表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/24

第一部 第八章 ③

 アマヒが何も言わないので、痺れを切らしたサラが口火を切った。


「なぜ何も言わないの?こっちは頭を下げているのよ!お願いしているの!」


 アマヒはやはり黙ったままだった。


「わたしたちが何も知らないと思っているんでしょう?わたしたちは知っているのよ、あなたが隠してる月に者たちのことを!」


「サラ!」


 カイは慌てて止めようとした。もしこちらが知っていることがわかったらカナダにいる者たちが危険に晒されるかもしれないからだ。


「…隠している?何のことだ?」


 アマヒは淡々と言った。

 カイはサラに目で言うなと訴えた。サラは唇を噛み締めた。


「あなたは本当に共存する気はないのですか?僕たちはあなたが月の者を迎い入れても良いと思う気持ちがあるのではないかと考えています」


 カイは本当にそう思っていた。その証拠がカナダのドームで生活している月の者たちだ。サラもきっとそれが言いたかったのだろうとカイは思った。


「……共存?お前たちは本当にそれができるのか?わたしはこの地球を本当に愛する者しか受け入れない。地球を物のように扱う者、勝者だけを敬うような者は絶対に受け入れない。支配することしか考えない人間にこの地球は渡さない」


 アマヒは淡々とだが強い意志を持って言った。

 カイは何も言えなかった。何かの上に君臨しようとするのは人間の性だ。そんなことは決してしないからなどと言えるはずがなかった。


「あなたにそれがわかるの?誰が地球を愛していて、誰が支配する人間かって?受け入れて何年も生活しないとわからないことじゃないの?初めっからわたしたちはそんな人間だと決めつけないで!」


 サラがアマヒを睨んで言った。


「武器を搭載した宇宙船を送り込んできたのは誰だったか忘れたか?話し合いに武器は必要か?」


 アマヒは冷たく言い放った。


「それは……あなたが鼻っから受け入れようとしなかったからよ。話し合いに来た要人を監禁したじゃないの」


 サラが言うとアマヒは笑った。


「あのとき1人と話をしたが、地球は自分たちのものであるかの如く言っていた。そのような者が月の要人ならば受け入れられるわけがない」


 サラはチッと舌打ちをした。


「ほんと役に立たないどころか邪魔なだけね」


 サラは独り言のように言った。


「お前たちが地球に来たいと言うのなら…」


 アマヒが何かを言おうとしたとき、映像が急に消えて白い壁になったと同時に室内の照明も消えて真っ暗になった。


「どうしたのかしら?」


 サラが壁を頭で叩いた。

 カイはポケットに入っている折りたたみ式ナイフをドユンに取るように言った。ドユンは縛られた手をカイのポケットに入れナイフを取り出した。

 ドユンが柄の部分を持ちカイが刃を引っ張り出した。ドユンはカイの縄にナイフを当て何回かゆっくりと引いて切った。

 カイはドユンからナイフを受け取り懐中電灯を取り出してつけ、ドユンとサラの縄を切った。


「ナイフがあるならもっと早く切ってよ」


 サラが拗ねたように言った。


「この部屋がエジプトのピラミッドの地下にあったアマヒと交信した部屋に似ていたからアマヒが映像で出てくるのではないかと思って待った」


 カイはドアの鍵をナイフで壊そうとしながら言った。 

 ドユンが脚に隠していた銃を取り出した。


「カイ、ちょっと離れて懐中電灯でドアを照らして」


 カイがドアから離れるとドユンは何発か銃で鍵の辺りを撃った。

 ドアが開いて3人は部屋を出た。誰もいなかった。

 3人はエレベーターに乗り、1階のホールに出た。やはり真っ暗で誰もいなかった。

 カイはホールにあるコンピューターを懐中電灯で照らして念入りに見た。通信機器らしきものも見て頷いた。


「何か見つかったの?」


 サラが聞いてきた。


「後で言うよ」


 カイはそう言って外に出ようとホールの入り口まで行くとロビーから声や銃を撃つ音が聞こえた。

 3人はドアの前で潜んで様子を伺った。

 しばらくすると静かになったのでそっとドアを少し開けて隙間から目を凝らして見渡した。暗闇なのでよく見えなかった。

 3人は静かにゆっくりとロビーに出た。

 カイが懐中電灯を照らすと兵士が何人か倒れていた。


「どういうこと?」


 サラが不安そうに言った。

 カイが倒れている兵士から銃を取ろうとして兵士の傷口を見た。


「レーザーガンだ。アランたちがここに来たんだ」


 3人が外に出ると外にも何人か兵士が倒れていた。


「カイか?」


 離れたところからアランの声がした。


「そうだ」


 カイが返事をするとアランとオリバーとユートが廃屋から現れた。


「今ハオに連絡してこっちに向かってもらっている。無事でよかった」


 アランがカイの肩を抱いて言った。

 6人は急いで建物から離れて小型宇宙船が着陸できそうな場所に移動した。

 アランの誘導で無事に小型宇宙船が着陸し、カイたちが乗り込むとすぐに離陸した。

 カイはアマヒと話ができたし、アマヒはここにいないのでこのまま月に戻ることを提案した。他の小型宇宙船にもそれを伝えた。


 アランたちは自分たちが行った場所には何もなかったのでカイに連絡しようとしたが繋がらず、サラやドユンにも通信したが繋がらなかったので、何かあったと思ってカイたちが降りた場所に向かった。

 すると建物に明かりが付いていて兵士が何人か立っていた。

 カイたちが捕まったならここしかないと踏んだアランたちは兵士に向かってレーザーガンを撃った。兵士も銃で応戦してきた。

 レーザーガンを撃っているときに電線を切ったらしく急に明かりが消えた。兵士たちは戸惑っていたが、アランたちは暗視スコープをかけていたので有利に戦えた。


 カイは何があったかアランたちに話した。アマヒとの会話も伝えた。


「最後に何か条件を出しかけて映像が切れたから、完全に拒否しているわけでもないと思う」


「悪かったな。映像が切れたのは俺たちのせいだ」


 アランが謝った。


「いや、アランたちのおかげで助かったんだから。だがもう一度アマヒと話す必要がある」


 カイが言うとサラがすかさず言った。


「でもアマヒはここにいないんでしょ。また探すの?どうやって?」


「アマヒの居場所はだいたいわかった」


 カイが真剣な顔で言った。


「どこ?っていうか、いつの間に?」


 サラが驚いて言った。


「通信機器がホールにあっただろう。送信先が書いてあったんだよ」


 カイが言うとみんなが一斉に聞いた。


「何て?」


 カイはニヤリと笑って言った。


「Japan」


第一部完結です。知識もないのに難しいテーマに手を出してしまったと後悔して何度もやめようと思ったのですが、少人数でも毎日閲覧してくださる方がいるのを励みに書くことができました。つたない小説なのに読んでくださり本当にありがとうございます。既存の施設が出てきますが勝手に想像して書いていますので実際とは異なります。すみません。第二部は2月から投稿します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