第一部 第八章 ①
カイたちはアマヒの居場所を探るべく、前回カナダを捜索したときと同じメンバーで同じように3機に分かれて地球に向かった。
前回と同じように1機ずつ、まずはヨーロッパを国ごとに捜索することになった。
初日はアイルランド・イギリスをカイたち、ポルトガル・スペインをサラたち、フランス・ベルギーをアランたちの小型宇宙船が暗くなってから飛行し、探知機を使って電波を拾ったり、IRイルミネーターカメラや赤外線双眼鏡で地上を観測した。
3機とも特に収穫はなかった。
2日目はカイたちがデンマーク・ノルウェーを、サラたちがイタリア・スイスを、アランたちがオランダ・ドイツを探索した。
「今日も収穫なしですね」
フラマが残念そうに言った。
「カナダのときと同じで人が生活している様子が全く見られない。動物の存在が感じられない」
ユートが言った。
カイの探知機も何の反応もなかった。
次の日の予定のスウェーデンに向かっている途中、サラから連絡が入った。
「スイスで数回電波をキャッチ。発信地域はジュネーブとみられるよう。東西に向けて送信されてる。特に東への送信が多いわ」
「了解。明日はジュネーブ上空で発信場所特定をしてもらいたい。発信場所が特定できたら連絡を」
カイはサラにそう伝えると地図を広げた。
スイスのジュネーブから西への通信はおそらくカナダのドームだろう。東西の回数が違うということは中継地点ではなくジュネーブが発信元に違いない。東の方が回数が多いということは東に重要な拠点があるということだ。
スウェーデンはスイスから北の方角だから、明日はスウェーデンではスイスより東を飛行した方が良さそうだとカイは考えた。
カイはアランに連絡を取った。
「サラからジュネーブで東西に向けての電波をキャッチしたと報告があった。おそらく西はカナダのドームに向けてだろうと思う。そこでジュネーブより東を徹底的に捜索しようと思う。アランたちは明日オーストリアからクロアチアまでを捜索してもらいたい。僕たちはルーマニアを捜索する」
カイが伝えるとアランは「了解」と言ってオーストリアに向かった。
カイたちは今からルーマニアに向かうと太陽が上がってしまうのでスウェーデンの南の端の森林で駐機して、陽が沈む直前にルーマニアに向かうことにした。
サラたちの乗った小型宇宙船は太陽が昇るまでジュネーブの上空で電波の発信を待っていたが、電波を拾うことはできなかった。近くの山林に駐機して電波探知機を作動しながら交代で休み、日が暮れるのを待った。
太陽が沈むとサラたちの乗った小型宇宙船は再びジュネーブ上空で電波が発信されるのを待った。
深夜、東に向けて電波が送信された。発信元も特定することができた。サラはカイに連絡をした。
「電波の発信元が特定できたわ。あれは海ではなくて湖というものかしら、その湖から約8㎞西から発信されているわ」
「何か見えるか?」
カイが聞くとサラは赤外線双眼鏡を覗いていたニコルに声をかけた。
「ニコル、下に何か見える?」
「建物がありますが、明かりがついている様子はないですね。周りにも建物の残骸があります」
ニコルが赤外線双眼鏡を覗きながら答えた。
「建物やその残骸はあるそうよ。明かりがついているとかはないようね」
サラがカイに伝えた。
カイはアランたちとも合流して発信元に潜入する作戦を立てるためジュネーブに集合するとサラに言った。
「了解。近くの山林で駐機しているわ」
2時間経たないうちにアランたちが乗った小型宇宙船が、その1時間後カイたちの乗った小型宇宙船が、ジュネーブのサラたちが駐機している山林に着いた。
カイたちはサラたちの乗る小型宇宙船に集まり今後のことを話し合った。
カイたちはスイスの地図を広げ、ラージが撮ったIRイルミネーターカメラの映像と照らし合わせながら電波の発信元を地図上で探した。
