名乗られた。
キャラクターの名前決まった。
追放されて今宇宙。
とりあえず、宇宙に馴染もう。
「突然宇宙に連れてきて失礼しました。ちゃんと言葉わかってよかったです。」
ドア越しに確認がとられた。
ドアの向こうのマネキンは、私と同じ四肢の形をとっている。
博物館にあった有名な全裸の男の像のレプリカのように引き締まった手足をしている。
そしてここが宇宙であることが確定した。
「わかるよ。それよりどうして私を宇宙に連れてきたの」
ゆっくりと出入り口であろう部屋のハッチが開く。
マネキンの銀色の手がマネキンの顔を指差す。
「それは、君が地球に帰れなくなったから。君の目に俺の手の金属が入ってとれなくなってしまったから。」
そのことを言われて、顔を触る。
柔らかく、滑らかな肌ではない何かが覆っている。
左目の部分は、瞼がなくまつ毛もない。
グニグニとした仮面のようなものが覆っていた。
「嘘でしょ」
私は口元を抑える。
宇宙についたんだ。
あのキラキラの空の中に私はいる。
嬉しくて震える。
右目がぼやける。
瞬きをすると、小さく丸い涙の雫が指先についた。
「不安なことも多いと思う。
けど安心して、俺、アルゴス・ペネロペがしっかり君のことを保護するから」
マネキンの名前はアルゴス・ペネロペというらしい。
というか言葉がわかるのはとてもラッキーだ。
そして、保護とは身元を養ってくれるということか、これまたラッキー。
「よろしく、アルゴス・ペネロペさん。私はオーディ・イエス・スズ。」
私はハッチを自分から開けて、右手を差し出した。
どうせ一度は捨てた命。
目の前のこの人の話を信じてみよう。
裏切られた時は、その時はその時。
「君が宇宙で生きていけるように、しっかり支援するから」
そう言って生暖かい金属の手で握り返してくれた。
衣食住に困ることはなさそうでよかった。
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