第八話 みんなの能力
やあっと能力がいっぱい!
例によりその他キャラは省る。
俺達は今、クラスのあるA棟の隣にあるB棟の訓練所に向かっている。
やはり、能力の使用は間違えば危険を招くので、どこの学校も
部隊と同じように地下が必ずあるらしい。
訓練所についたと同時に授業開始のチャイムがなる。
どうやら間に合ったようだ。
部屋の隅からなんかごつい先生がでてくる。
その隣には如月先生がいる。
するとその先生は言う。
「これから能力測定を始める。まずは番号順に名前を呼ぶので、前に1人ずつ出て来い!」
「まず最初に、荒祇 聊爾!」
すると荒祇が立つ。
「じゃ! 俺は図ってくるぜ!」
と言い、皆の見ている前に出る。
俺は紫に聞いてみた。
「紫、荒祇の能力はどんなのだ?」
「それは見てのお楽しみね。けど間違いなくこのクラスの第1位よ」
「マジかよ……」
俺は前に視線を戻す。
能力測定はクラスごとにやり、その中で順位を競うものだ。
ちなみに不知火の話によるとクラス全30人の中でもトップ5に入る人は
特に凄い能力者らしく、将来は高校に行かなくても部隊に入れるらしい……。
荒祇は手を伸ばし、誰も居ないところを指差す。
その瞬間、空間が割れた。
比喩ではなく、ただ純粋に空間を割ったのだ。
そのあとに荒祇は先生に指示をもらい、同時に裂け目を10個ほど作ったり、
どれぐらいの速さで空間を操れるかなどをやった。
その能力は凄く、空間の裂け目が元に戻るたびに衝撃波が飛びまくり、俺たちは
その場にとどまるのが精一杯だった。
最後に、的が出てきた。どうやら能力の攻撃性が問われるらしい。
荒祇は集中する。
「ハッ!」
といった瞬間に空間ごと的がねじ切られた。
「評価! 攻撃範囲S 攻撃威力SS 攻撃射程S
総合Sランクだ!」
生徒からさすがだな、という声が聞こえる。
荒祇が俺達の所に戻ってくる。
「いやーーー疲れた!」
「お前すげえな……」
「いやいや、皆も凄いから見とけよ」
俺は皆と雑談しながら他の人の能力を見るが、やはり荒祇が凄いようだ。
そして何人かやったあと呼ばれた。
「次、佐屋 紫!」
「私ね。行ってくるわ。アイ、ちゃんと見てなさいよ?」
「はいはい…………」
紫はどうやら結構特別らしく、紫専用の装置が持って来られた。
脳干渉系の能力者専用らしいが、そういう能力者はいても、
なかなかSクラスにあがれないものらしい。
紫はそれに手をあてて能力を使う。
すると装置が赤色の光を発する。
先生は結果を読む。
「評価! 効果範囲A 効果威力S 効果射程B
総合Sランクだ!」
紫がこっちに戻ってくる。
「どう? アイ、凄いでしょう」
「すげーな……」
俺は素直に感嘆する。
「次、不知火 奏華!」
「私の番だね!」
不知火は前へでる。
……なんというか、後ろ姿がかっこいい……。
不知火は足を少し上げて地面を蹴る。
何をしているんだろう?と思った時、
床から茶色の杭が無数に出てきた。
と思っていると形がくずれる。
そして今度はそれを操り槍にして上から地面に突き刺す。
最後にもう一度思いっきり地面を踏むと……
溶岩が出てきた。
…………危なくね? やばくね? 俺死んじゃう?
と思い回りをみるが俺以外はいたって冷静。見慣れているみたいだ。
不知火がちゃんと溶岩を操っているようだ。
それもお手玉するぐらい簡単に。
すげえな。
不知火は能力を使うのをやめると溶岩は地面の隙間に消えていった。
「評価! 攻撃範囲S 攻撃威力SS 攻撃射程C
判定Sクラス!」
「凄いでしょ!」
「てゆーかあぶねえな。あれ大丈夫なのか?」
「失礼な! ちゃんと制御するから大丈夫だよ」
そんなもんかと思う。
あれ? そういえば紫の次は不知火だったな……。
佐屋、不知火ときたらやっぱり…………
「次、涼風 琴雪!」
「はっ、はい!」
なんとも頼りない声をあげて前に出る。
大丈夫かなぁと心配していると声が聞こえる。
「大丈夫だろ、だってあいつすげえもん。マジで」
「そうよアイ、あの子はすごいもの。本当に」
「そうだよ。あんたも信じてあげな。本気で」
そうか?と俺は返す。ちなみに分かるとおもうが
上から、荒祇、紫、不知火である。
俺は前を見る。
その瞬間、背筋が震えた。
……なに、その反応。あたりまえだろ!
