第十二話 初任務(前編)
はつにんむです!!!
『任務だよ』
電話でそう告げられた時俺は不安だった。
しかし、これも皆の役に立つ為と思えば気が楽だった。
眠気を振り払い、俺は冷静に、そして端的に聞く。
「……内容は?」
すると総隊長さんが言う。
『詳しくは本部に来てくれ。この時間だし、知り合いに
姿を見かけられることもないだろう』
「分かりました」
『では本部で』
そう総隊長さんは言い、電話はきれた。
俺はすぐに、動きやすい服に着替え、顔を洗って
あの黒いカードを持って部屋をでた。
俺は自転車にのり、本部へ急ぐ。
少し速めに漕ぐ。
本部に着いた。
本部はどこぞのコンビニのように24時間開いているらしい。
俺は自転車を置き、入り口に入る。
いくら部隊でもこの夜中なので、視界に入る人影は3,4人しかいなかった。
俺は受付に行き、カードを見せる。
受付はそのカードを見て、総隊長がいる部屋を教えてくれた。
俺は階段でその部屋に行く。
その部屋がある階にきたのだが、部屋が見つからない。
受付の人が間違えたのかと思い戻ろうとすると、後ろからいきなり
声がかかった。
「やあ、御神くん」
「うおゎ!!!!」
俺はいきなりの総隊長さんの出現に驚いた。
というか気配すら感じなかったぞ?
「こっちだよ」
と手招きされ、ついていくと、そこにはさっき通った時には
無かった部屋があった。
どうなってるんだ?
俺はそう疑問におもいながらも部屋に入った。
そこには、誰もいない。
任務だから誰かいるだろうと思っていたのだがいない。
俺は不思議に思い聞こうとするが先に総隊長さんが言葉を紡ぐ。
「これから君にやってもらう任務の内容を言わせてもらう。
はっきりいって緊急事態だ。君にとっては初任務なのに
すこしきついと思うが頑張ってくれ」
「内容は?」
「ついさっき、『HEAVEN』近郊で能力者によるものと思われる
殺人事件がおきた。その犯人と思われる者には目撃証言があり、
分かっている。今までも傷害事件を数多く起こしてきた奴だ。
能力は不明。だがそいつは自分のことを奇術師とよんでいるらしい。
私達の目的は奇術師の捕獲、または殺害だ。
どちらにせよこちら側に運ばれることになる」
「殺害、ですか……」
俺は気になった言葉を繰り返す。
「私も君のような中学生に人殺しをさせたくないが
こちらも手一杯なんだ。どうしても君の力が借りたい」
「……分かり、ました。けど、なるべく殺さないようにしてきます」
俺はそう言い、承諾する。
「そうか。 それでは、任務用の服を渡そう。こちらに」
俺は案内されて隣の部屋に行った。
「これが君用の制服だ」
そう言って渡されたものは、黒を元とした、
というか黒しかない服。
簡単に言えば、とうの昔に無くなった自衛隊の迷彩服の
黒バージョンの動きやすい簡易型を思い浮かべてもらえば良い。
勿論ヘルメットなどは無いが。
いっとくけど、中学生の俺からみたら滅茶苦茶かっこいい。
俺はそれをまた別の部屋で着替える。
サイズはぴったりだ。いつ図ったんだ……。
「おっ、似合うじゃないか、御神くん」
「ありがとうございます」
「それでは現場に行こうか。屋上に上がってくれ」
俺は総隊長さんと共に屋上に上がる。
なにでいくんだろうと思う。
屋上だからやはりヘリだろうか?
屋上にあがると総隊長さんが言う。
「ではこれから君を現場に送る」
「? ヘリとかじゃ無いんですか?」
「……ヘリはうるさいし、隠密には向いていないからな」
「じゃあ何で?」
「私の能力で、だよ」
その瞬間、総隊長さんの目つきが変わった。
呟く。
「この座標から事件現場の座標までの距離の概念を一時削除」
そして、なにかが変わった。
見た目には分からないがなにかが変わった。そう疑問に思うと同時。
俺は総隊長さんに押されていた。
「そっちが事件現場だから、よろしく。
くれぐれも人に見つからないように」
その瞬間、俺は事件現場にいた。
「……は?」
何がなんだか分からなかった。
なんでいきなりここに居るのだろう?
すると制服の中にいれた連絡用の携帯にメールがとどく。
それをみる。
『疑問に思うな。任務を優先』
とだけかいてあった。
俺はしょうがないと思い、疑問を打ち切り、
捜索のため、能力を使う。
俺はアスファルトに手をふれる。
そして、能力を発動する。
アスファルトにはすぐそこにある現場の足跡の情報がある。
俺は犯人のものと思う一種類の足跡を見つけ、アスファルトの表面に能力を使っていく。
犯人がアスファルトの続く上に居るとしたら、1t分、アスファルトの表面を捜索できる俺なら
足跡、歩幅などを計算して犯人を追いかける。
俺は能力を出し惜しみなく使っていく。
すると、すぐ、500mほど道の先にソイツを見つけた。
俺はその犯人を追い、裏路地を縫うように走っていった。
総隊長の能力詳細はまだナゾです。