第5話 不動のぷにぷに戦士は足りない盾
「作戦スタート！！」
「【充電】」
ユーリンは身体からあふれ出る魔力を集めバリバリと電気をためだした。
「【火の玉】」
マサトの撃った火の玉は、ゴーレムに当たりぱちぱちと音を立てた。
「やーいお前の母ちゃんでーべそ！！」
「このおたん小茄子。」
「ビビってんのか？とっととかかってこいやっ！！」
ゴーレムはものすごいスピードで走り出しマサトを追いかけ始めた。
「ちょっと待て！こういう敵って鈍足なのが定番じゃないの⁉」
「知るか！ゴーレムなんて作ったやつの力量しだいだ！」
「ユーリンまだか？」
「まだです！」
「くっそ、このままだと追いつかれて全滅だ！どうしよう！？」
「確かにな、全員捕まったら全滅だ。そういうことだから、じゃ囮よろしく」
「え？」
福神は、マサトを蹴り飛ばした。
「てめぇぇぇ！！いやぁぁぁぁぁ！！！」
ゴーレムは、マサトを踏んだことによりバランスを崩して
「【拘束魔法】」
福神の手から出た縄がゴーレムとマサトに複雑に絡みついた。
「作戦通り✨」
「非人道的にもほどがあるだろ！！」
「お前が言った作戦だ。速くしないと縄がちぎれるぞ。」
ゴーレムが暴れだし縄がギシギシを音を立て始めた。
「ああもう！！そんなこと分かってらぁ！！ユーリン準備できたか⁉」
「はい！準備完了です！」
「おっしゃ！！くらえ覚えたてほやほや魔力全開の【電撃】」
身体からビリビリと電気を放ち身体全体に電気を帯びた。
「おおおおおししししし今ままままままだだだだだ！！！」
「了解しました！電気魔法最終奥義【雷霆】」
黒い雲が現れゴロゴロと音を立て始め、スライム戦の時とは比べ物にならないほど強力な雷が放たれた。
雷霆をくらったゴーレムは動きは止まりマサトは、身体をピクピクさせた。
「最後はワイだな【窃盗魔法】」
福神は動きを止めたゴーレムに技を使い数を数え始めた。そして‥‥
「‥‥イチ‥‥ゼロ、うおっ！」
5秒数え終わると福神の手に宝箱が現れ、ゴーレムは崩れだし原型がなくなるほどボロボロに壊れた。
「これって‥‥」
「ああ、ワイらの‥‥」
「勝ちだぁぁぁ。」
遺跡のゴーレム討伐成功！
「あぁ体中が痛いし熱いし勝って嬉しいけど最悪だよ‥‥」
「お疲れ様です♪」
「それにしても電流を流して自分自身を避雷針になるなんてよく思いついたな。」
「たまたまだよ。漫画の攻撃をパクっただけだ。そんなことより！」
マサトは宝箱の方を見た。
「これ開けようぜ！あんなに強かったんだきっといいのが入ってるはず！！」
「私新しい杖が欲しいです！」
「宝石、金は全部ワイがもらう。」
「俺は自分を守るための盾だな！よしオーーーーープ―――
「何だ何だ？久しぶりに外が騒がしいな。お祭りか？」
「「「え‥‥喋ったぁぁぁ！！！！」」」
開けようとした瞬間宝箱がしゃべりだした。
「ななななな何ですか⁉」
「宝箱って喋るの？」
「そんなわけないだろ！ゴースト？いやミミックか？」
「残念両方はずれ！正解は‥‥スライムでしたー！」
「「‥‥スライムが喋ったーーー！！」」
箱から出てきたスライムは、普通のスライムとは違い愛らしい目があり意思疎通がしっかりとできた。
「スライムって喋ってチート能力持ってる奴もいるんじゃないの？」
「そんなスライムいるわけないだろ‥‥」
「じゃあ何でこいつ喋ってるだよ。」
「いや‥‥ある程度知識は兼ね備えていたつもりだけどこんなスライム見たことない‥‥」
「ということなので私が質問をするので《はい・いいえ・部分的にはい・部分的にいいえ・分からない》で答えてもらいます。いいですね？」
「オイラ何やらされるの？」
「いいですね？」
「あ、う、うい。」
マサトは、スライムに質問を始めた。
「それではまず最初に‥‥Qあなたは何者なんですか？」
「《はい》か《いいえ》で答えれませんよね？」
「オイラは特別な魔法『みんな友達』を持ってるスライム。【チャム】っていうんだよろしくな！」
「なるほど‥‥オールフレンズって？」
「すべての生物と会話できる能力だ。でも会話できるようになるだけだよな…何でスライムなのにそんなに理性的なんだ？」
福神は、質問するとチャムを寂しそうな顔した。
「昔オイラのご主人様が色々教えてくれたんだ。人に会ったらしっかり挨拶するとか、仲間は大切にするとか、でも多分もういないんだ。何百年も前の話だから‥‥」
チャムの声は今にも泣きだしそうだった。
「オイラがかっこいい戦士になって悪い奴から守るって約束したのにな‥‥」
「お前戦士なのか？」
「う、うん。何できなかったダメダメな戦士だけど‥‥」
「そうかじゃあ俺たちにぴったりだな。」
「え？」
チャムは、マサトの言葉の意味が分からなかった。
「俺らは、冒険者だけどお前みたいなスライムに勝てるかどうかも怪しいほどダメダメな奴らの集まりだ。でも俺らは魔王を倒すという目標がある。もうすでに諦めたいって思うこともあるけど今のところ全力を尽くすつもりだ。だからダメダメならダメダメでいい欠点があればお互い補う。今俺が欲しいものそれは『盾』。もしお前がまだダメダメな戦士でいたいならその『盾』になってくれないか？」
チャムは、目を輝かせたがすぐに迷った顔をした。
「‥‥ホントにオイラなんかでいいのか？だってオイラ――
「ワイらがそのもっといい奴を仲間に出来ると思うか？」
「そうですよ。簡単にそんな人が仲間になったらスライムなんかに苦戦しません。」
「どうやら全員賛成みたいだ。で、お前はどうしたい？」
「オイラは‥‥」
少しの沈黙が続いた。
「‥‥うん！なるよ！欠点を補う『盾』に！」
「そうか！」
2匹はお互い微笑んだ。
「やれやれ。まーた変なのが増えたよ。」
「また賑やかになりますね♪」
「そうだ！まだ自己紹介がまだじゃん！俺はマサト。17歳3月10日生まれうお座血液型B好きな食べ物はこの世界のラーメンよろしくな！」
「ワイは、福ノ神その名と通り神だ。」
「ユーリンです。よろしくです！」
「うん！よろしく！」
「それじゃクエストも成功したことだしギルドへ戻るか！」
マサトと福神とユーリンは歩き出したが、チャムはその場から一歩も動かなかった。
「どうした？」
「‥‥何百年も宝箱の中にいたからハマって動けなくなっちゃった」テヘ
「‥‥えええええぇぇぇぇぇぇぇ！！！」
「ダメだこりゃ‥‥」
「あらら‥‥」
不動の戦士チャムが仲間になった。
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