第2話 魔女っ子ヒヨコのガサツな雷撃
「異世界でラーメンが食えると思ったなかったわ。あと口なくても飯って食えるんだな。絵面が完全に煎餅食べるワドルディだけど。」ズズズー
マサトが転生した場所から少し東にある小さな田舎街。オリジンタウン。
「昔から異世界転生をさせてたからなその中の誰かが伝えたんだろ。あと、その体に関しては、ワイも完全初見だから何もわかんないぞ。さてそんなことより本題に入ろう。」
「本題?」
雅人は、真剣な表情になった福神を見つめる。
「勿論ワイは、お前を助けたんだから今度はお前がワイを助ける番だ。」
「う、うん。分かった。何をすればいい?」
「ワイと一緒にこの世界の魔王を討伐しろ。」
「‥‥へ?」
唐突な福神の発言に混乱する。
「ちょちょちょ、ちょっと待って魔王ってよくゲームのボスだったりするあの魔王?」
「ああ、武力国家を余裕で壊滅させることが出来るあの魔王だ。」
「思ってたより強い!思ってたより強い!!」
到底勝てそうにない魔王を倒せと言われマサトは正気を疑った。
「これは、お前にも利益がある話だ。魔王を倒したものには、天界一番偉い奴らが願いをかなえてくれる。つまりお前の夢半ばで叶うのが不可能になった童貞卒業も夢じゃない。それどころか勇者として好き放題のハーレム生活を送ることが出来る。そしてワイは、魔王討伐に貢献したことが評され天界の戻ることが出来る。悪い話じゃないだろ?。」
「……話持ちかけてもらって言うのも何だけど、俺より強いやつたくさんいるだろ。そいつらに任せたほうがよっぽど楽じゃないのか?」
マサトの質問に福神は、引きつった顔で答えた。
「この世界じゃ、危害を加えない魔物にはみんな割と友好的なんだけど、そういう魔物って大体が弱小でさ。ワイもそいつらと同じ認定されて仲間に誘っても断られ続けてたんだ。……で、八方塞がりになってたとき、変な魔物に転生してたお前を見つけて勧誘してやろうって思ったわけ。」
「‥‥待てよ。そうなるとこの姿の俺は可愛い子をパーティーに勧誘できないってことになるぞ。」
「…………」
福神は、とんでもない泥舟に乗ろうとしていることに今更ながら気づいてしまい呆れた顔を隠すことができなかった。
「で、協力してくれるの?してくれないの?」
「まぁやってやるよ。どうせやることなんてこれくらいしかないしな。」
こうしてマサトは、異世界転生をして初めてのやるべきことが決まったのであった。
「そういえばこの街の通貨って何なの?俺お金的なのも持ってないけど?」
「マジでなにも聞かされてないんだな‥‥。【窃盗魔法】ほい。」
福神は、真ん中に穴の開いた光り輝く四角いコインを差し出した。
「これがこの世界の通貨『ルミナ』だ。価値は、円と同じだったはず。」
「へースゲーてかお前ちゃっかり魔法使っただろ」
「お前もスキル使えるようにならないと魔王討伐なんて夢のまた夢だぞ。まぁ覚えても夢のまた夢なんだけど…」
「よし!魔法覚えるついでに、ギルドで任務クエスト受けて無双していくぞーー!!!」
マサトたちは、盗んだお金を使い会計を済ませると近くの冒険者ギルドへ向かい特に何のイベントもなく手続きを済ませると初心者冒険者定番のスライム討伐任務
任務スライム討伐:失敗…
「全然だめじゃないか!!せっかく覚えた火の玉は、線香花火ぐらいの大きさだし、お前は攻撃魔法使えないしよ!!!」
「仕方ないだろ!!下界で反乱おこさないために攻撃系のスキル全部封じ込まれて遊び半分に残されたサポート系の魔法しか使えないんだから!!窃盗魔法と拘束魔法使えるだけありがたいと思え!!!」
「たく、俺たちの戦闘力だけじゃらちが明かない。だめもとで魔法使いそれか戦士を仲間にしよう。」
マサトたちは、戦力を集めるためにギルドへと戻った。
