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第一部 第四章 ④

 カイとドユンはエレベーターから降りるとみんなに集まってもらった。

 地上は戦車が3台、エレベーターの入り口に砲身を向けて待機していることを話した。


「ここから抜け出す方法は二つ。一つ目は大気圏上空に待機している大型宇宙船にはレーザー砲が搭載されている。大型宇宙船に来てもらって戦車を破壊してもらう。ただし、地球側もレーザー砲を持っているし、月から運んだ高速ミサイルを取られている。大型宇宙船がやられるリスクが大きい」


 カイはここでひと息ついてみんなの顔を見た。疲れ果てた顔をしている者も少なくない。今はゆっくり休ませるか、行動するか悩んだが、明日明るくなれば監視の目が増えますます動けなくなるし、アマヒがどう仕掛けてくるか予測が立たない。

 カイは今行動することを決意した。


「二つ目の方法は戦車に乗っている兵士を周りに気づかれないように倒す。外は今真っ暗だ。暗闇に紛れて戦車に近づき3台同時に中の兵士を全員倒し、その後にみんな外に出て、大型宇宙船を呼んで乗り込む。しかしこれもリスクが伴う。いかに気づかれずに戦車に近づき素早く兵士を倒すかにかかっている」


 全員無言だった。

 腕組みをして聞いていたサラが言った。


「それでいきましょう。後の作戦の方が失敗しても被害が少ないわ」


 カイは頷いた。


「戦車に向かう者は3人。1人1台だ。何かあったときの援護に1人、エレベーターで待機する。レーザーガンが4挺しかないのでその人数で手一杯だ。僕と行動をしてくれる者はいるか?」


 サラとドユンは真っ先に手を挙げた。続いて戦闘員が3人手を挙げた。

 カイは手を挙げた3人の戦闘員をじっと見た。


「君の名前は?」


 カイは1番手前で手を挙げている者を指して言った。


「ユート・コウヅキです」


「ではユート、君はエレベーターに残って何かあったときの援護を頼む」


「了解しました!」


 カイは4人で詳細に作戦を立てた。


 まず見つからないようにほふく前身で戦車に近寄り、後方から砲塔に登りハッチを静かに叩く。兵士がハッチを開けた瞬間を狙ってレーザーガンを撃つ。すぐに運転席まで降りて同じようにする。この動作を3台同時に行う。もし我々が砲塔での実行途中で運転席の兵士が出てきてそれに我々が気づいていなかったら、ユートが援護をする。

 戦車を上手く乗っ取ることができたら、戦闘員らに静かに地上に出てもらいピラミッドの反対側に待機、すぐに上空の宇宙船を呼び、全員を乗せて離陸する。


「作戦が失敗したときは?」


 ユートが聞いた。


「ユートがすぐに下に叫んでエレベーターのボタンを押してもらえ。地下で待機しながら相手の出方を待つことになる。僕たちがエレベーターに乗れるかどうかはそのときの状況次第だ。覚悟はいいか、サラ、ドユン」


