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悪役令嬢ですが、婚約破棄の“保険”で王都を黒字化します

作者:林涼子
 王都の夜会で、王太子は—香の焔ゆらめく中央階段の上で—宣言した。
「本日をもって、レティシア・エルノアとの婚約を破棄する!」
 礼装の海が割れ、扇が震える。舞踏曲は止まり、嗤いが始まる。
 でも、その一言はわたくしの売上でもあるの。
 婚約破棄・誹謗・婚前投資の無効化。誰もが見て見ぬふりをしてきた“社交の事故”に価格をつけて、保険で片付ける。わたくしが設計したのは〈婚約破棄包括補償(通称:破棄保)〉。公開宣言+名誉毀損+婚前支出をトリガーに、仮払い48時間、最終支払30日、逆告発時の弁護士費用100%補填。
 殿下の一声と同時に、わたくしは扇の裏で約款第7条を開く。

「王侯貴族による一方的破棄宣言は“重大事故”とみなし、立証責任の転換を適用する」
 つまり、泣くのは相手側。
 保険金で屋敷の債務を整理し、寄宿学園の寮費基金を創設、下町の縫製工房に長期発注。わたくしの“ざまぁ”は個人への報復で終わらせない。仕組みで、王都全体のリスクを引き受けて、黒字に変える。
 対立するのは、噂で利益を吸うゴシップ商会、恩赦を餌に縛る宮廷法務局、そして“愛”の名で不公平を正当化する人々。
 さあ、涙の値段を見積もりましょう。条文は鋭利に、ロマンスは法に基づいて。
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