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50パーセントの守護ゾンビ  作者: おんぷがねと
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48. 食事会のはじまり

 ミレイザはいつものように水を選んだ。マビポットは酒を飲みながら彼女の行動に疑問を感じた。


「アリッサ、食べたいものを選んでいいんだ。わたしのおごりなんだし」

「それは、たいへんありがたいのですが、わたし、ちょっと……」

「なんだ、お腹空いてないのか?」

「ええ、まあ」

「そっか、一口だけでもだめか?」

「はい」

「まあ、無理にとは言わないけど」


 ミレイザはコップに注いである水を飲んだ。ピサリーはミレイザから興味をそらすためマビポットにたずねた。


「それより、魔女の話は?」

「あ?」

「教えてくれるんだろ?」

「ああ、そのことね。周りにその話を聞かれるとまずいから……」


 マビポットはテーブルに映し出されるメニューのひとつを押した。すると、透明な幕がその一角を覆った。


「これで、ここに来ているほかの客人にはなにも聞こえなくなった」


 そこで、店内に入ってきた者たちがいた。その者たちはマビポットたちをみつけると近づいてきた。3人が並ぶとアリッサはほっとし、ピサリーはため息をついた。そこにいたのはヨチリオ、アヤリ、ラルドだった。


 妖精のふたりはピサリーと違ってワンピースドレスを着てきている。ラルドは旅人の服を着て背中にある鞘に剣をさしている。


「ピサリー来たぞ」


 ヨチリオは気軽に声をかけてきた。都合が悪そうな顔を見せてピサリーは目をそらす。


「アリッサさん」


 ラルドはうれしそうに言った。それに対してミレイザは明るめな声で答えた。


「ラルド」


 マビポットとほか3人はお互いに自己紹介をしあったあと、それぞれが空いている席に座った。


 席が埋まり、マビポットはあとから来た者たちをさっきのようにもてなした。


 こうして、食事会がはじまった。


 それぞれが出された料理をおいしそうに食べている。マビポットはヨチリオたちと楽しそうに話し合っている。ラルドは遠慮なく料理をパクつき、ピサリーは料理をある程度食べたあと、流れてくる何気ない会話をいやいや聞いている。ミレイザは水を飲みながらただただ彼女たちの会話を聞いていた。


