第6話 便利な目玉はダンジョンの奥
「ええ、皆さんにお話があります。」
「何だよ。そんなかしこまって。」モグモグ
真剣な面持ちなマサトに福神は、豚のヒレ肉を食べながら質問した。
「前回受けた任務クエストの報酬金が底をつきそうです‥‥」
「100万ルミナもあったのに!?」ゴクゴク
ユーリンは、大量の麦酒をがぶがぶ飲みながら驚いた。
「何でそんなにお金が少ないんですか?」ゴクゴク
「それだよ!!」
ヒレ肉と大量の麦酒を指しながらマサトは答えた。
「お前らが毎日毎日高級なもん食ったり、無駄遣いしてるからだよ!!誰だよ!S字フック574個も買ったやつ!?いらないだろあんなもの!!」
「オイラのS字フックを馬鹿にするな!」
「お前かっ!!便利なのは認めるけど!そもそもか使えるところがないし、お前の宝箱底なしなんだからいらないだろ!!」
マサトに説教させ、機嫌を損ねたチャムは大声で叫んだ。
「オイラリーダーが裸のエルフのお姉さんが描いてある絵本を買ってるの知ってるんだぞ!!」
「ギクッ」
マサトは、目をそらし手に持ってるエロ本を後ろに隠した。
「へ~さんざん無駄遣いするなといったのに?自分はいいんだ。この世界本が高いのにね。しかも同人誌って。一体いくらするんだろうね?」
「うるせぇ!こちとら現役バリバリの高校生なんだぞ!!エロ本の一つや二ついいだろ!」
「引きこもりだったくせに高校生面するな!あと立つものないだろ!!!」
「グハッ!」
マサトは、痛いところを突かれその場へ倒れ込んだ。
「と、とにかくこのままだと魔王討伐する前に野垂れ死ぬことになる。」
「確かにそれは困ります。」ゴクゴク
「じゃあもっとでかい街‥‥てか国に行くのどうだ?」
「国?」
「ああ、ここから一番近い場所だと‥‥【トレウド】だな。貿易国家で全世界からいろんな品が集まる。そこならもっと任務が多いだろうし、報酬金も高いだろ。それに魔王城に少し近づく。」
「トレウドかぁ。懐かしいな。あそこにはいろいろな美味しいものが集まるんだよ!」
「いいね!よっしゃじゃあ次の行き先は貿易都市。トレウドに決定だ!」
マサト達御一行は、高収入な任務クエストを受けるため、ついでに魔王に少しでも近づくために貿易国家【トレウド】に行くことになった。
数時間後…
「ゼェ‥‥ゼェ‥‥ゼェェェ、ああああああ!!!何で俺ばっかこいつ運ぶんだよ!!!」
箱の中で居眠りしているチャムを指さしながらマサトは叫んだ。
「お前がジャンケンで負けるのが悪いんだろ。」
「体の構造的にグーしか出せないのにどうやって勝てって言うんだよ!!」
「じゃあここら辺で休憩しましょう。ちょうどあそこにダンジョンがありますし。」
「ダンジョンって‥‥そんな公園みたいな‥‥普通にそこらへんで休もうぜ。」
「でも『今らなら【魔眼】無料配布中』らしいですよ?」
ダンジョンの手前に汚い字で立札が飾ってあった。
「何それ、かっこいい、行こう。」
「厨二病が‥‥」
ダンジョンに入ると目の模様が入った祭壇があり、沢山の冒険者が集まっていた。
「なにこれ?コミケの会場かよ‥‥」
「魔眼。ご主人様が持ってたから絶対欲しい!」
「魔眼って何ですか?」
「特別な力を持った眼球だ。未来視、透視その他もろもろ。外付けの特別な魔法みたいなもの。万能な目を持つプロビデンスって言う神が作ったんだ。まぁ、こんな地味なダンジョンにいるわけないし、対価なしで配ることなんてあるわけ――
「その神ってあれですか?」
ユーリンが祭壇の方を指さす。そこには、半袖短パン、ピラミッドのマークのキャップをかぶったわんぱくそうな少年がいた。
「うん‥‥あいつだ‥‥」
「レディースアンドジェントルマーン!よく来たな!!くせ者ぞろいな冒険者たち!!吾輩の名前は、【プロビデンス】。諸君らの知っての通り、この世界に魔眼を作り出した張本人だ!!!」
「うぉぉぉぉ!!すげぇぇぇぇぇぇ!!初めて本物の神見たわ!!!」
「てめぇぶん殴るぞ!!」
福神は、プロビデンスを目の前にして興奮気味のマサトを思いっきりひっぱたいた。
「まぁまぁすぐに配るから落ち着きたまえ!よしじゃあ配ってあげなさい!!」
プロビデンスは、近くに立っていた女性に命令したがあきれたように答えた。
「配るほどありませんよ。プロビデンス様がサボっていたので3つしか完成してないんですから。」
「あ~あ、そういえばそうだったな。ごめん諸君ら配るほど作ってなかったわ。」テヘ
悪気がなさそうに答えたプロビデンスにブーイングが飛び交う。
「ぶーぶー」「ふざけるなー」「この詐欺野郎!」「ショタが調子に乗りやがって!!」
「う~ん‥‥どうすればいいと思う?」
「そうですね‥‥」
女性は少し考えそして冒険者たちに提案をした。
「皆さんは冒険者なんですよね?では冒険者らしくこういうのはどうでしょう?このダンジョンの最深部で我々は、魔眼を用意してお待ちしております。最も早く我々の元へ到達できた3名には、魔眼をお渡しする。これなら納得してくれますか?」
冒険者たちは、女性の提案に納得しブーイングが止んだ。
「お~いいね!それでこそ冒険者だ!!それじゃあちょっと準備してくるから楽しみにしててくれ!!」
「早い者勝ちか。まぁそう簡単に手に入る代物じゃないよな。」
「魔眼の能力で魔法が当たるかもしれません!これは手に入れる価値がありそうですね。」
「オイラもご主人様みたいに魔眼欲しい!」
「くだらね。」
ダンジョン内にどこからともなくプロビデンスのアナウンスが流れた。
「ああーあーこれ入ってる?あ、入ってたわ。こっちの準備が出来たぞ!それじゃあ諸君!魔眼を手に入れれるように頑張りたまえ!それでは‥‥よーい‥‥スタート!!」
「よし頑張r――ってここどこ⁉」
スタートの合図をした瞬間薄明るく照らされた場所へ飛ばされ分断されてしまった。
「あ!言い忘れてたけど!ゲームを面白くするためにお仲間さんとは分断させてもらったから、そこんとこよろしく!!」
「ふざけんなぁぁぁ!!!そういうことは先に言ええぇぇぇ!!!」
「一人‥‥いや一羽ですが魔眼目指して頑張りますよ!皆さん!」
「はぁ‥‥何でワイがこんなこと。」
「ミンナドコ?ヒトリニじゃなくて、ヒトスライムニシナイデ‥‥」
魔眼争奪戦スタート!!
面白ければ、ブックマークと評価お願いします!