第25話 鬼の妖刀
刀で襲いかかってくる女性にマサトは、鞘を抜かずに輪廻で応戦した。
「ちょ、ちょっと待って!!一旦話を!!」
「お前と話すことなどもう何もない!!」
女性は、話を聞こうとせず問答無用でマサトを斬ろうとしてきた。
「刀を鞘から抜け!!それは剣士にとって最大の侮辱だぞ!!」
「俺は、これをなるべく人に向けたくないの!!使ったら怪我どころじゃ済まないから!!」
「はっ!!相手を傷つけるのがそんなに怖いかこの臆病者!!」
「臆病者で結構!!いけ福神!!」
マサトの合図で福神は、女性の背後に周り魔法を唱えた。
「【拘束魔法】」
福神から出た縄は、女性めがけて伸びていったがあっけなくかわされバラバラに斬られてしまった。
「ゲッ!マジかよ!!」
「か、かっこいい。」
「2対1でアタシを倒せないやつにその刀を使う資格はない!!返してもらう!!」
女性は、刀を振り上げマサトの右手をスパッと斬ってみせた。右手を斬られたことにより痛みで悶絶して輪廻を落としてしまった。女性は輪廻を拾い上げると大事そうに抱きかかえた。
「ようやく見つけた。もう絶対に離さないから‥‥」
「【火の玉】」
小さい火の玉が女性の頬をかすめた。振り向くと腕が再生したマサトが立っていた。
「随分高度な治癒魔法だな。だがお前は負けた。もうこの刀は諦めろ。」
「たしかに剣士としては負けた。でも俺は冒険者!!刀が本命じゃないんだよ!!」
「‥‥いいだろう。その屁理屈すぐに叩き斬ってやる!!」
女性は、再び刀を構えマサト向かって走り出した。
『一か八か‥‥頼んだぜ!!』
「福神!!窃盗魔法準備しとけ!!」
「お、おう!!」
「刀を盗もうとしても無駄だ!!これで終わらせる!!」
女性が刀を振り上げた瞬間、マサトは力を抜きあるものに魔力を込めた。
「くらえ!!【エクスパンドハンド】!!」
マサトが叫んだ瞬間ポケットから青い手が飛び出し女性の腹にパンチを決めた。女性は唐突に殴られた衝撃に反応できず吹き飛んでしまった。
「福神今だ!!」
「【窃盗魔法】」
福神が、魔法を唱えると女性の刀と輪廻は一瞬で福神の手元に移動し奪い取ることに成功した。
「ふあああぁぁぁ‥‥危なかった。まじで成功してよかった!!」
「流石であった!マサト殿褒めて遣わす。」
「そりゃどうも。」
フィットニアが興奮気味にマサトを褒めている中福神は、不思議そうな顔をしながら輪廻をマサトに返して質問した。
「あれチャムの技だろ?どうしてお前が使えるんだ?」
「ふっふっふ。それはね‥‥これだ!!」
マサトは、ポケットの中からチャムホを取り出した。
「こいつに魔力を込めて命令するとチャムの技を使うことができるんだ。最近いろいろ試してみてこの特性に気付いたんだ。」
「へぇ、まじで万能だなこれ。」
一同がチャムホに関心をしていると女性がふらふらした足で立ち上がった。
「こんな卑怯な手を使うなんて‥‥」
「卑怯で結構。使えるものは何でも使うのが俺のやり方だ!!」
「く‥‥使えるものは何でも使う‥か‥‥なるほど、アタシの負けだ‥‥」
そういうと女は崩れるように倒れ込み気絶した。倒れ込んだ影響でフードが上がりはっきりと顔を確認することができた。
「角?‥‥て、ちょ!!お前大丈夫か!?もしかして結構やばいとこ入っちゃった!?」
「だ、誰か!!い、医者!!錬金術師!!ネクロマンサーを!!」
2人が焦っている中福神は、女性に近づいてお腹に耳を当てた。
『グウ〜〜ウ』
女性のお腹から大きな音がなった。
「空腹で倒れただけみたいだ。」
「なら良かった。てかもうすぐ昼時か‥‥。」
「我も先の戦いで魔力を消費したゆえ空腹である。」
「お前見てただけだろ。まあ飯ぐらい奢ってやるよ。」
「やったー!!ありがとう!!」
「で、こいつはどうするんだ?このままだと確実に野垂れ死にするぞ。」
福神は、女性を指さしながらマサトに問いかけた。
「どうするってそりゃまぁ‥‥」
ギルド内…
女性はまるで子供のように飯にがっついた。フードを取った女性は、ピンク髪でおでこから一本の角が生えており、さっきまで刀を振り回していたとはとても思えないほど美人だった。
「なんの説明もせず襲いかかったのにこんなに良くしてくれるなんてかたじけない。」
「いいよ別にお金にはそんな困ってないし。ていうか、えーっと‥‥そういえば名前聞いてもないし名乗ってもなかったな。俺の名前はヤマグチマサト。17歳3月10日生まれうお座血液型B好きな食べ物は海老天!!」
「ワイは福神。その名の通り神だ。」
「我が名は我の名は、フィットニア・ロンギング。いずれこの世界を支配す――!!」
喉をつまらせたフィットニアに福神は水を渡した。女性は飯を食べる手を止め自己紹介を始めた。
「アタシは【ネリネ】。この角で察しているとは思うが鬼族だ。」
ネリネが自己紹介をしている中マサトは、福神にこっそり耳打ちした。
「俺鬼族ってもっと怖いイメージあったわ。普通に可愛いな。」
「ま、亜人の一種だからな。角と筋肉が人の何倍もあるの以外はほとんど人間と同じだ。」
「へ〜‥‥。あ、そういえばネリネさん何で輪廻を探してたの?やっぱり鬼族作ったものだからとか?」
ネリネは、少し悲しそうな顔をして輪廻を見た。
「これは、アタシ達鬼族の当主が代々受け継いでいる物で、アタシの‥‥‥親友の形見でもあるんだ。」
「‥‥‥は!?」
やばいテスト前だっていうのに筆が進む進む!
あと累計【1000PV】ありがとう!!