 すると、マビポットはミレイザの違和感に気づき話しかけてきた。


「アリッサ」

「はい」

「本当に食べれないのか?」

「わたしは、その」

「体の調子でも悪いのか?」

「いや……」


 そこに、ピサリーが割り込んできた。


「こいつは食べないよ」

「食べない? なんで」

「修行中らしい」

「しゅぎょう?」

「ああ」

「ふーん、変わった修業してるんだね。でも食事しないとはいえさ、仮面くらい取ったらどう?」


 ミレイザはあせりを見せながら仮面に手をふれた。あんたの素顔が見たい、そんな表情を彼女が見せていた。


「あの……これは……」


 そう言いよどみながら困ったように下を向いた。どうやって言い訳をしようか考えているがなにも出てこない。そんな彼女を見てピサリーはいいかげんな言い訳をした。


「アリッサは目が悪いんだ。だから特殊な仮面をつけている、そうだろ?」

「え? ええ」


 マビポットはそれを聞いて納得したようにうなずいた。


「ふうん、そう……まあ、病を治せる薬は高いからね」

「アリッサさんてさ、強いんだね。新聞の切り抜き見たよ」


 ヨチリオが興味津々に話しかけてきた。自分の姿が映った切り抜きが広く出まわっていることにミレイザはため息をつく。


「そうだよ、アリッサさんは強いんだ。盗賊たちにさ……」


 ラルドはうれしそうにミレイザのことを語りはじめた。盗賊たちをあっさりと倒したこと、その先にいたグレイブとロズバーラという魔女の手下と対等に戦っていたことなど。


「へぇー、魔女の手下に」


 そう言いながらヨチリオは感心したようにミレイザを見つめた。


「そんなことより、その魔女の話は? 居場所を教えてくれるんだろ?」


 ピサリーは我慢ができずに言った。マビポットは目を丸くすると忘れていたように頭の後ろをかいた。それからにやりとしながら酒を飲んだ。


 ヨチリオとアヤリはピサリーの言葉に驚いた。魔女の存在は王国中に知れ渡っているが、彼女に会おうとする者はいない。


「魔女の居場所を知りたいのか? ピサリー」


 ヨチリオは信じられないと言ったように苦笑いを見せながらたずねた。どうでもいいだろと言いたげなピサリーは適当に受け流す。


「そうだ」

「なんだ、ピサリーってそんなこと考えてたのか。それで居場所を知って会いに行くのか?」

「まあ、そんなところだ」

「会ってどうする?」

「マビポットと同じ質問するな」

「同じ質問? そりゃあそうさ、自然にそうなるだろ。で、会ってどうするんだ?」

「おまえには関係ない」

「関係ないっていっても、あたいはもう聞いちゃったんだからな、ピサリーが魔女に会いに行くってことをさ」


 そこでマビポットは話に割り込んできた。


「魔女退治だって」


 ヨチリオとアヤリとラルドは驚いた顔を見せて、お互いの顔を見合った。数秒の沈黙のあとヨチリオはふき出すように言った。


「魔女退治? ピサリーが?」


 信じられないと言ったようにヨチリオとアヤリはピサリーに目を向ける。ピサリーはふっとため息をつくと、あさってのほうを見上げた。


「まあまあ、そういうことみたいだから、この食事会に来たのさ」

「ふーん、そうだったんだ。なんだーそんなことならあたいに相談すればいいのにさ」


 きりっとピサリーはヨチリオをにらみつけた。


「冗談だよ、魔女の居場所なんて知らないし、興味もないよ、あたいが興味あるのは……」


 ヨチリオはミレイザに視線を送る。ミレイザは目が合うとすぐにそらして下を向いた。イライラしながらピサリーはマビポットをにらみつける。が、彼女はごきげんな顔で返した。


「早く教えろよ」


 ピサリーは机を叩きマビポットをうながした。


「そんなに知りたいのかい?」

「ああ、そのためにこんな来たくもないところへ来てやったんだ」

「……わかった」


 マビポットはそう答えて一呼吸置いた。みなが彼女の言葉を待っている。そして、魔女についての話がはじまった。


「魔女の居場所は……じつは、わたしもわかんないんだわ」


 そう言いながら、マビポットは頭の後ろをかいて苦笑いを浮かべた。みなの目が一瞬点になるとピサリーはマビポットに飛びかかろうとした。そこをミレイザが止めに入り彼女を制した。


「ふざけるな!」

「まあまあ、落ち着きなよ。知らないけど、もっといい情報を持っているんだ」

「いい情報?」

「そう、それは、なにを目的としているかだ」

「目的」

「しかし、ピサリーって……血気お盛んなんだな。学園じゃいつもこんな感じ?」


 マビポットはピサリーやヨチリオたちを指さしながらにたずねた。ヨチリオはここぞとばかりに言いたい放題言った。


「そう、いつもなんだよね。だからみんなピサリーに近寄ろうとしないんだ。そのなかでもスタープリルたちはちょっかいだしているけどね」

「スタープリル?」

「学園のなかの一番の優等生。彼女、ピサリーになにかと目をつけててさあ、この前なんか……」


 ドンッとテーブルをピサリーは蹴った。ピサリーはものすごい剣幕でヨチリオを見ている。これ以上なにかしゃべればだたじゃ置かない。そんな目を向けていた。


「ピサリー」


 ミレイザは彼女を落ち着かせるように肩を軽く叩いた。ピサリーがここに来ている人たちにいつ飛びかかっていくかわからないため、ミレイザは彼女から手を離すことができないでいた。


「悪かったよ。ピサリー」


 ヨチリオは謝った。それでも腹の虫がおさまらないピサリーは杖を出し火の玉をためはじめる。ラルドやアヤリは椅子から立ち上がり、彼女を止めに入った。それを見たマビポットは動じずにただ彼女の目を見てさとした。


「おいおい、ここはお店だよ。もしここでその魔法を放って燃え移ったら、弁償になっちゃうけど、いいの?」


 周りでは楽しそうに食事をしている人たちがいる。ピサリーはそのことを聞くと杖を消して静かに腰を下ろした。


「その、いい情報とやらを早く聞かせろ」


 ピサリーが言うと、マビポットは一息ついてぽつぽつと話しだした。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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