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へっぽこモンスターな俺たちの異世界攻略法  作者: 小嵐普太
第4章 シャクヤクと捨て身アイドルのコンサート編
41/52

第41話 脱獄は博打とともに

「‥‥は?皆殺しって‥‥何のために?」


シャクヤクの言葉は、あまりにも突拍子もなく、現実感を欠いていた。


「交渉材料ってところかな〜?今の魔王軍、マサトくんと二代目勇者がデルフィニウムを倒して、さらに黒龍まで討伐しちゃったせいで大混乱中なの♪ だってさ、何十年も顔ぶれが変わらなかった魔王幹部に、先代勇者ですら手を出せなかった化け物たちを倒しちゃったんだもん♪ だから魔王(あの方)は、マサトくん達を危険分子と捉え賞金首にして抹殺しようとしてるんだよ~♪」


シャクヤクは、張り詰めた空気をものともせず、ひょうひょうと笑っていた。だが、その無邪気さの裏には、冷酷なまでに研ぎ澄まされた計算が隠れていた。


「でも、そんなの勿体ないじゃん♪そんな逸材を消しちゃうなんて~♪だから優しいアタイから1つ提案♪マサト君が魔王軍(こっち)に来るなら誰も殺さずに手を引いてあげる♪無関係な人が巻き込まれたりやユーリンさん達とお別れは嫌でしょ?」

「‥‥」

「ヤマグチさん‥‥。」


マサトは一言も発さず、ただ黙って俯いていた。


「分かるよ〜♪悩むよね〜♪そんな簡単に決められることじゃないもんね♪だから、猶予は1時間あげる♪ 提案を受け入れるって決めたら、大声で『仲間になる!』って叫んでくれたらOK♪ 逆に受け入れられないなら、この島にいるアタイを見つけて、堂々とそう言ってね♪ あ、ちなみに時間内に何の宣言もしなかったら、皆殺しにした後無理やり仲間に引き入れるから、そこんとこよろしく〜♪じゃ、1時間後にまたね〜♪」


シャクヤクは鼻歌を口ずさみながらスキップし、そのまま楽しげに闇の中へ姿を消した。


「……うしそれじゃあ脱獄するか。」


顔を上げると先ほどまでの重苦しい雰囲気が嘘のように、マサトはあっさりと決断を下した。


「え!?そんなにあっさり決めちゃうんですか!?沢山の人の命がかかってるんですよ!!」

「何いってんだ。沢山の命だからだよ。ただでさえ1時間しか無いんだどうこう迷ってる暇はない。それに‥‥あんなクズどもの下に絶対ついやるもんか!!俺はな!!自分より格下の雑魚だと思ってるやつに勝利して悔しがる顔を見るのが大好きなんだよ!!!」


さっきまで怯えていたのが嘘のように、マサトがゲス顔でイキり始めたことに、コウは呆気にとられた。


「‥‥ハハ、なんですかそれ。けどまあ確かに、それくらい勢いがあるほうが僕に突っかかってきたヤマグチさんっぽいですね。」


だが同時に、シャクヤクの脅しにも動じないその態度に、なぜか不思議な安心感を覚えた。


「で?どうやって脱獄するんですか?」

「そんなの今から考えるに決まってるじゃん。」


コウは、ちょっとした魔法では到底破れそうにない頑丈な檻からどうやって脱出するつもりなのか気になり、マサトに問いかけた。するとマサトは、まるで当然のことのように、何の策も考えていなかったことを平然と口にした。


「まさかのノープランですか‥‥。仕方ない。一か八かこれに賭けるとしますか。」


そう言うと、コウは自分の口の中に手を突っ込み十円玉を一枚取り出した。


「ゲッ、キッタねぇ〜。何だそれ、大道芸か?ていうか、何で十円玉なんだよ。もっと実用的なもの出せよ!」

「考えなしのあなたに言われる筋合いは、ありません!!これは【口の中に物を収納する魔法】です。それにこの十円玉は、僕の特別な魔法(ユニークスキル)を使う上で重要なものなんですよ!」


コウは、何の変哲もない十円玉をまるで宝物のように握りしめたあと、それを高々と掲げて見せた。


「【目標(ターゲット)】この牢屋からの脱獄。【賭け金(ステークス)】十円玉!」


コウが魔法を唱えると、手にしていた十円玉はふっと消え、代わりに彼の頭上に「1」という数字が浮かび上がった。


「僕の特別な魔法(ユニークスキル)は、目標を宣言し大切なものを賭け金として支払うことで、ランダムな魔法を発動できます。でも、能力を使うまで何が起こるか分からないし、殆どが使えない物ばかりなのであんまり期待しないでくださいね。【賭博魔法(カオス・スロット)】」


コウが特別な魔法(ユニークスキル)を発動させた瞬間、頭上に浮かんでいた「1」が「0」へと切り替わった。同時に、空間から紙やハサミ、ノリをはじめとする無数の工作道具が溢れ出す。その光景に、マサトの胸に嫌な予感が走った。


「おい。どんな魔法スキルだった?」

「……【30分間工作がプロ級にうまくなる魔法】」

「‥‥マジで当てにならないな。」

「だから言ったじゃないですか!!もうこの魔法スキル嫌い!!」


クソヘボ魔法スキルを引き当てて項垂れるコウを横目に、マサトは何とか工作の能力を活かせないかと頭を巡らせた。


「待てよ。お前そこにあるやつだけでマジックハンド作れるか?」

「まあ、プロ級なので作れるんじゃないんですか?」

「よし、じゃあとっとと完成させて脱獄すっぞ!」

マリオパーティーのメダルゲームで777の確変出したのはいい思い出だ

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