 ドユンは頷いた。


「もとより覚悟はしてきているわ」


 サラも答えた。

 カイは兵士の頭のゴムを4つ分剥がした。兵士の頭部部分の機械があらわになった。

 カイはその黒いゴムの覆面を渡しながら言った。


「これを被っていく。黒いから暗闇に紛れるだろう。特にサラ、金髪と色白の肌が暗闇で浮かんでしまうから」


 サラは被らないと言うつもりだったが、先手を打たれて被らざる得なくなった。


「夜が明けるまでに終わらさなければならない。よし、行くぞ!」


 3人は頷いてエレベーターに乗った。戦闘員がボタンを押し、エレベーターはゆっくり上へ上がって行った。


 エレベーターが地上に着くと4人は身をかがめて目を凝らして周りの様子を伺った。辺りはシンとして何かいる気配はなかった。

 カイは腕を振り実行の合図を送った。

 カイとサラとドユンはほふく歩行で静かに前進してそれぞれ戦車の後方までたどり着いた。


 カイは一息ついてからそっと戦車に登り砲塔のハッチを叩いた。

 ハッチが開きかけたとき、カイはレーザーガンの銃口をハッチの隙間に差し込み撃った。ガシャンと倒れる音がした。

 カイはハッチを開いて中を見た。兵士は一体しかいなかったようだ。

 カイはすぐに運転席に降りハッチを叩いた。ハッチが開きかけたとき、先程と同じように銃口を隙間に入れレーザーガンを撃ったが、当たり損ねた。

 兵士がハッチを全開し、銃を構えて上半身を出した。カイは素早く開いたハッチの陰に隠れすぐにレーザーガンを撃った。今度は当たった。

 兵士は運転席に倒れ込んだ。カイは運転席を覗いた。運転席も兵士は一体だった。


 ユートは注意深く3台の戦車と周りを見守っていた。暗闇なのでよく見えないが、静寂なのは上手く事が運んでいる証拠だと思った。

 カイが向かった戦車の運転席の上でレーザーが光ったのが見えた。ユートは目と耳を凝らしたが大丈夫そうだった。

 サラの向かった戦車の運転席のハッチが開いたのか光が漏れた。サラは今どこにいるのか、ユートは少し近づいて目を凝らして見た。砲塔から降りようとしている人影が見えた。

 ユートは今降りるとヤバいと思った。ユートは援護のために戦車に急いで近づいた。すると運転席のハッチから兵士が出ようとしていた。ユートは兵士にレーザーガンを向けた。ユートは初めて持つレーザーガンに手が震えてなかなか引き金を引けなかった。

 レーザー照射に気がついた兵士がユートの方を見て銃を構えた。ユートは一瞬頭が真っ白になった。


 カイは無事作戦を終え、隣のサラが向かった戦車に近づいた。砲塔の方を見るとサラはまだ上にいるらしい。サラは兵士を倒したのかゆっくり砲塔から降り始めた。そのときの運転席のハッチが開いた。カイは戦車の陰に隠れたが、サラが危ない。

 一か八かカイは運転席の近くに飛び出した。すると兵士は前方に銃を向けてそちらに集中していたのでカイが斜め後ろにいることに気づかなかった。

 カイはレーザーガンで兵士を撃った。兵士はその場で倒れた。

 サラが降りてきたときにはちょうど兵士が倒れたときだった。


「サラ、大丈夫か?」


 カイの声が微かに聞こえた。

 サラはカイの近くに行った。


「降りてきた途端に兵士が倒れるから、わたし念力でもかけたのかと思ったわ」


 サラは小声でカイに言った。カイはくすりと笑った。


 ユートは間一髪で助かった。冷や汗が溢れ出た。足もガタガタ震えている。ゲームで何度も戦いは経験したが、ゲームより遥かに恐ろしく、命の危険に晒されると脳が働かなくなることを実感した。


 ドユンも無事に作戦を終えた。

 4人はエレベーターに集まり、互いに作戦成功を讃え、腕を叩き合わせた。


「今から戦闘員らを上に上げる。サラとドユンとユートはここで見張っていてくれ」


 カイはそう言うとエレベーターの隙間からボタンを押すようにと弱めに叫んだ。

 エレベーターを降りながらカイはオリバーに連絡をし、上空で待機している宇宙船を今すぐ向かわせるように言った。場所は1番高いピラミッドの戦車が3台置いてある付近にと。


 エレベーターが下に降りた。戦闘員らはカイを不安そうな目で見たがカイが覆面を取り、笑顔で親指を立てると歓声が湧き上がった。


「まだ敵がいなくなったわけじゃない。我々の行動に気づけばすぐに兵士がやってくる。静かに慎重に行動してくれ。地上にの方が危険なので怪我人は最後に、20人ずつエレベーターに乗って上へ上がる。上に上がったら宇宙船が来るまで石のように動くな」


 全員口を一文字に締めて頷いた。

 エレベーターに20人が乗った。

 カイはエレベーターのボタンの前に立ち言った。


「エレベーターが止まったら5秒後にボタンを押す。それまでに全員降りてくれ」


 カイはそう言うとボタンを押した。エレベーターはゆっくりと上へ上がって行った。

 エレベーターが止まるとカイは5秒数えてボタンを押した。エレベーターはゆっくりと降りてきた。

 続いて20人が乗ってエレベーターは上へ上がり、再び降りてきた。

 ラージと残りの戦闘員8人が乗った。


「ジョージ、今は連れて行けないけど必ず迎えに来るからここで待っていてくれ」


 カイははジョージの遺体に向かってそう言うとボタンを押し、動き始めたエレベーターに飛び乗った。

 ちょうどカイたちの乗ったエレベーターが地上に着いたとき大型宇宙船が着陸した。

 みんなは暗闇の中静かに宇宙船に乗り込んだ。


 オリバーの小型宇宙船も来ていた。カイはオリバーに放置してきた小型宇宙船のところまで連れて行くように言った。


 カイとオリバーは大型宇宙船を見送り、小型宇宙船に乗り込んだ。

 離陸したところで大型車両が現れたのを見た。

 大型宇宙船が着陸したの察知したのだろう。時すでに遅しだとカイは心の中で大型車両に向かって言い、緊張が少しほぐれていくのを感じた。


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