表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/44

第十七話 俺の殺人と無骸の蘇生

総隊長の能力の詳細がついに!

……俺は今、部隊のビルの一室にいる。

その部屋には、机が一つに椅子が二つある、尋問部屋だった。

机を挟んで目の前には、部隊の下っ端らしきオッサンがこっちを睨んでくる。

しかし、俺はその視線を無視し、別の事を考えていた。

俺は、琴雪のことが気になっていた。


あの時、琴雪は絶対に俺を見て怖がった。

多分、あの時の俺は、人殺しの顔だった……と思う。

怖い思いをさせたし、そして誤解を招いてしまった。


俺は溜め息をついた。

が、その仕草が勘に触ったらしく、相手が怒鳴ってくる。


「おらあ! なんとか言えよ! お前はあの場所で何をしていた!

さっさとそれを聞き出さないといけねぇってのに、答えろよ、殺人犯!」


「……それはどこで決めた?」


俺は真っ先に俺を殺人犯と決め付ける相手に対して、すこし殺気を込めた。

それが俺なりの、『人殺し』ではないという逃げなのかもしれない。

しかし、その殺気に気がつかない相手は更に罵倒の言葉を浴びせる。


「ああ? そんなの決まってるじゃねえか! 第一発見者の女だよ!」


しかし、殺気を放っていた俺は、その言葉で一瞬放心状態になった。


……琴雪が? この疑いが晴れたらまた普通にしていける、と思ったのに……


俺は悲しくて、辛くて、あんなにも仲が良かった琴雪に、怖がられて、誤解されて、

それだけではなく、あまつさえ、真っ先に決め付けたのが琴雪?


「なんだよ、急に黙っちまって、なんだ?

その女の子に惚れてでもしてたのか?

はっはっは! こいつはいい! 例えそうじゃなくても友達に裏切られた気分はどうよ?」


その言葉を聞いて、俺はもう我慢ができなくなってしまった。


「黙れよ……」


「は?」


「黙れって言ってんだよぉぉぉぉぉぉ!」


俺はその事実から、例え本当に殺人などしていなくても、

琴雪に裏切られた事が、なによりも辛かった。

それは自分勝手のエゴかもしれない。

ただ、怖がられるのが嫌なだけかもしれない。

でも、俺は………………






その時、声が響いた。

頭の中に直接響くような声。

ノイズがかかっている、壊れたスピーカーのような酷い音。

その声?は言った。最後の言葉だけハッキリと聞こえた。



『奪いたければ殺す。守りたくても殺す。逃げたくても殺す。それがニンゲンの本能』


そう、それは、まぎれもない……………………





俺自身の声だった。



そして俺は気付く。

頭の中の声に気をとられていた。

時計を見ると、先程から5分も経っていた。


?なにかが時計のガラスについている。

それは蛍光灯の光を反射し、赤黒く輝いていた。

やけにヌメヌメとした脂っこい物体。

俺はそのまま上のほうにある時計を見ながら、立ち上がる。

しかし、足元が滑る。

なんだ?と俺は下に目を向ける。

そこには、

赤い海が広がっていた。

まさしく、血の海。目の前の壁には人型の皮袋・・が縮れている。

そしてそれを中心に、血が流れている。

部屋が狭いので、本当に水溜りのようにたまっている。


そう。一言で表すならば、血が全て抜けた皮袋があった。


「そんな……俺が、また?」





「あーーー、またやってくれましたね、御神くん」


俺はその声に驚き、後ろを振り向く。

そこには、総隊長さんがいた。


「……俺がやったんですか?」


「そうだよ。その様子だとまた暴走したみたいだけどね……」


俺は総隊長さんに聞く。


「俺は、本当に関係ない人を殺してしまいました。

俺はどんな罰でも受けます」


俺は自分の気持ちを素直に言う。

しかし総隊長さんの答えは意外なものだった。


「なに、罪などではないよ。それどころか君はお手柄だよ」


「……はい?」


総隊長さんは人だったものを指差し、言う。


「この男はね、『スパイ』なんだよ。

その名も能力者解放戦線『HUMANヒューマン』の、ね」


「『HUMANヒューマン』、ですか?」


「『HUMANヒューマン』とは、能力者を保護し、拘束することに反対し、

UnInstallアンインストール』どころか世界政府にまでテロやクーデターを起こす奴らです。

そいつらのスパイがコイツなんですよ」


そう言い、総隊長は皮袋を踏む。


「でも、俺が関係ない人を殺してしまったのは事実です。

俺はどうすれば……」


「じゃあ、死んでなければいいんだ。

私の能力を見せるよ。名は『完全削除アンインストール』。

発動内容、対象の『死』という事実と『嘘』という概念を………………」




           『削除する』


その瞬間、世界の本当に小さい一部が改変・・された。


「信じられない……」


俺は呟く。目の前には、あの、スパイのオッサンと、

能力を使って一息している総隊長さんがいた。


「これが私の能力。

全ての概念、森羅万象を、削除する力。

……まあ、削除しか出来ないのがチョットね……」


さりげなくサラリと凄いことを言う総隊長さん。

俺はその総隊長さんに心の中で、一生懸命感謝した。


「よかった。なにもなくて……」


しかし総隊長さんの目つきが鋭くなる。


「さて、次は……スパイに尋問をしようか……」


いろいろありますよ……。

展開早くないですかね?

何かあったら感想に書いてください!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