前編:あなたもミステリーハンター
普段は小説を書いている、七星曜と申します。
名前をご覧の通り、星が大好き。他にも不思議と旅好きで、縄文遺跡が大好き。
数千年の時を超えて、土に埋もれた土器や土偶にはロマンが満ち溢れています。
そんな私は、ユネスコ文化遺産にもなっている "北海道・北東北の縄文遺跡群" の中で、三内丸山遺跡、御所野遺跡、大湯環状列石等の縄文遺跡を巡った事があり、その際に興味深い事に気が付きました。
不思議オタクの知識を総動員して個人的に推測した内容になりますが、謎や縄文好きの皆さんに楽しんでいただけたらと思います!
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~翔龍道発見!~
皆さま、ご興味があって縄文遺跡群を旅したい時、まずは北東北の地図をご覧ください。
岩手県の岩泉町に龍泉洞がありますが、そこから青森の青函トンネルがある龍飛岬まで線を引くと、ちょっと面白い事になります。
私はふたつの"龍"がつく地名を結んだそのラインを、勝手に"翔龍道"と名付けているのですが、龍泉洞からそのラインを辿ると、少々ズレはありますが、ライン上に御所野遺跡、大石神山、小牧野遺跡、三内丸山遺跡、太平山遺跡が並んでいるのがお分かりいただけると思います。
この中の大石神山をご存じない方、実はここは日本のピラミッドではないかと言われている、東北のミステリースポットなんです。
キリストの墓で有名な新郷村にあり、太陽信仰の場ではとの説があります。(新郷村HPに公式に載っております)
私が勝手に命名した"翔龍道"、古代ロマンが凝縮しております!
不思議好きな方へ、ここからミステリーとグルメの旅へご案内いたします。
~御所野遺跡~
さて、まず初めにご案内したいのが、岩手県一戸町にある”御所野遺跡”です。
こちらの遺跡、小高い丘の上にある遺跡で、晴れた日にピクニックに行きたい様なのどかな良い所で、実は私が一番注目している遺跡です。
こちらの遺跡はストーンサークルを中心に、東西に広がる敷地に竪穴住居跡が多数見つかっています。
丘の上にあるため見晴らしが良いのですが、このストーンサークルのある位置から周囲を見渡すと、天文学好きならピンとくるかもしれません。
東南に二ッ森山、西北に茂谷山が見えるのですが、この角度……恐らく二ッ森山は冬至に日が昇る位置に、茂谷山は夏至に日が沈む位置に当たっていると思われます。
これだけだと偶然と思われるかもしれませんが、天文学、民俗学好きな人間にかかると、さらに見えてくるものが在ります。
ストーンサークルのすぐ近く、西南方向に盛土遺構があるのですが、ここ、ほぼ間違いなく祭壇です……!
同じく有名なストーンサークルのあるイギリスのストーンヘンジでは、夏至の夜明けに儀式が行われ、伊勢の二見興玉神社も夫婦岩から日が昇る時に儀式を行いますが、御所野の盛土遺構は、夏至にストーンサークルを囲む堀立柱建物の間(東北の方角)から登る太陽が見られる位置にあるのです。
冬至は夏至と反対で、夜に儀式を行いますが、この盛土遺構は冬至に日が沈む西南にも向いているんです。
ーーつまり、夏至の日の出と冬至の日没の儀式をするのに丁度いい位置に盛土遺構があるんですね。
一戸町の調査では、盛土遺構から焼けた獣の骨や土器などが大量に出土しており、祭祀跡ではと推測されています。で、この獣の骨ですが、鹿やイノシシだとのこと。
鹿と言えば、角の生え変わりから、季節や豊穣、復活、再生の象徴とされています。
冬至は太陽の勢いが衰えた後に再生する日と言われる為、鹿を捧げるのは復活や再生の意味のある事だったのかもしれません。
また、北欧では冬至やクリスマスにイノシシ(または豚)を食べるんです。豊穣の意味があるそうです。
海外で古くは冬至に燔祭がありました。
恐らく、当時の縄文人は御所野遺跡で夏至と冬至の祭祀を行っていたのでは……と推測しています。
縄文時代の話に海外は関係ないのでは?と思う方もいるかもしれませんが、御所野遺跡で出土する円筒土器、実は中国の遼河文明からも似たものが出土しています。
また、ストーンサークルはイギリスが有名ですが、カザフスタンからモンゴル、シベリアに至るまでの土地に広がるアファナシェヴォ文化でお墓として設置されていました。
日本のストーンサークル付近もお墓となっているため、意外に海外との類似点が多いのです。
そして、御所野遺跡の竪穴式住居は珍しい事に土を屋根に盛っているのですが、それがヴァイキングの住居にそっくりです。
ヴァイキングはお墓にストーンサークルを作るので、まるで御所野遺跡はヴァイキングの村みたいです。ヴァイキングは大型住居も作っていて、御所野遺跡にも大型住居があるんですね。恐ろしい程の一致!