数時間後…
「だめだ‥‥全然仲間になってくれない‥‥」
「まぁワイら人間じゃないし、スライムもろくに倒せないパーティーになんか入りたくないわな‥‥?」
「誰か私とパーティー組んでくれませんか?」
福神が声のする方を見るとパーティー勧誘をしている魔法使いがいた。
小さな体でとんがり帽子を深くかぶり顔が隠れているが、帽子からはみ出している体の一部に黄色い羽毛と蛇のような尻尾が飛び出しており明らかに人間ではなかった。
「マサあの『コカトリス』を仲間にしよう。」
「?あの帽子かぶってるの?確かに人間じゃないな。仲間になってくれそうだ。」
「それだけじゃない魔力量が段違いで多い。きっとあいつならワイらの火力をカバーしてくれる。」
「まじか!?よし仲間にしよう!」
2匹は、誰にもコカトリスをとられまいと急いで勧誘をした。
「ヘイ!パーティーが組めなくて困ってるみたいだね。僕たちのパーティーに入らないかい?」
「え、いいんですか!?」
コカトリスは、逆に勧誘されたことに驚きと喜びを見せた。
「ワイらは今、圧倒的火力不足に直面してるんだ。君みたいなのがいると助かるんだ。」
「なるほど‥‥そういうことなら任せてください火力には自信があるんで。」
福神は、含みのある言い方に少し違和感を覚えた。
「よっしゃ!俺は、ヤマグチマサト。17歳3月10日生まれうお座血液型B好きな食べ物は爺ちゃんが買ってきてくれた楽天堂の芋ようかんよろしく!」
「ワイは、福ノ神その名と通り神だ。基本的に盗賊系のスキルを使っていくと思う。」
「私は‥‥えっと‥‥すいません。記憶がなくて名前が思い出せないんです‥‥」
コカトリスは困ったようにこたえた。
「そうなのか‥‥じゃあ俺が決めてあげる!」
「おい!」
「本当ですか?」
「おう!!そうだなぁ。一応メスだろ?‥‥【ユーリン】ってのはどうだ!」
マサトは、誇らしげに答えた。
「ユーリン‥‥。」
「何だその変な名前は?」
「花の百合名前からユーリン。あと急に油淋鶏が頭に浮かんだから!!」
「食うきまんまんじゃねーか。」
「ユーリン‥‥ユーリン‥‥いいですね!気に入りました!」
「ほら!」
「マジかよ‥‥」
「じゃあ早速行ってみよう!」
マサトたちは再び失敗したスライム討伐を受けた。
「出たな!強敵スライム!」
「スライムに強敵とか言ってる時点でワイらのこの先が心配になってきた‥‥。」
「それでは行きますよ!私は電気系の魔法をメインウェポンとして使っています!!例えばこれ【雷の球】」
バリバリと音を立てたいかにも強力そうな電気の球は、スライムの真横を通って行った。
「ん?」
「【雷磁波】(スカ)【雷の矢】(スカ)【雷の槍】(スカ)ふぅ‥‥なんて強いスライムなんでしょう。」
「あんたが全然あててないんだよ!!」
微動だにせず的のように待ち構えていたスライムに、驚くほど正確に魔法を外した。。
「道理で凄い魔力量なのに売れ残ってるわけだ‥‥」
「こうなったら‥‥『最終奥義』」
あたりが暗くなり空がゴロゴロと音を立て始めた。
「【雷霆】」
ユーリンが魔法を唱えた瞬間天から光の柱が伸びあたりを光が飲み込んだ。
「どうです?私やればできるでしょ?」
「ああ、驚いた。ワイが想像してた何倍もすごい。そして‥‥肌身で実感できた。」
「熱いいいいいぃぃぃぃぃ!!!ゴリゴリ俺に直撃してたぞ!!無差別フレンドリーファイヤじゃねーか!!!ていうかこの帽子かぶってるから外すんだろ!?これとればいいだろっ。」
「あ!これは!!!」
マサトは勢いよくユーリンの帽子を取った。すると中から赤い瞳が現れ目を合わせた瞬間マサトは倒れ込んだ。
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