「この辺りが発信元だと思うわ」
サラが地図を指差しながら言った。
「ここは……素粒子の研究所があったところじゃないかな」
カイが言った。
「素粒子って…全ての物資の最初の根本の……要素?だよね」
フラマが自信なさそうに言った。
カイは頷いた。
「地下100mに巨大な研究施設があると本で読んだことがある」
「地下100m……小惑星が衝突した後、そこに避難した地球人がいて、今も生活拠点にしている可能性があるな」
アランが言うとみんな頷いた。
「アマヒもいる可能性高いわね」
サラが言うとオリバーが頷きながら言った。
「どうやって潜入するかだな」
「地上には明かりが全く見られなかったから今も地下で生活していると思う」
ニコルが言った。
「地下施設への入り口を探す必要があるな」
そ言うとカイはしばらく考えてから言った。
まず施設を明るいときに低空飛行で撮影することを提案した。
明るい方が暗がりで撮影したものより数段わかりやすくなる。出入り口も人の動きが日中の方があるはずだ。ただ、見つかる可能性が極めて高いので、1機だけが夜が明ける前から待機し、夜明けと同時に撮影をする。
撮影をしながら映像を残っている小型宇宙船に送る。送られてきた映像を解析しながら出入り口の特定を行う。
撮影中の小型宇宙船が見つかれば東に向かって飛び追ってを惹きつける。相手が武器を搭載していたらそのまま地球脱出して宇宙で待機。追手がなければそのまま電波探知機で東への送信先の捜索の続きをする。
出入り口の特定ができたら残った2機のうち1機はそのまま待機。もう1機は暗くなってから出入り口付近まで飛び3人が降りて捜索をする。
出入り口の特定ができなかった場合にはそれらしい場所に2人ずつ分かれて捜索をする。
カイの提案にみんな頷いた。
次の日の作戦実行に備えて交代で見張りをしながらみんな身体を休めた。
夜明け前、作戦実行の時間がきた。
1機目はノアが操縦、副操縦にマナ、撮影をエリオス、探知機係をラムスで飛行することになった。
「相手はレーザー砲を所持している。無理をせず、見つかったらすぐに東へ逃げてくれ」
カイはマナたち4人に言った。4人は大きく頷いて小型宇宙船に乗り込んで離陸した。
残った者たちはみんなモニターの前で映像が送られてくるのを待った。
夜が白々と明け始めた頃、モニターに映像が映った。
はじめに広範囲の映像が映った。地上の建物はほぼ崩壊している様子だった。
小型宇宙船は高度を下げ、建物の詳細がわかるぐらいの映像が送られてきた。
ほぼ崩壊している建物の中に修繕をしているような建物が2ヶ所ほどあった。
カイがもう一度その場所を撮影して欲しいと連絡し、マナたち小型宇宙船が撮影していると中から人が数人現れて、小型宇宙船を指差す様子がモニターに映った。
小型宇宙船はそのまま上昇してその場所を撮影した。
すると大型トラックが現れて荷台の屋根が開き始めた。
「レーザー砲だ。東に逃げろ!」
カイが言うと小型宇宙船は東へと猛スピードで飛んだ。小型戦闘機が後を追うようにして飛んでくるのを確認したマナはこのまま地球を脱出することを伝えた。
高度5万フィート以上まで上昇すると小型戦闘機は諦めて戻って行った。
カイたちは改めて映像を見直して出入り口の確認や周りの状況を把握した。
1ヶ所は人が現れたので間違いなく出入り口だ。もう1ヶ所それらしい場所があった。
3人ずつ二手に分かれて捜索することになった。
人がいた出入り口をカイ、サラ、ドユンで、もう1ヶ所をアラン、オリバー、ユートが捜索することになった。
6人はハオが操縦ニコルが副操縦の小型宇宙船で日が暮れてから出入り口付近で降ろしてもらい、それぞれ捜索する。残りは待機して何かあったときの援護にまわる。
カイたちは太陽が沈むのを待った。




