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Diva Driver ~誰ガ為之歌~  作者: 明治サブ(SUB)
第肆楽章「歌を統べる者」
51/53

拾弐「救い」

「……終わったの?」


 気がつけば、千歳がいた。何やら変わった服を着ている。

 千歳の隣には、同じ服装の見知らぬ女性が立っている。


「ヱッ!? 千歳、何でここに――」


 尋ねる歌子に、


「大変だったんだから!!」


 千歳が、プンスコ怒って見せる。

 そんな千歳が、歌子の手にあるDiva Driverと、フレデリカと、しわしわの老婆と、沈黙したѦ() ҈()Ѯ(クゥス)Ѩ(ヰェ)Ԫ(デジェ)Җ(ゥズ)を順に見やり、


「まァでも、Diva Driverを届けに来た甲斐はあったってことのようね」


 相変わらず、理解が早い。


(ウチの神様は健在やな!)


 嬉しくなってしまう歌子である。


「歌子、その剣、貸してもらえるかい?」


 ふらりと立ち上がったフレデリカが、手を差し出してくる。


「善いけど、どうするん?」


 もう決着は着いたのだ。

 全ての音子(ナノマシヰン)は、己の管理下にある。

 皇帝はもう、非力な老婆に過ぎないのだ。

 Diva Driverを掴んだフレデリカが、その老婆の前に立ち、Diva Driverを振り上げる。


「ラァーーーー~~ッ!!」


 鋭い風でも刀身に纏わせたつもりだったのかも知れないが、Diva Driverからは何も発生しない。

 だが、そんなこともお構いなしに、フレデリカは剣を振り下ろす。


「ギャッ、やめッ、うッ……」


 呻く老婆へ、何度も何度も、刃を持たない刀身を叩きつける。


「――フレディ!」


 見かねて、歌子はフレデリカの体を風で押さえつける。


「殺すッ!! ソイツを殺させて呉れ、歌子ッ!! そいつは、そいつだけは、生きてちゃいけないんだッ!!」


 血を流し、怯えるばかりの老婆へ、なおも剣を振り下ろそうともがくフレデリカ。

 歌子はそんな彼女へ歩み寄り、後ろからそっと抱き締めた。


「――フレディ、もうええんよ」


 両腕に力を込める。


「ウチが許すねん。皇帝の罪も、フレディの罪も。フレディはもう、復讐に生きなくてもええねん。自由なんよ」


「そんな、じゃァ僕の人生は何だったんだッ!? 僕の歌は何の為に――」






「――ウチの為に」






 歌子は、出来るだけ優しい声で云う。


「ウチの為に歌って、フレディ。ウチも、フレディの為に歌うから」


 フレデリカの体から、力が抜けた。

 歌子はフレデリカの拘束を解く。

 フレデリカはDiva Driverを掴んでいた腕をだらりと垂らし、呆然とした様子で振り返る。

 果たして二人、目が合った。


「……いいのか、歌子?」


 返事の代わりに、歌子は背伸びをしてフレデリカにキスをする。


「政治は千歳に任せて、二人で静かに暮らそう。何なら男性の機能を取り戻すことだって出来るで」


「ちょちょちょ、歌子!?」


 慌てるのは、そばで聞いていた千歳である。


「何勝手に人を世界大統領に推挙しちゃってるのよ!?」


「じゃァ世界首相や。ウチが世界皇帝で、立憲君主国家『地球』ってことで」


「滅茶苦茶よ……」


 天を仰ぐ千歳。


「ただまァ、日本の政財界の重鎮たちに声を掛けることは出来るわ。亜米利加(アメリカ)にも伝手(つて)はあるし」


「さっすが千歳! ウチの神様!」


「本当、調子善いんだから」


「僕は……僕は……嗚呼ぁ……」






 フレデリカが泣いている。


     子供のように泣いている。


         まるで、生まれたての赤ん坊のように。






 ずっと心を殺して生きてきた彼女は、


     ずっと心を殺して生きてきた彼は、


         きっと、今ここで、生まれ直したのだ。






                   第肆楽章「歌を統べる者」――――Fin.

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