第30話 最凶のドラゴン
「黒龍?」
「あ〜知らないタイプか〜♪説明面倒だな〜♪まあいいや、少し楽しませてもらった〜し♪約400年前先代魔王によって解き放たれた猛獣の一匹♪性格は、獰猛で見るものすべて無に返すまさに破壊の神♪あらゆる冒険者が黒龍に挑んだが、硬すぎる鱗と触れたものを一瞬で灰に変える黒炎にても足も出ず誰も勝つことが出来なかった♪そんな無敵と恐れられた黒龍も魔王消滅後に力尽き物語に幕を閉じた♪でも、そんなのつまんないじゃ〜ん♪」
黒龍、姿の見当たらないイバラ、今にも何かが生まれそうな卵、シャクヤクの意味深な発言。ユーリンは、物凄く嫌な予感がした。
採掘地には、すでに福神が到着しており、何かの異変に気づいた冒険者たちも集まっていた。
「マサト!!」
「やっと来たか、お前一体何して‥‥マジで何があった?」
マサトは、ネリネに超スピードで引きずられたことにより顔がパンパンに腫れ上がっていた。
「本当に毎回すまないと思っている‥‥。」
「バビビョブブ。ビブブボボボバ。ビビブブバ。ボボボべブービンバ?」
ぎり聞き取れるか聞き取れないかぐらいのマサトの質問にフィットには、洞窟を指さしながら答えた。
「あれだよ。私とイバラを捕まえた狂気の音楽家と一緒にいる‥‥。」
「よっしゃ!!とっとと敵倒して、終わらせてやるか!!」
「アタシも戦わせてもらう。」
「援護なら任せろ。」
洞窟へ進もうとした瞬間、地面が揺れ始め山の方から岩が砕けるような物凄い音がなり響いた。
「何だ!?地震!?」
突然起きた地震により全員がパニックになっている中一人の冒険者が山の上を指さして叫んだ。
「おい!あれを見ろ!!」
そこには、とても巨大な黒いドラゴンがおりまるで見下すように冒険者たちの方を見ていた。
「こ、黒龍ううううぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!」
「何あいつめっちゃかっこいい!!暴風龍みたい!!暴風龍みたい!!」
福神が、伝説の黒龍が復活したことに焦っている中マサトは、初めて見るドラゴンに大興奮していた。そんな2匹を横目にネリネは、冷静に洞窟へと向かおうとしていた。
「マサトアタシは、ユーリンの助太刀に行く。ドラゴンは頼んだぞ。」
「おう!任せとけ!!」
「シェードに遺骨があるのは知ってたけど!!まさか復活するなんて!!」
「そんなにやばいのか?こんだけ冒険者いるから大丈夫だろ‥‥。そうだよね?」
福神の尋常じゃない焦りにマサトはかなり心配になってきた。
「あのドラゴンはな‥‥めちゃくちゃ凶悪でな。ここで食い止めないと世界がだいぶまずいことになっちまう‥‥。」
「お、おう‥‥。いやでも倒せるんだよね?骨になってたってことは倒せるんだよね?」
「た、倒せはした‥‥。400年前の勇者が総力を上げて導き出した答えは、封印して力尽きるのを待つだったけどな‥‥。」
「‥‥ネリネちゃん!!カムバック!!俺が任せられるような相手じゃない!!お願いだからカムバック!!」
マサトの呼びかけも虚しくその声がネリネに届くことはなかった。
「ユーリンいない!!輪廻もない!!隣りにいるのはクソ非戦闘員自称神!!俺は一体どうすればいいんだ!?」
「輪廻持ってないお前だって対して変わらなんだろ!!」
いつものように口喧嘩を始めようとすると、黒龍が攻撃をするため地面に急降下してきた。
「やばいやばい!逃げるぞ逃げるぞ!!」
マサトが逃げようとフィットニアを担ぐと福神もちゃっかり乗っていた。
「お前は降りろよ!!」
「ワイは、弱点探しするんだよ!いいから口じゃなくて足動かせ。」
「マサト殿!黒龍が迫ってきている!!もっと速く!!」
「無茶言うな!!最近ようやく8秒台になったんだぞ!!」
マサトが、文句を言うのを無視して千里眼で観察していると福神はあることに気付いた。
「【窃盗魔法】」
福神が、窃盗魔法で冒険者から弓と矢を奪うと黒龍の頭部に向けて矢を放った。矢がヒットすると黒龍の動きが止まり苦しみだした。
「やっぱりな‥‥。」
「お前何した?」
「おい!!冒険者ども!!よく聞け!!あの黒龍は、まだ完全体じゃない!!頭部をよく見てみろ!!」
福神の呼び声で冒険者たちは、黒龍の頭部を観察した。すると一箇所だけガラス玉のように光っている場所があり、中に何かが入っていた。
「あれが黒龍の核、あの巨体を動かす原動力になっている!!あれが完全に吸収させれ前に引き剥がさないと手つけられなくなるぞ!!」
福神が、弱点を教えたことで冒険者たちがやる気に満ち溢れている中マサトとフィットニアには別のことを伝えた。
「【影分身】。マサ時間を稼ぐぞ。」
「は!?急がないとダメなんだろ?何で時間を稼ぐんだよ!」
言っていることが無茶苦茶な福神にマサトは困惑した。
「あの核は、イバラだ。」
「お前マジで言ってるの!?」
「そしてワイらが剥がすのは不可能だ。」
「お前マジで言ってるの‥‥?」
「ああ、一人を除いてな。」
福神は、驚いているフィットニアを見つめた。
シェード洞窟…
「今のが‥‥黒龍?」
「ピンポンピンポン大正解〜♪それじゃあの子が完全体になるまでアタイは、見守ってあげないといけないからじゃ〜ね♪」
シャクヤクは、雷の檻をいとも簡単に解除して黒龍が開けた穴から出ようとした。
「待て!!」
「待たないよ〜♪――?」
逃げようとした瞬間、入口の方向から斬撃が飛んで来てバイオリンが真っ二つに斬った。シャクヤクが不思議そうにバイオリンを見ていると入口から刀を抜いたネリネが現れた。
「まだどういう状況なのかよく理解できていないが、お前を逃がしてはいけないことはよく分かった。」
「お姉さん強そうだね〜♪でも今のが本気ならアタイには勝てないよ〜♪」
「確かに、この刀ではお前をここにとどめておくのは無理だろう。ならば‥‥‥。」
ネリネは、自分の刀を鞘にしまうともう一つ吊り下げていた刀を抜いた。
「こちらの刀を使わせてもらおう。」
刀を抜いた瞬間ユーリンは、マサトが使ったときとは比べ物にならない圧迫感を感じた。
足が速くなりたいそこの君!!
クソ重い荷物を持ちながら6キロぐらい自転車で走るのを週に2回。
2年間続けていれば、対して外に出ない引きこもりでも6秒台出せるぞ!!
その代償として太ももだけが異常に発達してクソ気持ち悪くなるけどな!!




