第21話 地獄の中で出会う友
「俺達の勝利だ!!!」
マサト達は七花軍師の一角を討伐したことを祝してお祝いしていた。
「まあ俺にかかればあんな奴楽勝だったけどな!ぬははははははは!」
「何言ってんだ。ワイがいなかったら完全完璧に積んでたのに。」
「お前そもそも会ってすらね〜じゃんw」
しばらく睨み合ったあと椅子を降り論破対決を始めだした。
「お前今回情報収集お願いしたけど、活躍したのチャムだけじゃんw」
「何だと?ワイが狙撃しなかったらそもそもここで飯食えてないし、ワイが止めなかったら怒り任せに初手輪廻使ってただろ!!」
「あ、やんのかこの野郎!?」
「上等だこの野郎!!」
2匹は、殴り合いの喧嘩を始めたが全く迫力がなく猫がじゃれ合ってる程度にしか見えなかった。そんな二人を止めることなくユーリンは質問をした。
「そういえば私手紙に『合図したらいつものぶち込め』としか書いてなくて衝動的に撃っちゃったんですけどどういう作戦だったんですか?」
「お前大丈夫?将来とんでもない問題起こさない?」
衝動的にとんでもないバカ火力の魔法を撃ってることを知りマサトは、かなり心配になった。
「まあ簡単な話、俺が時間稼いでる間にアセビちゃんを福神のところへ向かわせてミニ大砲に支援魔法をかけて威力を上げる。そして福神がミニ大砲で看板に埋め込まれた宝石を破壊。魂が解放されて敵の魂が丸出しになる。そこへお前の技でフィニッシュってわけだ。まあ最初は、ツバサにトドメ刺して貰う予定だったんだけどあいにくあの重症だったからお前に頼んだってわけ。まあ完璧な作戦だな!」
ユーリンは、この不確定要素が多すぎる作戦をよく実行したなと思った。そこへ怪我の治療を終えたツバサたちがやってきた。
「みんなお疲れ様!七花軍師を倒しちゃうなんて本当にすごいよ!!」
「良かったわね。多分歴史の教科書にのるわよ。」
お祝いムードの方が2名いる中ツバサだけめちゃくちゃ落ち込んでいた。
「すまない。俺が不甲斐ないばっかりにみんなに迷惑をかけた‥‥」
「なんで謝るんだよ。魔王幹部を一人で足止めしてた時点で十分だっつーの。あと‥‥ありがとな。無茶聞いてくれて。」
マサトにとっては何気ないことだったが、優等生や新たな勇者と期待され完璧を求められたツバサにとってこれ以上にない励ましの言葉だった。
「てか、怪我大丈夫なのか?だいぶ重症そうだったけど‥‥。」
「完治するまで2週間ほどかかるらしいが命に別状はないらしい。」
「ま、急ぐことはないからゆっくり傷を直して魔王をボコボコにすればいいのよ。」
「ていうか‥‥なんでここにいるんだよ!!天花!!」
福神は、天花を指さしながら大声で叫んだ。
「うるさいわね!この大犯罪者!!」
「だから冤罪だって言ってるだろ!!」
2匹が言い争いをしている中アセビが何気なく質問した。
「あの〜。天花様と福神さんってどういう関係なんですか?」
「「え?兄妹。」」
全員の思考がしばらくの間一時停止し、驚きと福神に礼儀正しい態度をしなかったことを後悔しぶっ倒れ泡を吹き出した。
「アセビさん!?ちょっこの中にお医者さんは!?」
「腹が減ったのか?」
「絶対違うと思います!」
「お前兄妹いたのかよ。初耳だわ。」
「まあ、言う必要もなかったし、正確には義兄妹だ。ていうか、お前を探す依頼引き受けてたんだった!ほら報告しに行くからついてこい。」
「キャーーーーー!!ドメスティック・バイオレンス!!」
全員でてんやわんや騒がしくしている中ギルド長の女性がマサトたちの前へとやってきた。
「あ、すいません。今すぐ静かにさせま――
「おめでとうございます!!!」
そういうとギルド長や従業員たちがクラッカーを鳴らした。すると他の周りにいる冒険者たちもざわざわと話しだした。
「マサト様とツバサ様パーティー御一行様のお陰で見事七花軍師を討伐することができました。その貢献の対価として信用度の1000ポイントと10億ルミナを贈呈しようと思います!」
その瞬間冒険者たちが一斉に騒ぎ出し、絶賛する声、羨む声など様々な声が飛び交った。
「ぬはははははは!みんな、今日から俺バトル物からスローライフ物に路線変更しようと思う!!異世界攻略なんて誰がするか!ぬはははははは!」
「と言いたいところなのですが‥‥」
その一言でギルド内の空気が一気に静まり返った。
「ミニ大砲による街の器物破損と雷魔法による近隣の森林1割全焼‥‥これによって信用度は30、100万ルミナの贈呈に変更することになりました。」
その瞬間マサトたちを称する声が一変全冒険者がドン引きし始めた。そして、デルフィニウムとの戦いの裏でとんでもないことをしでかしてたことを知ったがマサトは到底納得できなかった。
「‥‥ちくしょおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!俺等命張ったわけじゃん?世界ほぼ救ったようなもんじゃん?500ポイントと1億ルミナぐらい貰えたっていいじゃん!!!」
「グダグダ文句言うな。仕方ないだろ。やらかしちまったんだから。」
「そうですよ。貰えるだけありがたいですよ。」
「お前らが出した被害だろ!!」
また口喧嘩を始めようとする中ギルド長がマサトに質問した。
「マサト様。チャム様の姿が見当たらないのですがどうされたんですか?」