もしかしてですが、何らかの文化が伝播している可能性は大いにありそう。
それと、山と太陽というと、シュメールの太陽神ウトゥ神(シャマシュ神)は山の間から現れるそうで、冬至に二ッ森山(2つの山頂がある)から現れる太陽はぴったり合致しています。
古くは冬至を一年の始まりにしていた事もあるので、御所野に居た縄文人は、『山から登る新年の太陽・太陽神』を見ていたのかもしれません。
御所野遺跡は天文学や民俗学的な考察が当てはまる興味深い遺跡で、私がまだ気付いてない謎が潜んでいるのかもしれません。面白いですよね。
そして、旅と来たら美味しいものです。
私の小説にはよく海外の珍しい料理などが出てきますが、エッセイでも美味しいものをご紹介しちゃいます!
御所野遺跡のある岩手県一戸町周辺のおススメは、奥中山高原牧場のアイスクリームです。
こちらではジャージー牛乳を使った乳製品が揃っていまして、クリーミーでコクがあって美味しいんです……!
さらに北上すると、二戸市に入るのですが、道なりにある産直もオススメですよ。
岩手は野菜が大きい……!時期によるのですが、色んな品種のリンゴが売られていたり、シイタケが肉厚だったりして(バター醤油焼きがジューシー!)本気で買い込んでしまいます。
珍しい山ぶどうジュースは栄養豊富で、他にはない商品なのでは。
そして、お時間があれば久慈市へもどうぞ!
こちらは太古の恐竜時代に遡る、国内唯一の琥珀博物館がございます。
海女さんが出て来る某テレビドラマのロケ地でもあり、白亜紀のワニ類化石が出土している所でもあります。
こちらで買った琥珀の石鹸、お気に入りで何回か再購入しました。
岩手は、南部せんべいの種類がたくさんあるとか、味噌だれの餅や、わんこそばの蕎麦が実は旨いとか、有名なチーズケーキやアワビなどの三陸の海産物が美味しいとか色々あるんですが、ここは先に進みましょう!
久慈に行かれた方は、そのまま北上していただくと、青森県八戸市の是川遺跡へ到着です。
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~是川遺跡~
こちらは土偶マニア界で有名な、合掌土偶と遮光器土偶が出土した遺跡になります。
是川遺跡の何がすごいかと言うと、漆塗りの土器や装身具などが出土したところなんです……!
土器などに彩色された鮮やかな赤色。当時はすでに漆塗りが存在していたんですね。
弓や飾り太刀、腕輪や耳飾り、櫛など、縄文の人達のお洒落さにも注目です!
翡翠の玉も出てきていて、さらに炭化米も見つかっており、当時の文化的先端地域だったのだろうという事が窺えます。
こちらの遮光器土偶、イヌイットの遮光眼鏡をかけている様な姿からこう呼ばれています。
どうもかつては赤色に塗られていたらしく、何の神様だったのかなどはまだ確定してはいませんので、現在とは異なる信仰体系の神様なんでしょうね。
土偶も土器も流線型の手の込んだ模様が本当に見ごたえがあって、縄文の人々の情熱が伝わってきます。
そして是川遺跡へ行かれた方は、八食センターへの寄り道をオススメしますよ!
ここは市場で、好きな具で作れる海鮮丼もあり、買ってすぐ炭火焼できるコーナーもあり、なんとも贅沢。炭火焼コーナーは良い匂いし過ぎ。焼きおにぎりもあるんですよ……!
あと、見た目は不思議だけど、せんべい汁も良い。汁がね、美味しいんですよ!
そうそう、海鮮と言うと、ワダカンさんのダシ醤油”八方汁”が好きで、愛用しております。これ、ホタテやアサリ、カキ等の海鮮エキスが入っていて、料理に大活躍するんですよ。青森も海鮮が旨い!
余談ですが、青森には温泉や銭湯がたくさんありまして、入るとビックリ。
浴場の中央に浴槽があって、それを囲む様にロの字に洗い場が配置されてるのをよく見ます。
東北でも他では見たことない配置なので、多分、青森独特なのかもしれません。
寄り道で発見があって面白いですよ!(石鹸、シャンプー持参の所も多いので、要チェックです)
それから、御所野遺跡から、次は大湯環状列石に行きたい!と言う方もいらっしゃるかもしれません。
直接行かれても良いのですが、回り道をしても良いと言う方にお勧めしたいのが、期間限定になりますが、4月中旬辺りに通行解除される、八幡平のアスピーテラインでの秋田県入りです。
麓の陽気な春気分を吹っ飛ばす、5m位の高さの雪の壁に挟まれるドライブはワイルドなんてもんじゃありません。ちゃんとお天気を確認して行かないと、吹雪に見舞われますよ!(吹雪でドライブできなかった筆者の叫び)
私は吹雪でドライブできませんでしたが、積雪のすさまじさは体験できました。
雪の壁も見れましたが、この道路を除雪する人達って超人なのでは……?と思わず尊敬の念も抱きました。
大自然を味わいたい方にお勧めのルートでございます。