幕間
ここでなにかの思わせぶり
ここは、『HEAVEN』の外にある施設。
なかには、肉が腐った匂いがたちこめていて、おもわず鼻を覆ってしまう。
中には、一人の研究者風の老人がいた。
頭には白髪が数本残っているだけで、後は全部抜けている。
その身に纏う白衣は薄汚れていて、年月が経っているものだと推定される。
そしてその男の顔には、狂喜の表情が映し出されていた。
「やったぞ! 遂に長年の人類の夢が叶った!
私は天才だな! 私の研究作品の公開はもうすぐだ……。
今は仕込みの時期。焦らない、焦らない」
老人はふと後ろを向き、階段を降りる。
その先には、巨大な試験管のようにも見える培養装置が所狭しと並んでいる。
そしてその中には、胎児と思われるものから、老人のもの、
色々なナニカがその中に入っていた。
「もうすぐだな。やはり失敗作を残しておいて良かった」
老人はその培養装置の中の緑色の液体に浮かんでいる少年を見た。
それは、中学生ぐらいにも見える少年。
それを、わが子を見るような目で見て、老人は笑った。
「……『H-CR2』、早く見てみたい……」
そしてここはまた違う施設。
その中の一室、そこには大きなテーブルと、
その周りに椅子がたくさん並べられていた。
そこには、男と女がいる。
「もうすぐ、だな。ここまで時間をかけた
成果がもうすぐ出せる」
女が答える。
「はい。苦労しましたが、これもすべて
安寧なる能力者の自由の世界のため……」
そして女は男に敬礼する。
男はそれに敬礼を返す。
「能力者の自由なる世界のため……か……」
2種類の思わせぶりだったよ!
まあ、この事は色々予想してみてください。