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へっぽこモンスターな俺たちの異世界攻略法  作者: 小嵐普太
第3章 鬼嫁と斬れない絆編
33/52

第33話 凡人

『うぅ‥‥ここは‥ギルドか?待て、このシチュエーション!この頭に感じるもっちりぷにぷとした感触はっ!!!』

「まさか膝まく!!――チャムホかよ。」

「お、起きたか。」


福神達は、戦いを終え無事勝利したことを祝してギルドで宴をしていた。


「マサトさん心配しましたよ。丸一日寝てたんですから。」

「酒とつまみにしか目が行ってない奴が心配ね〜。」


ユーリンは、酒をガブガブ飲みつまみをむしゃむしゃ食べながらあんま心配してなさそうに心配した。


「ワイ的には、あの技を使って丸一日寝てないほうが心配するけどな。」

「お前らリーダーが伝説のドラゴン倒したんだぞ。もっと敬えよ。」


ものすごい快挙を成し遂げたはずなのにマサトが、ヤキモキしていると福神が重そうな巨大な袋をマサトに渡してきた。


「何これ?」

「5億ルミナ。」

「ああ‥‥5億ルミナ!!!」


今まで聞いたことがないような桁のお金が手の中にあることに驚きそのまま椅子から転げ落ちた。


「いいんですか!?こんなにもらってしまっていいんですか!?」

「自分で敬えとか言ってたくせにめんどくせーなこいつ。」

「前回は、貰えなかったですし興奮するのも少し分かります。」


今度こそ大金を手に入れることができ浮かれ騒いでいるとネリネが、ギルドへやってきた。


「随分と賑やかだな。」

「おっ!!ネリネちゃんじゃん!!そりゃそうでしょ!!億万長者になったんだよ!!億万長者に、俺これから別荘建ててスローライフを満喫しようと思うんだ!!誰が魔王討伐なんてするか!!ぬはははは!!ほら座って座って奢るから!!」


調子に乗っているマサトにネリネは、微笑んだ。そして大量に注文すると席へと座った。


「あ、そういえばさ。ユーリンとネリネちゃんって何と戦ってたの?」


マサトは、テーブルに並んでいる料理をつまみながら何となく気になっていたことを質問した。


「‥‥七花軍師シャクヤク・イーラだ。」


魔王幹部が同じ島にいて裏で戦っていたことを知り驚きと恐怖でマサトは、お酒でむせてしまった。


「七花軍師!?何でこんなところにいるの!?ていうかそんなポンポン出てくるようなものなの!?」

「ここに来た1つ目の理由は、十中八九黒龍の復活だろう。使役することができれば負けることはほぼ無いし、仮に使役できなかったとしても勝手に暴れてくれるだけでとんでもない被害を出すことが出来るしな。まあ、高度な洗脳術を使えるみたいだから倒せてほんとに良かったよ。」


マサトは、福神の発言に気になるところがあった。


「1つ目?2つ目もあるってこと?」

「は?あるだろここに。」


みんなが理解しているのかマサトだけが、七花軍師がここに来た理由に見当がつかなかった。


「え?マジで何?全然わかんない。」

「はぁ‥‥お前とその仲間たちだよ!」

「‥‥え、俺等!?」


なぜ自分たちが、魔王幹部である七花軍師の目的になっているのかやっぱりわからなかった。


「自意識過剰かもしれないけど!ワイらは、魔王幹部の一柱をぶっ飛ばしんたんだぞ!!狙われる理由は十分だ。」

「あ〜‥‥なるほど‥‥。え!?じゃあ俺の異世界スローライフは!?」

「無理だろうな。」

「嘘だああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」


マサトは、これから始まる地獄と叶わぬ平和なスローライフに絶望して膝から崩れ落ちた。


ボベボブボーバビブバ(俺のスローライフが)ああああああぁぁぁぁぁぁ。」

「もともと一生童貞なんだ諦めろ。」

「ていうか、その七花軍師を足止めしていたのは私なんですよ?私だってちょっとぐらい褒めてくれたっていいじゃないですか?」


いつものように言い争いを始める3匹を無視してネリネは、料理を満面の笑みでゆっくりと頬張っていた。


「待てよ?魔王軍側に付けば命を狙われないんじゃないか?」

「そんなことしてもどうせ冒険者にタコ殴りにされるだけだし、魔王もお前なんか欲しがらないだろ。」

「うるさい!!そんなことならもういい!!とっととフェイバリルに行って遠き記憶のオタクを復活させる!!どうやらアイドルのワールドツアー初日らしいからそこで一世一代のヲタ芸を披露してやんよ!!」


マサトが、意味のわからないオタク宣言をしているとそれまで料理を美味しそうに食べていたネリネが、喋りだした。


「そういえばさっき。フェイバリル行きの船の燃料が集まったらしいから30分ちょっとで出向するとアナウンスしていたな。速く行きたいならその船に乗ったほうがいいのではないか?」

「‥‥‥え?」


あと数分で船が出発してしまうことを知ったマサト達は、ご飯をかきこんで急いで支度をしてギルドを出ていった。


「何で俺達は、そんな重要なこと知らないんだ!!」

「おそらく!!採掘地に冒険者が全員集まっていることを想定してアナウンスしていたんだろ!!」

「クソッ!!普通に俺達が悪いじゃないか!!」


船は、出発してしまっていたがまだギリギリジャンプで届く距離にあり福神とユーリンは、無事に乗ることが出来た。しかし足が遅くルミナも担いでいたマサトは、船に乗り遅れてしまった。


「嫌だ!!置いてかないで!!置いてかないでよ!!」

「ダメだ‥‥アイツはもう助からない‥‥。」

「マサトさん‥‥。」(泣)


マサトが乗り遅れてしまったことにより福神とユーリンは、完全に見捨てるモードに入っていた。


「お前らもうちょっと俺が乗れる努力してくれ――うわああああぁぁぁぁ!!!」


急にマサトは、服を捕まれそのまま勢いよく船へと放り投げられた。


「痛た‥‥でも助かった。」

「マサト!!」


マサトは、起き上がり声のする港の方を見るとそこにはネリネが手を振っていた。


「ありがとな!!助かったよ!!」

「マサトこれを受け取ってくれ!!」


ネリネは、マサトに向けてあるものを放り投げた。マサトが、顔面キャッチをして確認をするとそれは一度手放したはずの輪廻だった。


「お前!!これ大事なものなんだろ!?」

「ああ、アタシの命よりも大切なものだ!しかし、今回それを使って気付いた!アタシが使うにはまだ早いと!だから、これから様々な旅をしてそれに見合う剣士になる!‥‥蘭丸なんかただの凡人だったと誰もが思うくらいに‥‥アタシが刀を使う時まで、輪廻を預かっておいてくれ!!」

「‥‥分かった!!俺に任せておけ!!」


マサトは、輪廻を高々と空に掲げた。ネリネも船が見えなくなるまで自分の刀を上げ続けた。


「‥‥確かに、あの男に相棒を預けるのは正解だったな。蘭丸。またアイツと出会うのが楽しみだ。」


妖刀輪廻。約数百年以上前から鬼族に代々伝わる名刀。所有者の魂を代償ににゾッとするほどの斬れ味を手にすることが出来るため、輪廻の輪すら斬ってしまうと言われている。しかしこの刀は、本当にそのような意味が込めているのだろうか?それは、誰にもわからない。

輪廻帰還!!

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