第十一話 手加減無用情け無用
主人公はやっぱり強かった……。
俺はすぐ体勢を立て直す。
また不意打ちでやられた。以外と能力を使うのに慣れてやがる。
俺は勢いよく立ち上がって相手を睨む。
そこには直立不動となっている聊爾がいた。
「へっ、まったくよ、俺を無視すんなって」
「どうやら紫が言ってた第1位ってのは嘘じゃないか……」
俺は聊爾の能力を考える。
多分、万年第1位だろうな……。
奴の能力は空間を操作していた。多分俺の体を空間の穴に入れて
任意の場所から吐き出させたんだろう。
「しかし空間か……相性が悪すぎな相手だな」
俺がそう呟くと聊爾が返す。
「まあ、風を操れても空間の前じゃ意味ないしな。
降参してもいいんだぞ?」
「いや……遠慮しとく」
俺はそう言い放ち気持ちを集中させる。
もうこうなったら俺も意地がある。絶対勝ってやる!
俺は竜巻を起こす。
3つの竜巻が聊爾に勢い良くせまる!
しかし聊爾が手を向けると、竜巻と聊爾の間に痕がはいった。
そこに竜巻はぶつかり、そしてあっけなく消えた。
「無駄だぞ? お前の風は俺には効かない!」
本当は風使いじゃなくて空気使い何だけどね……。
もう本気だそ……。早く終わらせたいし。
「聊爾」
「あ? なんだ?」
俺は聊爾を呼ぶと聴いてくる。
俺は言う。聊爾が無茶をしない様に。
「聊爾、俺はこれから本気をだす。
死なないように気を付けろ」
聊爾は何のことだ?と首を傾げる。
俺は本気をだす。勿論今までも本気をだしていた。
しかしそれはあくまで今まで出した技の本気だ。
俺は空気を操ることで後1つできることがある。しかしそれを聊爾は気付いていない。
(その油断が負けを招く)
俺は両手を開き、前にかざす。
風を100kg分を圧縮して弾にする。
俺は死なないことを祈って相手の本気に合わせて本気で弾を撃った。
直後、音を置いて圧縮弾が音速以上で飛ぶ。
そう、俺が本気を出すとあの圧縮弾をマッハで飛ばせる。
しかしこれは危険なため、訓練では使いたくなかった。
だが、本気で行かなければお互い満足できないと思った。
だから聊爾にはやった。
聊爾はあらかじめ開いておいた空間のなかに弾が入るのを感じる。
と、同時に『ゴゥッッ!!!!』と物凄い音を立てて空気の余波が聊爾を吹き飛ばす。
「これが、哀の本気か!」
聊爾は吹き飛ばされながらも驚いた。
聊爾は受身をとり体勢を立て直し前を向く。
その瞬間後ろに風の流れを感じたとおもったら声が聞こえた。
「さっきの不意打ちのお返しな」
そして聊爾は気絶した。
後ろに俺が回って風を纏った手刀を放ったのだ。
……シーンと静まり返る周り。
? おかしいなと思い、皆がいる方向へ目を向けると……誰もいなかった。
「……は?」
すると風に吹かれて紙切れが落ちてきた。
先生からのメモだった。
『勝ったほうは負けたほうを保健室に運べ。
そして勝った奴は俺の所に来い。以上』
「……逃げたのかよ」
俺は今日1番の深い溜め息をつき、気絶している聊爾を担いだ。
俺は今保健室にいる。
保健室の中にはベッドがありそれぞれに、不知火、琴雪、紫、聊爾が寝ている。
そして俺の目の前には……如月先生がいた。
保健室に入ったとき、如月先生がいたのは助かった。
どうやら如月先生は担任であり保健医でもあるという不可解な人事らしい。
なぜ担任なのに保険医をやっているかというと、先生の持つ特異能力、『永久復活』
が原因らしい。
体に無理がなければ、体力のみ完全回復することができるという効果らしい。
勿論、体力のみであって、気絶や酷い怪我は回復しないとか。
そして俺は模擬戦の報告を細かく先生に伝え終わった所だ。
「それにしても御神君。転校してきたばっかりなのに
第1位とは凄いわね。色々大変だろうけど頑張って」
「はい。分かってます……」
いつまで経っても皆が起きる気配はない。
ちょっと強くやりすぎたか……と思う。
すると先生が言う。
「もう今日の授業は終わりよ。地下の修繕を優先させるらしいわ。
自然回復じゃ遅いから、ですって。この子たちは私がみてるから帰っていいわよ。
あなたも休んだほうがいいわ」
「……はい。では皆を任せます」
俺は皆のことが心配だったが仕方なく帰ることにした。
俺はすぐ教室に戻り、誰もいないそこから荷物をとり、自転車置き場に行った。。
……これからは少し能力の制御を身に着けたほうがいいな。
俺はそう思いながら自転車に乗ってマンションに向かった。
マンション。俺は部屋に戻ってすぐ汗をシャワーで流して風呂に入ったあと
途中で買ったコンビニ弁当を食って、
寝室で今日のことについて思った。
皆に対してちょっとやりすぎたかもしれないけど、
本気で戦ったからいいよな?
俺は前の学校みたいになりたくないと思った。
そして俺は睡魔に誘われていった。
「アイくん、ほんとにいいの?」
少女が俺に話しかける。
「うん。おねがい」
俺は勝手に口を動かす。
「わかったよ……」
少女は悲しそうにし、手を俺の額にあてる。
「じゃあね…………」
「ハッ!!」
……俺は勢いよく布団からでた。
今のは夢か……。
しかし妙にリアルな夢だったな……あの女の子も
見たことあるような?
俺はそう考えるといきなり机においてある携帯がなった。
俺は携帯を開けて気付く。
「まだ2時じゃん……通りで暗いわけだよ……」
俺は携帯の電話に出る。
「もしもし」
『やあ、御神君』
「総隊長さん?」
それは他でもない総隊長の声だった。
そしてその声は一言だけ告げる。
『任務だよ』
次が初任務ですよ!
もしかしたら色々あるかも……。