第12話 神出鬼没な七輪の花
「ダメに決まってるだろ!!こんな高いもの!!」
「リーダーが欲しい物なんでも買ってやるって言ったんだ!!約束は守らないとダメなんだぞ!!」
囮作戦が失敗してチャムが死にかけたことの詫びとしてマサトはチャムの欲しい物を何でも買うと約束していた。
「何でよりによってミニ大砲なんだよ!!ミニって程ミニじゃないし!!こんなもので10万ルミナも使いたくねーよ!!もっと安い物か実用的な物にしろ!!」
「ミニ大砲は実用的だぞ!!いつか活躍するときが必ず来るぞ!!」
「ああ、そこまで言うなら買ってやるよ!!もし一度でも役に立つことがあったら一生テメーの言うこと聞いてやるよ!!その代わり魔王討伐までただの粗大ごみだったら一生俺の荷物入れな!!」
「いいぞ!!オイラの目に狂いはないからな。」
マサトの小遣いをすべて使いミニ大砲を購入した。
「また無駄遣いしたんですか?」
「無駄遣いじゃない!!未来へのトウシだ!!」
チャムは自慢げに見せびらかした。
「マサの小遣いがどうなろうと関係ないけど。速く情報収集しようぜ。」
時はさかのぼり昨日…
「そこの男。お前‥‥俺と同じ転生者だろ。」
「あ、ああ‥‥俺と同じ?」
「ふ、だろうな。さらに俺の推測が正しければ周りの雰囲気に馴染めず引きこもりになった!――」
「いや、俺小中高皆勤賞貰ってる‥‥」
少しの沈黙が流れた。
「俺はヤマグチマサト。17歳3月10日生まれうお座血液型B好きな食べ物はチャーハン!」
「無理あるだろ。」
「あああ!!名乗ったんだからお前も名を名乗れ!!」
冷たい目で見つめる福神と何が何だか状態のユーリンとチャムを横目にマサトは声を荒げる。
「名前か‥‥俺は【アマノ・ツバサ】剣士だ。」
「アマノ?どっかで聞いたことあるような‥‥」
福神はツバサの名前に既視感を覚えた。
「そしてあたしは、【アセビ・オランディ】ある神の巫女になるために修業中の僧侶よ!へぇ‥‥ツバサ君以外にも転生者っているんだ。ということはそっち子たちも転生者?」
「いやこいつらは‥‥」
「神」「コカトリス」「喋るスライムinトレジャーボックス」
「うん。どういこと?」
マサトたちは自分たちの境遇を説明した。
「う、うーん?」
「まあ、そうなりますよね‥‥」
「マサト君が転生者なら言っておくべきことがある。」
「何だ?」
のんきに話を聞くマサトにツバサはしゃべりだした。
「この都市に【七花軍師】の一人がいる。」
「‥‥何それ?」
無知すぎるマサトに全員がドン引きする。
「忘れてたこいつマジでなにも知らないんだった‥‥」
「幸先が‥‥不安‥‥」
「オイラでも知ってるぞ。」
「うるせえ!!とっとと教えろ!!」
理不尽に見損なわれたことにキレるマサトに福神はあきれながら説明した。
「七花軍師って言うのは、簡単に言うと魔王軍の中でも指折りの強さを誇る者。魔王幹部ってやつだ。七花軍師はその名の通り全部で七人いてそれぞれにコードネームが与えられているらしい。」
「指折りの強さ‥‥」
改めて自分たちが行おうとしてることにマサトは絶望した。
「でも、いるって言ってもどこにいるか分からないし、七花軍師の誰がいるのかまだ分かってないんだけどねー。」
「とりあえず伝えておきはした。あとはお互い頑張ろうな。」
「まあ、どう考えても今の俺らじゃ勝てるわけないんだけどな。」
「今回戦わないにしても情報は武器になる集めて損はないと思うぜ。」
「いや俺知らない人に話しかけるとか絶対無理だから。」
「コミ障が。」
「そういう割には初対面の時ぐいぐい来ましたけどね。」
「リーダーヘタレ?」
「うるせぇ!!どっちにしろ金なくなりそうだし俺は任務受けるぞ!」
マサトとユーリンは任務を受け、福神とチャムは情報収集することになった。
「福神。ジョウホウシューシューできるの?」
「ワイを誰だと思っている?天下の福ノ神様だぞ!ワイに任せろ!」
福神は近くにいた冒険者に話しかけた。
「ダメだ‥‥全然相手にされん‥‥」
喋る狸に皆驚き誰も話を聞いてくれなかった。
「クソッ!何でこうなるんだ!」
「福神うまくいったか?」
「いや全然。お前はどうなんだ。」
「オイラも全然。分かったのはお名前と特別な魔法と現在位置と奴隷を販売してることと最近白い狐を飼い始めてぐらいだよ‥‥」
「‥‥は!?」
チャムの情報収集能力に福神は度肝を抜かれた。
「お前何でそんなに重要なこと知ってるんだよ!情報源はどこだ!?」
「え?鳥さんとか虫さんとかいろんな子たちが教えてくれたよ。」
「鳥や虫‥‥そうか。お前人間以外とも話せるんだったな。」
「うん。でもまだ好きな食べ物と嫌いな食べ物が分かってないんだ‥‥」
「個人情報徹底的に抜き出そうとしてるじゃねーか。でも、よくやった褒めて遣わす。取り合えずマサトたちに伝えよう。」
「ちょ、ききき君達待って。」
フードをかぶった女の子が話しかけてきた。
「あぁん、何の用だ?ワイら今急いでるんだ。」
「ひっ、ごめんなさい。ひひ一つ聞きたいことがありまして‥‥」
「何が聞きたいの?」
「奴隷についてです。」
一方そのころ。霧のかかった森の中…
「ユーリンここどこだよ?」
「マサトさんが先導してたじゃないですか。私に聞かないでください。」
「‥‥迷子だああああぁぁぁぁ!!!!!」
2週間ぶりですね。
もうすぐでしがらみから解放されるので投稿頻度が上がると思います。
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