第二十話 模擬戦1対4!
バトルシーンは以外と楽に書ける……のかな?
俺は能力を使う。
俺の体の前全体に空気を放出し、すばやく後ろに移動する。
目の前に落ちていく岩と氷。
……あんなの食らったら死んじまう。
俺は後ろに走り続けながら皆に聞く。
「そういえば、本当の能力使っていいんだっけ?」
すると皆がこう返す。
「「「「いいよ! 面白そうだし!」」」」
4人とも良いみたいだ。というか面白そうって……。
よし、それじゃあ久しぶりに使ってみますか。
俺は地面に手をつく。
それをみて何か感じたのか不知火がこちらに岩石を飛ばしてくる。
さすがだな、やはり大地の使い手だ……。
しかし、
「もうおそいよ……『大地噴火』……なんちゃって」
俺は不知火の能力を真似し、溶岩を噴出させる。その中に岩石が入って融ける。
溶岩の奔流が皆に襲い掛かる……前に聊爾が空間を割ってそこに溶岩を流し込んだ。
すると不知火が驚いた様子で言ってくる。
「なんだよ、今のは! どうやってやったんだよ?」
「正確に言うと、不知火の『大地噴火』とはちょっと違う」
不知火は不思議そうに首を傾げる。
俺はそのまま続ける。
「俺がやったのは、不知火みたいに地中深くにある溶岩をそのまま持ってくるんじゃなくて、
俺が触った地面を間接して奥の地面を溶岩化させた。
まあ、これは何回もやってると地盤が崩れちゃうけどね」
「なるほどな、じゃあそれはもう使えないって分けだ!」
俺が説明を終えると同時に聊爾がそう言い、こちらの後ろに回る。
どうやら空間を渡ってきたらしい。
これは模擬戦なので武器は使用しても良い。
勿論、大会でも良いらしい。
聊爾は模擬戦用の刃が潰された刀でこちらに攻撃してくる。
「おっと!」
俺はそれをよける。
と同時に風を操り、聊爾を吹き飛ばす!
しかし、聊爾は刀を咄嗟に地面に突き刺し、それを耐え凌ぐ。
どうやら俺の風は予測していたらしい。
すると、琴雪のものらしき氷柱が飛んできた。
俺は避け切れなかった。
この立ち位置とタイミングではかわせないとふんだ。
しかたなく、俺は『切り札』をだした。
前々から思っていた。
俺の能力を応用すれば、どんな攻撃も消せるのではないか、と。
俺の能力は何度も言っているが応用が無限に広がる。
だからこそ、俺はいつもどんな応用ができるかを考えている。
俺は能力応用をした。
皆が驚きと好奇心にみちた顔をしている。
なぜなら、俺が飛んできた氷柱を、俺の肌に当たった瞬間に蒸発させたからだ。
俺は考えた。
俺の能力は物理法則など普通に無視する。
俺は、自分の周りだけに神経を集中させ、触れたものは全て蒸発するように能力を使った。
これがあれば、まさしく核が来ても放射能を無害な物質に変え、無効化することが出来る。
この能力は本当にとんでもない物だったらしい。
……後で総隊長さんに聞いたんだが、俺の能力は秘匿性が更にあがり、
国のお偉いさんには『核にも負けない』というキャッチコピーが宣伝されたとか……。
それはともかく、俺は氷柱を消した後、琴雪に近づいた。
風で高速移動し、後ろに回る。
これは学校の順位決めの時と同じ手。
だがそれは通じなかった。
俺の手刀は、琴雪の首に当たった瞬間、凍りついた。
俺は驚く。やはり、皆は俺と戦ってどんどん能力を応用していっている。
俺は肌にふれた『氷』のみを蒸発させるようにし、攻撃するが、大量の氷が襲い掛かってくる。
いくら肌にふれた氷を蒸発させると言っても、相手の物量が多ければこちらが押し負ける。
俺はそのまま、吹き飛ばされた。
……その先に、紫がいた。
紫は綺麗で滑らかな動きで俺に攻撃を繰り出す。
……はっきり言うと、格闘戦はやはり紫が上だった。
経験の差、というやつだった。
俺は遂に倒され、紫に肩を掴まれる。
「これで私達の勝ちね……」
その瞬間、俺の体になにかが入ってくる感触。
紫の能力と気付いた時にはもう俺は、気絶していた。
「ん……」
俺は目が醒める。
ここは……ベッドの上。
さっきのは夢だったのか? だとしたらどこから?
と俺が考えていると、目の前にいつの間にかあったドアが開く。
……そこには、裸の紫がいた。
その豊満なモノが露になる。
「グハァ! 紫! な、な、なに、何を……」
俺はこちらに近づいてくる紫をなるべく体を見ないように見る。
紫は色気を込めた流し目でこちらを見て言う。
「何って、私はいまこんな格好で、ベッドにいるのよ?
分かってるんでしょ? ア・イ?」
そして俺は……その後、紫に……
「ぎゃあああああああ!」
目が醒めた。
「はあ、はあ、はあ」
俺は周りを見渡す。
ここは、部隊の治療所。
ベッドの上。
目の前にある扉。
俺は荒く息をしながら前を見る。
……すると、すぐに扉が開く。
そこからは、紫が出てきた。
「ぎゃあああああああ!」
俺はその日一番の叫びをあげた。
すると紫がこちらに寄ってくる。
「何よ、アイ。いきなり叫び声なんてあげちゃって。
何か人に見られちゃいけないことでもあったの?」
と、わざとらしくこちらを見る。
「別に、そんなわけないだろ……」
すると紫が顔を赤くして俺を指差して言う。
「そういう前に、その、り、立派なモノをどうにかして……」
俺はなんだ?と首を傾げるが、その答えはすぐに分かった。
「うわあ!」
俺は下半身を素早く毛布で隠す。
……やっぱりあの夢が原因だろう。
俺は紫に問いただす。
「おい、紫。
あの夢はお前が見せたのか?」
「……確かに私は、アイが私についての夢を見るように、脳に働きかけたけど、
どんな夢をみるかはアイが私のことをどう思っているかで決まるはずだけど?」
「……………………」
俺は一瞬で喉が干上がった。
俺が紫のことをどう思ってるかって!
嘘だろ? 俺の精神本当はあんなことを思ってたのかよ!
しかも紫に見られたし!
俺は恥ずかしくて死ぬかと思った。
「まあ、アイのアレを見る限り、どんな夢を見たかは予想つくけど……フフッ♪」
当の本人である紫は嬉しそうに頬を紅潮させ、俺は恥ずかしくて頬を紅潮させていた。
……まじで、嘘だろ…………
……哀は紫にもフラグを立てたようです……。
というか、立たせられた?