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へっぽこモンスターな俺たちの異世界攻略法  作者: 小嵐普太
第1章 始まりのチュートリアル編
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第4話 ビギナー狩りの即死ダンジョン

3匹はギルドで任務クエストを受け、あるダンジョンの前に立っていた。


「マジで最高難易度の任務〈クエスト〉受けやがった……」

「未開拓のダンジョンだろ? 余裕余裕!」


自身に満ちたマサトに対し、他の二匹は対照的に絶望の色を浮かべていた。


「マサトさん……挑戦した人が帰ってこないから未開拓なんですよ……」

「ま、まあ俺には相棒の輪廻がいるから!」

「はぁ、しょうがない。最悪こいつを盾にすればいいか」

「それもそうですね」

「おい」


三匹は足を揃え、ダンジョンへと踏み込んだ。

ダンジョン攻略、スタート!


「火炎斬り……安直だな。ブレイズ斬り……ダサいな」

「技名決めてる場合じゃないですよ。他のダンジョンと違って何が起きるか分からないんですから」


マサトはクソダサい技名を考えつつ、ガツガツ進んでいった。


「大丈夫だよ。俺がいれば華麗な身のこなしで敵も罠も難なくクリアできるから」

「50メートル10秒が華麗な身のこなしってなんだよ」

「黙れ! ていうかお前らビビりすぎなんだよ。強い敵が出たら逃げればいいし、罠もよく見りゃ回避でき――ああああぁぁぁ!!」


マサトが落とし穴のスイッチを踏んだ。

次の瞬間、床が崩れ、大量の針が林立する穴へと真っ逆さまに落ちていった。


「ほら言わんこっちゃねぇ」

「自業自得ですね」

「心配の気持ちとかないのかよ!!! 俺じゃなかったら死んでたぞ!!!」


針だらけの身体にもかかわらず、二匹は冷静に説教した。怒りながらもマサトは壁をよじ登り、穴から這い上がった。


「そんだけ叫べるなら大丈夫だ。どうせ無傷なんだからいいだろ」

「ダメだこいつら……それにしても全身穴だらけから本当に再生するんだな。逆に怖い」

「……これでよし。マサトさん、罠の位置メモってるんで、とりあえず全部引っかかってください」

「人の心ないんか!!!」



その後もマサトは串刺しにされたり、丸焦げにされたり、毒に侵されたりしながら、このダンジョンにあるありとあらゆるトラップに次々と引っかかっていった。


「どうやらこれで最後みたいです。お疲れさまでした」

「……して……殺し……て……」

「安心しろ、次は最後の部屋だ。多分たくさんの宝があるぞ」

「よし行こう。速攻で行こう」

「切り替え早いですね……」


ダンジョン最深部。最後の部屋にふさわしい、巨大で厳かな扉が鎮座している。



「絶対ボス戦前だろ……俺らで勝てるのかよ」

「モンスター自体はそんなに強くなかったし、主も大したことないんじゃないか?」

「待ってください! いやな気配が――」

「オーーーーープン!!」


ユーリンが止める間もなく、マサトは勢いよく扉を押し開けた。だが、そこに広がっていたのは戦利品でも秘宝でもない――ダンジョンの一部が崩れ落ちた無残な残骸だけだった。


「何だよ、期待させといて損した」

「おい待て!!! 俺がただ拷問受けただけじゃないか!!」

「おかしいですね……確かに変な気配は感じましたが……」

「そんじゃ帰――」


帰ろうとした瞬間、扉が音を立てて閉まり、瓦礫がうごめき出した。やがてそれは巨大なゴーレムへと姿を変えた。


「うおぉぉぉぉ、かっけぇぇぇ!!!」

「ほらやっぱり!」

「お前ら興奮してる場合か?」

「よっしゃ! 俺に任せろ!」


マサトは輪廻を抜いた。刃に触れた瞬間、狂気めいた力と凍りつくような寒気が全身を貫いた。


「すげぇ、力がみなぎるぜ。今なら何だって斬れる!」


そう言うとゴーレムへ飛びかかり、腕をスパッと斬った。


「すごいですよ、マサトさん!!」

「あんなヘナチョコでも、あそこまで力を引き出すとは……流石名刀」


しかし切り落としたはずの腕は、すぐに元通りにくっついて再生する。


「な、直りましたよ!」

「そりゃそうだ。ゴーレムは核を破壊しない限り再生し続ける」

「じゃあマサトさん! さっきのもう一回――マサトさん?」

「無理ぃ……疲れたぁ……」


マサトは力尽き、その場にへなへなと倒れ込んだ。


「えぇ!!!?」

「どうやら刀に魔力、いや生命力を吸われたみたいだな。【拘束魔法バインド】」


福神が倒れたマサトを捕らえ、引き寄せる。


「そんなことできるんですね」

「魔法は使いようだ。生き物の数だけ、その使い方がある」

「んなことよりぃ。あいつどうやって倒すぅ? ちなみに輪廻はもう使えないよぉ」

「一つ手はある。」


福神は、冷静に手を上げた。


「ワイには神的な能力はない。でも神っぽいことはそれなりにできる。確実に奪える窃盗魔法【スティール】とかな」

「ま窃盗魔法(スティール)で核を盗るんですか?」

「ああ。ただし『五秒間、対象に触れている』のが条件だ」

「つまり私たちが時間を稼げばいいんですね?」

「あ」


マサトが何かを閃いたように、こっそり声を漏らす。


「いや、ないないない。絶対こんなことしたくない」

「何だ? 考えがあるなら言え」

「嫌だ、言いたくない!」

「マサトさん、答えてください」


ユーリンはにっこり笑いながら杖を向け、マサトを促す。


「ああ、もう分かったよ! 言えばいいんだろ、言えば!!」


嫌々ながらも、マサトは作戦を語り始めた。


「いや、でも成功するとは限らないし、出来なかったことにしよう……」

「確かに、それなら隙ができそうだ」

「私もそれなら攻撃を当てられそうです。やってみましょう」

「えぇ、マジでやるの?」


マサトは渋い顔でユーリンを見た。


「言い出しっぺはお前だ。それとも一生あの殺戮人形と暮らすか?」

「……ああ、もう!! 分かったよ!」


やけくそになったマサトは、しぶしぶ立ち上がった。


「てかお前、動けるのか?」

「かったるいけど生命力は回復してると思うから、走るくらいはできるよ。そんなことより、準備はいいか?」

「うい」「はい!」

「じゃあ、作戦スタート!!」

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