そこには、訓練場を一周するような氷の壁が一瞬でできていて、
さらにはそれだけじゃなく、涼風は自分の周りに氷のナイフを見た目100本ほど作っていた。
涼風の目は……怖かった。
もしかしてあれですか?能力使うと性格変わるパターンですか?
やばい、マジで怖い。
……と思っていたら先生が震えた声で結果を告げる。
「……ブルッ……ひ、評価! 攻撃範囲S 攻撃威力A 攻撃射程A
は、判定Sランク……ブルッ!」
……寒いから? それとも怖いから?
「あのっ!」
「はっ、はい!」
「? 御神君。どうでした? 私の能力?」
「いや、すごいね。あんなのはじめて見たよ!」
これは本心だ。純粋に凄かった。
やっぱり涼風もSランクなんだな。
あれ?涼風がなんか顔赤くして俯いちゃったよ。
風邪かな?
俺は涼風の額に手を触れてみる。
「大丈夫? 熱でもあるの?」
「……いっ、いえ…………」
あれ?更に顔が赤くなったような……大丈夫かな?
涼風は皆の所へ行った。
荒祇や不知火になんか言われてる。
あっ、なんか倒れちゃったよ……。
俺は皆の所に行く。
「涼風……大丈夫か?」
すると涼風はまた真っ赤な顔になり、「琴雪でいいです……」
と行った。
「ほんと鈍感だな、御神!」
「だよねえ、分かってないわよねえ」
「アイは渡さないわよ…………」
と聞こえた。
最後のは無視しとこう。
いつの間にかほとんどの生徒が終わっていた。
どうやら俺は転校生なので最後にやるらしい。
そして呼ばれた。
「最後だ。御神 哀!」
俺はやっぱり最後か……と思い皆の前に行く。
皆はやはり今まで見たことのない俺の能力が楽しみらしい。
このクラスには空気使いはいないから大丈夫だと思うけど。
俺は先生から、とりあえずお前の能力を適当に見せろといわれた。
俺は両手を横に大きく広げ、目を閉じ、意識を集中させた。
周りはどんな能力かと騒いでいるがそれも聞こえなくなる。
部隊の模擬戦の終わった後に紫に言われたアドバイスを思い出す。
"どんな能力も工夫しなければ攻撃にならない"
俺は風を当てるだけでは攻撃にならないと教えられた。
攻撃を作るには、その元となるイメージが必要だ!
俺はいつものように脳に流れこんでくる風の向きを変える。
瞬間、俺は能力を開放した!
部屋内の風向きが地下なのに急に変わる。
中心点は……俺の掌!
俺は掌を中心に2つの竜巻を作り上げた。
埃が舞い、竜巻の形が見える。
俺はそれを一瞬でやめ、その風を一気に、
今度はもっと細かく!
人差し指の先に空気を圧縮していく。
最大重量100kgを完全に圧縮するのに、10秒もいらなかった。
俺はそこにある空気を、いつの間にか用意されていた的に打ち出す!
不可視の風の弾が的に当たるコースで飛ぶ!
俺の手の動きで分かったのだろう。
驚愕の表情を浮かべながら的に視線を向けるみんな。
俺の放った弾が的に当たったその瞬間――――――――
ズゴオ!!!!と大きな音が聞こえ、圧縮された空気が解き放たれ、
そして……
訓練場の半分が、吹き飛んだ……。
嘘だろ?
的があったほうから半分の壁が崩れ、地面が露出している。
ここの入り口はB棟にあったのだが本体は校庭の下にあったのだろう。
青空が見える。雲ひとつない青空が…………あれ?
俺自身や皆が呆然としていると先生の声がこだまする。
「評価……攻撃範囲SS 攻撃威力SS 攻撃射程SS
……判定Sランク…………」
俺は誰にも聞こえない声で呟いた……
「……手加減どころか、強くなってる?」
なんと、能力の応用によってオールSSに
目覚めました!
あ、別に主人公はイジメ大好き人間
ではありませんよ?