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第一部 第八章 ②

 陽が沈みしばらくしてからカイたちは小型宇宙船で素粒子研究所に向かった。

 全員黒い服で身を包み暗視スコープを装着していた。レーザーガンやロープなどそれぞれ必要だと思う物を身につけた。

 小型宇宙船は人が現れた建物の上でホバリングをして、カイとサラとドユンが縄梯子で屋上に降りた。

 小型宇宙船は次の出入り口かもしれない建物に向かった。


 屋上に降りたカイたちは下に降りる出入り口に近づき、誰もいないことを確認してドアノブを回したが、鍵が掛かっていた。

 カイはレーザーガンで鍵穴を撃ち鍵を壊した。ドアをそっと開けて中を覗くと下に降りる階段だけが見えた。3人は静かに階段を降りて行った。

 踊り場まで降りると突き当たりにドアがあった。

 カイはドアをそっと開けて覗いたが、長い廊下とガラスの割れた窓が見え、生活感はまるでなかった。カイはサラとドユンに首を横に振って見せ、ドアをそっと閉めた。

 3人は階段を降り続けた。どこまで降りただろうか、階段がなくなり鉄の大きな扉が現れた。ドアノブを回したが鍵が掛かっていた。

 カイはレーザーガンで鍵を壊した。ドアをそっと開けようとノブを引いたが思いの外厚みのある鉄の扉だった。

 扉の先は螺旋階段だった。かなり長い螺旋階段を降りるとまた鉄の扉があった。鍵が掛かっていたのでレーザーガンで壊して開けると小さな部屋になっていて向かいにまた鉄の扉があった。

 今度は鍵が掛かっていなかった。そっと扉を開けると巨大な装置が見えた。稼働はされていない様子だ。


「どこかにコントロール室があるはずだ。通信をするならそこからに違いない」


 カイはサラとドユンに小声で告げコントロール室を探した。

 今いる場所は巨大な装置があるだけの地下のようだった。カイたちは上に上がるため元の階段に戻った。

 螺旋階段を登り、最初の鉄の扉まで戻るとさらに上に行くために階段を登り最初にドアを開けた踊り場まで戻った。


「ちょっと休憩入れてもらってもいいかしら?」


 階段を登り続けたのでかなり疲労してサラが言った。

 カイもドユンも同じ気持ちだった。3人は階段に腰をかけて休憩した。


「おそらくここが地上1階だろう。一旦外に出てコントロール室らしい建物を探そう」


 カイが言うと2人は頷いた。

 しばらく休憩すると3人は建物の外に出た。誰もいないことを確認しながら3人は壁沿いに少しずつ移動した。

 ドユンが何かに気づいてカイに小声で言った。


「カイ、この建物のあそこを見て」


 ドユンは壁沿いに移動していた建物の上を指差した。そこには監視カメラがあった。3人は急いで建物を回り込んで監視カメラがあるか上を見て確認すると監視カメラが付いていた。

 3人はその建物から離れて別の廃屋になっている建物の中に入って身を隠した。


「あの建物の周りに監視カメラがついているということはあの建物がコントロール室の可能性が高い」


 カイが言うとサラが心配そうに言った。


「わたしたち映ってないかしら?ちょっとやばくない?」


「映っていたとしても録画だろう。こんな夜中に見てはいないと思う」


 ドユンが言うとカイも頷いて言った。


「気がつくとしたら明日確認してからか、もしくは何かないと確認しないとすれば侵入者がいたことも気づかないだろう」


 案の定しばらく経っても騒ぎは起きず、静かなままだった。

 カイとサラとドユンはお互い顔を見合わせ頷いてから監視カメラのある建物の出入り口に近寄った。

 鍵が掛かっていたのでカイがレーザーガンで壊して、ドアを開けて中を覗いた。

 中は真っ暗で人のいる気配はなかった。3人は周りに注意を払いながら中に入った。

 入った場所はフロントらしきものがあり、ロビーのようだった。奥にドアがあり、カイたちはドアの前にたち頷きあってドアを開けた。鍵は掛かってなかった。

 そこはのホールのようだった。壁に幾つかのモニターらしきものがあり、壁に沿ってコンピュータが幾つが置かれていた。

 3人が中に入り奥へ進むといきなり照明がついた。

 カイたちは驚き、急いで壁際によりレーザーガンを構えた。

 いつの間にか銃を構えた兵士十数名に囲まれていた。


「無駄な抵抗はせずにレーザーガンを捨て手をあげなさい」


 兵士の1人が言った。

 身を隠す場所もなく出口は兵士で塞がれている。兵士の言う通り抵抗しても無駄なようだとカイは判断し、サラとドユンの顔を見て頷きレーザーガンを捨て手をあげた。サラとドユンも同じようにレーザーガンを捨て手をあげた。

 兵士が数人カイたちに駆け寄り、カイたちを縄で縛り、暗視スコープと耳にかけていた通信器を外した。

 カイたちは兵士に連れられてホールの奥にあるエレベーターに乗せられ下に降りて行った。


 エレベーターを降りてすぐ前にある部屋に入った。

 部屋はそれほど広くなく、エジプトのピラミッドの地下にあったアマヒとの交信をしたときと同じような部屋だった。

 兵士は3人を置いて出て行った。ドアの鍵のかかる音がした。


「カイ、どうする?」


 ドユンが聞いた。カイは黙っていたので、サラが代わりに答えた。


「どうするも何も縛られていたんじゃどうしようもないでしょ。ドアの鍵も掛かってるし。相手がどう出るか待つしかないわよ」


 ドユンは苦笑いをした。

 カイは奥の白い壁をじっと見つめていた。しばらくすると白い壁がガラス張りのようになり椅子に座ったアマヒが現れた。

 サラとドユンは驚いた。


「やっぱりここにいたのね!」


 サラが叫んだ。


「いや、ガラスに見えるがあれは映像だ。アマヒはここにはいない」


 カイが小声で言った。


「カイだったな。懲りずによくここまで辿り着いたな」


 アマヒが淡々と言った。


「あなたに話があってここまで来た」


 カイが言うとアマヒが少し強めに言った。


「捕まってここに来たのに、話があるだと?対等だと思っておるのか」


「捕まるつもりなんかなかったわ!本当に話し合いに来たのよ!」


 サラが苛立った声で言った。


「お前は…兄夫婦を探していると言っていた者だな。まだ諦めていなかったのか?」


 アマヒが言うとサラは険しい顔つきで言い返した。


「諦めるわけないでしょう!たった1人の兄なのよ!大事な大事な家族なのよ!」


 アマヒはしばらく何も言わず黙っていた。


「女王アマヒ。地球を捨て月に逃げた者を恨む気持ちはわからないわけでもない。地球に残った者がどれだけ過酷な状況に耐えてここまできたか、僕にも計り知れない。それでもあえてお願いしたい。月の者たちを受け入れて欲しい。地球を侵略するつもりはない。新たな人類を受け入れて共存すると思ってくれないだろうか?」


 カイは頭を下げた。カイを見てサラもドユンも頭を下げた。しかしアマヒは何も答えず黙っていた。

 カイたちはしばらく頭を下げてアマヒが何か言うのを待ったが、アマヒは黙ったままだった。


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