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へっぽこモンスターな俺たちの異世界攻略法  作者: 小嵐普太
第4章 シャクヤクと捨て身アイドルのコンサート編
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第37話 狂人ファンは恵まれない

「何なんですか?急に叫びだして。」

「おおwお前それ数秒前の自分に同じこと言えるのか?」


応援コールがあまりにもうるさかったのでマサトは、青年に喧嘩を売り始めた。


「用がないなら話しかけてこないでください。」

「うるさいんだよ!!公共の場で叫びやがって!!そんなにアイドルに熱があるならライブ会場でやれ。」

「それが出来たら苦労しませんよ!!」


マサトの発言が地雷になったのか青年は、急に声を荒げ怒り出した。


「抽選では、100回近く応募するも落選‥‥。好きでもないお菓子を何回も食べても当たらない‥‥。福引きもビンゴ大会も目の前で当てられる‥‥。挙句の果てには、ぶつかってきたおっさんがアイリスちゃんのライブチケットを持っている!!」


青年は、涙を流し嗚咽混じりの声で嘆きながら膝から崩れ落ちた。


「僕は、一体どうしたらいいんだ‥‥。」

「スゲェ‥びっくりするぐらい運に見放されている。前世で何やらかしたんだよ。」

「お兄さん可哀想‥‥。」


マサトとイバラは、あまりにも不憫な青年に憐れみの目で見つめた。


「そんな目で見ないでください!!てか、僕の人生こんなはずじゃなかったんですよ‥‥。昔からアニメが好きで、アニメーターになる夢を叶えるべく私立ただいま失恋中学校へ進学。コツコツと努力していって着実に夢に近づいていた‥‥。でもある日、事故に巻き込まれて死んでしまい異世界に転生した‥‥。そこまではいい!!そこまではいいですよ!!異世界転生には正直憧れてましたし、可愛い女の子と一緒に冒険するの最ッッッ高でしたよ!!でも、特別な魔法(ユニークスキル)あなただけは許しません!!カッコよく決める場面でクッッッソしょぼい魔法(スキル)がでるし!!間違って魔法(スキル)発動させちゃったときは、宿屋を破壊しちゃうし!!なんかめちゃくちゃ運悪いし!!もう嫌だああああ!!!」


青年は、まるで幼稚園児のように大声で泣き叫びながらジタバタと仰向けで暴れ出した。そんないい歳した男が公共の場で暴れているのを通行人は、潰れた虫を見るような冷たい目で見ていた。


「落ち着け!このままだと俺まで変人扱いされる!!」

「もういいよ!!!どうせ報われないなら全員まとめて地獄に引きずり込んでやる!!!」

「性格終わってんな!!あとサラッと流したけどただいま失恋中学校ってなんだよ!!何つーふざけた名前してんだ!!」

「マサトお兄さんもうすぐで始まるって。」


モニターを見ると宣伝の画面が60秒のカウントダウンに切り替わっていた。ライブが始まると知った瞬間青年は、急いで飛び起きペンライトを振り回し始めた。


「アイ!!ラブ!!アイリィィィィィス!!!」

「情緒どうなってんだ!!」


テンションがころころと変わる青年に突っ込みを入れると青年は、オタ芸を止めてマサトの方へ振り返った。


「どんなに辛いことがあっても、どうでもよくなるほど夢中になってしまう。それが推しってものじゃないですか?」

「‥‥」

「おおおおぉぉぉ!!ついに始まるぞおおおお!!!」


カウントダウンが0になるとモニターが、暗転しライブ会場を映し出した。ライブ会場には、大量の観客席が設置されていたがすべて埋まっており、改めてこのアイドルが人気なのがよく分かった。歓声が飛び交う中どこからともなく可愛い声が会場に響き渡った。


『皆ぁぁぁぁ!!今日はウチのライブに来てくれてありがとう!!!』


声がしたのと同時にステージのせり上がりがすごいスピードで上がりその中からボブツインで黒と黄色メッシュの髪をした女の子が飛び出してきた。


『皆のアイドル、【アイリス】ちゃん参上だぞ!!うい☆』


アイリスが登場した瞬間、会場は一気に盛り上がりだした。


「どうです?僕の推しは!!」

「まぁまだね?確かに可愛いけどアイドルは、可愛いだけじゃないから。アイドルって言ったらやっぱり歌が上手くないとね。」


アイリスの顔はアイドルという名に恥じないほど可愛く好みの顔だったが、謎のプライドでマサトはまだ認めていなかった。しかしアイリスの歌を聞いた瞬間、感動で全身に鳥肌が立った。


「彼女の歌。どうでしたか?」

「うん‥‥。凄かった‥‥。正直なめてたよ。」


マサトは、アイリスの歌唱力に感動し自分も彼女を推しにしようかと思い始めていた。そんな感じでマサトが余韻に浸っているとファンがアイリスにあることをコールし始めた。


「アイリスちゃあああああん!!いつものやってくれ!!」

『いつもの?もう、しょうがないなぁ~♡。特別だぞ♡ヘイッ!!いつものカモン!』


アイリスが、合図をすると屈強なムキムキスタッフが木製バットを持って現れた。マサトは、何となく嫌な予感がした。自分の中のアイドル像が壊れてしまうような‥‥。


『さあ!!思いっきりやってくれ!!』


アイリスがスタッフにむかって尻を突き出すとスタッフは、思いっきりバット振った。バットが、尻に当たった瞬間バットは粉々に粉砕した。


『イタッ‥‥♡♡♡。ハァ‥♡。ハァ‥♡ハァ‥♡。サイコウ‥‥♡♡♡。それじゃ次の曲行ってみよう!!』

「いや無理無理無理無理無理。」

私立ただいま失恋中学校・高等学校

偏差値40(中学)

創立2010年4月1日

主に芸術に力を入れており、普通科の他にもイラスト科や音楽科、芸能科などの学科が存在している。

専門学校とも系列になっているため今若者に大人気の私立中学校・高等学校である。

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