マサトは、冷静になり少し沈黙したあと福神に気になってた疑問を問いかけた。
「おい、福神。俺ずっと気になってたことあるんだけどさ‥‥」
「な、何だ?」
「俺等さ‥‥大砲しか買ってねーよな?球もないのにどうやって撃ったんだ?」
福神は、プルプルと震える手でジョッキに入った酒を飲みながら目を逸らし沈黙した。
「‥‥」
「お前‥‥弾に使ったな?」
ゆっっっくりと気まずそうに目を逸らしながら頷いた。
「何してくれとんじゃおめえええぇぇぇぇ!!!前衛職いなくなったぞ!!しかもあいつの中にいろんな物入れてたんだぞ!!どうしてくれるんじゃ!!」
「弾も買ってないのに大砲使えって無茶振りしたのはお前だろ!!あと言っておくけど!!あいつが自分から立候補したからな!!」
「何で立候補してるの!?あいつ自分で戻ってこれないのに何で立候補してるの!?どうしてお前らはこうも考えなしなんだ!!」
「知るかっ!!考えなしはお互い様だろ!!」
「うるさい!!いいから探しに行きますよ!!」
「探すっつたってどこに‥‥あ、これ使えばいいのか。」
そういうとポケットからチャムホを取り出し電源をつけた。その瞬間泣き叫ぶチャムの声が轟いた。
『リィィィィィィダァァァァァ!!!!』
「お前、今どこにいるんだよ!!!」
『オ、オイラ今‥‥船の中にいるの!!!』
「「「船!?」」」
3匹はギルドをあとにして急いで港へと向かった。港には大量の船がありとてもすぐには見つけられそうになかった。
「くっそあいつどこだよ!!」
「福神さん千里眼は?」
「もうやってる!!」
しばらく福神が千里眼で探していると急に大声で叫んだ。
「あっ!!あれか!!もう船出ちゃってるぞ!!」
「まじかよ!?おい、チャム!!それどこ行きかわかるか?」
『分かんなああああぁぁぁぁい!!!気付いたら乗ってた!!」
「きっと荷物と間違えて乗せられちゃったんですよ!!」
「やべぇ!!どうしよう!!」
全員でパニックになっている中福神が船の行き先を突き止めた。
「分かったぞ!【フェイバリル】だ!」
「フェイバリル?」
「そう!最先端の技術が揃っていてアニメとかライブ会場とか色々あって今若者が行きたい国ランキン1位の島国だ!!」
「なんだその異世界と全くあってない場所は!?てか島国ってことは船乗らないとじゃん!!」
「マサトさんあれ!!」
ユーリンが指し示す方向には巨大な豪華客船があった。
「フェイバリル行きの船です!!あと10分ちょいで出ちゃうみたいです。これを逃したら次来るのは3ヶ月以上先どうします?」
『リ‥‥ダ‥通‥‥‥切れ‥‥‥』
「まずい。チャムと離れすぎてる!!」
「しょうがねえ!!チャム船がついたら降りてそこで待ってろ!!絶対向に行くから!!」
『‥‥ラ‥‥‥ジャ‥‥あ‥れ?‥‥そ‥‥‥この‥‥‥君‥‥‥だ―――
ノイズ混じりの声でチャムが意味深な言葉を残すと通信は完全に切れてしまった。
「よし、急ぐぞ!!ちなみにチケットの値段は?」
「一人20万ルミナだそうです。」
「くそたけーな!!」
3匹は急いでチケットを購入して船へと乗り込んだ。
「はぁ‥‥何でこんな目に‥‥。」
「マサト!!」
マサト達が、へばっているとマサトを呼ぶ声がした。声のする方を見るとツバサがバスケットを持って立っていた。
「お前なんでこんなところに?」
「なんの準備もしないで走り出しただろ?お腹が空いてるんじゃないかと思ってな。」
そういうとバスケットの中からおにぎりと杏仁豆腐を出した。
「前菜しか食べれてなかったから。ありがてぇ〜。」
「私もありがたくいただきます。」
「へぇ〜珍しく気が利くじゃん。」
美味しそうにご飯を食べるマサト達を見てツバサはなんだか誇らしくなった。
「マサト。」
「何だ?」
ツバサは、胸からアレスを抜きマサトに向かって宣言した。
「俺はこの剣とともに色んな人を助け魔王を倒す。これからは仲間でありライバルだ。だから、次あったときはもう一回一緒にご飯食べてくれないか?」
マサトは、立ち上がり輪廻を抜いた。
「ああ、いいぜ。でも魔王を倒すのは俺だ。そしてそんな剣がなくても勇者になれるって証明してやるよ!」
汽笛の音が鳴り船が進みだした。ツバサは、剣をもとに戻した。
「それじゃあ気をつけていけよ。俺もすぐに追いつくからな。」
「分かってるって。」
「福神、ユーリンマサトのこと頼んだぞ。」
「ちょっとぐらいは見といてやるよ。」
「ふふっ、分かりました!しっかり見張っておきます!」
ツバサは、ジャンプをすると港までそのまま飛んでいった。港にはアセビたちもおり手を振っていた。
「みんな!!どうかお元気で!!」
「お兄ぃのことたのだぞ!!」
3人は、船が見えなくなるまで手を振り続けた。
「さて、俺達も負けてられないな。怪我が治るまで筋トレをしておこう。」
「安静にしてなさい。」
「どうして男ってなんでこうも落ち着きがないのかしら?」
聖剣の勇者。かつて400年前に魔王を討伐した伝説。今もその歴史は語り継がれるが、それはあくまで断片に過ぎない。誰もが知っているはずなのに謎が多すぎる人物。彼は一体どのような人と出会いどのような冒険をしていたのか、その真相を知っているものは今やほんの一握りしか存在しない‥‥
次章は連載ペースが早くなると思うだろ?
残念だったな!章ボスと登場人物以外ほぼノープランだ!!




