは?

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