幕間
また『HUMAN』サイド。
「リーダー、例の研究所ですが……」
ある高層ビルで女が言う。
いかにも秘書風といった感じの女だ。
その言葉に対して、中年らしき男の声が返る。
「ああ、確か『UnInstall』にばれたんだろう?
まったく、あちらも我等と同じ事をしてくるとは……」
「まったくです。やはり『HEAVEN』は腐っています。
あとその研究所は放棄したので。
因みに先程、
その『HEAVEN』へのあの計画、
やっとドライの最終調整に入ったと研究所から……」
「そうか、あと一歩で始められる。
そして我等が世界を正す。この能力者に対する世界の反応を変えてみせる。
……では、頼むぞ。博士にも、フィーアをもう少し早めに作れるように頼んでくれ」
「分かりました」
そう一言言って、女は出て行った。
男は一段落ついたと言わんばかりの溜め息をついて、椅子に座る。
「……ヌル、アインス、ツヴァイ、ドライ、フィーア。
非常時でヌルが欠ける事になったが…………これでこの計画も最終段階」
男は何気なしに呟く。
「『H-CR』計画。ホムンクルスとはよく言ったものだ。
……これで世界が変われば良いのだが……」
場所が変わって研究所。
「ほう。ほうほうほう。これは興味深い!
今までのコードナンバー0~2より更に進化するとは!
やはりホムンクルス! 謎が深まるばかりだ!」
老人はそう言うと、後ろを振り向く。
そこには、手術台と言うべきものがあった。
その上には、布一枚被せられていない、美しい体を持つ女がいた。
十人に十人が振り向きそうな美貌を持っている。
しかし、その瞳は光を映していなかった。
それはまるで、壊れた機械、いや、人形と言うべきものだった。
だが老人が驚くのは他にある。
「いやいや、これは流石の私でも驚いた」
そう呟きながら手にとる資料。
今はもういないヌルが送ってきた、部隊の写真付名簿。
老人が見ているページには、名前が書いてあった。
そこには写真があり、その写真の脇には『佐屋 紫』と書かれていた。
そして、その写真に写っている美貌と、ドライは、完全に完璧なまでに、
双子のように同じだった。
……ホムンクルスの謎を追え!
次週をお楽しみに!