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2  まさかの王家!?

恋愛小説というものはムズかしい...。

「お嬢様、お二人がお越しになりました。」

 自室で本を読んでいる私に次女が言う。

「ありがとう。すぐ行くわ。」


 今私は五歳。この世界で新しい人生が始まってからもう五年もたった。働いてばかりだった私には新しいことがいっぱいで、お父様は貴族だから屋敷があり、使用人たちがいる。何をするときも使用人が代わりにやってくれるので、人間が腐りそうだ。やっぱり自分でやりたくなるが、それが侍女にばれると必死に止めてくるので、やってもらっている。


 今日は早めね。最近、毎日のようにアークスとルーカスの二人が遊びに来る。

 アークスは子爵家の二男で、紺の髪をしている活発な男の子だ。彼の実家のグレイ子爵家は、代々優秀な騎士を輩出しているらしく、王国一の実力者ぞろいである近衛騎士団に所属する人が多い。彼もそんな血を受け継いでいるのか、正義感が人一倍強い。

 ルーカスはリッチモンド侯爵家の嫡男。彼の髪は思わず見とれてしまうような輝く金色をしている。彼は人を思いやるのが上手で、心優しい。彼の出身のリッチモンド侯爵家は、宮廷に努める高官を輩出する家系で、彼もとても頭が良い。私もその知識の量には驚かされることがある。


 二人ともフィオーレ家と屋敷が近く、当主である父親同士の仲も良いため、本当に小さい時から仲良くしている。精神年齢的には40歳以上異なるが、実年齢は同じである。


「ルーナ!早く~!」

 ホントにアークスは遊ぶのが大好きなんだから。

「はいは~い。今行くね~!」

「今日はね、新しいお友達がくるんだ!」

 目を輝かせながらルーカスが言った。

「ここの場所は教えておいたから、もうすぐ来るはずだよ!」

「へぇ~。どんな子なんだろう。すっごく楽しみ!」

 この二人が新しいお友達を連れてくるなんて初めて。どんな子なんだろう。


「ルーナ様!大変です!」

「あらリリア。そんなに慌ててどうしちゃったの!?」

 リリアはいつも穏やかで声を張り上げることなど滅多にない。そんなリリアが叫び慌てているなんて、何があったの!?

「そ、それが...王家の馬車が...門に...。」

「お、王家の馬車ぁ~!!!???」

「もしかしてクリストたちが来た?」

「やっと?」

 「きた~?」じゃないわよ!王家って...王家...おう...。もしかして...。

「もしかして、今日来る新しいお友達って、王子様!?」

「そ、そうだよ。そんなに慌ててどうしたの?」

 ルーカスが心配そうな顔をしてくる。あぁ~お腹が痛い...。今日はお父様もお母様もいらっしゃらないのよ。私が一人でお出迎えをしないといけないの...。服は大丈夫よね?OK。


 とにかく行かないと...。

 私は屋敷の門に急いで向かう。今屋敷にいるできるだけの使用人も集めた。


 王家の人間しか使用を許されない特別な馬車の扉が開いた。


 中から出てきたのは私たちと同じくらいの大きさの銀髪の男の子と、一回り小さい男の子だった。


「ようこそお越しくださいました。申し訳ないのですが本日は当主である父が外出しておりまして...。」

 ふぅ。何とか噛まずに言えた。

「だ、大丈夫ですよ!...な、カイン!?」

「も、もちろんですお兄様!」

 なんでこのお二人は一貴族の娘でしかない私に敬語なんだ?周りの護衛の騎士さんたちとアークスとルーカスが驚いてるけど...。




 俺は今日、運命的な出会いをした。


 ここソレント王国の第一王子として生まれた俺、クリストは、生まれてから一度も恋をしたことがなかった。もちろん、王子という立場上はいろんな貴族の令嬢と会う機会はあったのだが、その時は向こう側から一方的に話しかけてくるだけで、興味を持つような子はいなかった。


 でも、この子は違った。初めて見たとき(ついさっき)から、彼女に目をくぎ付けにされる。その華麗なたたずまいと言葉遣い。そして何よりその美しい顔。見とれていたら急に話しかけられて、緊張して敬語を使ってしまった。


 体全身が熱い。自分ではわからないが、顔も赤い気がする。

 僕はこの子に恋してしまったのか。一目惚れをしてしまったのだろうか。

 この子のことをもっと知りたい。お近づきになりたい。仲良くなりたい。一生隣にいてもらいたい。


 俺の表情を見て気づいたのだろう。アークスに睨まれている気がする。もしかしてアイツも彼女に気があるのか...。道のりは長そうだ。




 僕は今日、運命的な出会いをした。


 この国の第二王子として生まれた僕、カインには、好きな女の子ができた。その子はものすごく美人で、優しそう。僕より歳は二つ上だけど、この人が僕の運命の人だって直感的に感じた。


 今までいろんな女の子と出会ってきたけど、その子たちはみんなただの「お友だち」だった。向こうは僕に気があるのかもしれないけど、僕からしたらただ仲がいいだけ。それ以上でもそれ以下でもない。


 でも、この子は違った。「好きだ」って思った。他の女の子のことなんて一切入らないほど、僕の頭の中を埋め尽くした。心を満たした。


 これが一目惚れっていうのかな。急にお兄様に話を振られるからびっくりしちゃった。


 ルーカスが僕をにらんでる。彼も彼女のことが好きなのかな。絶対渡さないもん。




「申し遅れました。私は、ルーナ・フォン・フィオーレと申します。」

「お、俺は、クリスト・グラン・ソレントです。敬語じゃなくて大丈夫です。」

 お兄さんなのかな。君も、「俺」と敬語混ざっちゃってるけど。

「僕は、か、カイン・グラン・ソレントです!三歳です!弟みたいに思ってください!」

 二歳年下かぁ。かわいいねぇ。癒されるねぇ。

 私が二人のことを見ていると、

「ほら!遊ぼ!」

「何して遊ぼう?」

 とアークスとルーカスが横やりを入れてきた。

「そうね。まずはお庭に行きましょうか。フフ。クリスともカインも、私に気軽に接してくださいね。」

「「はい!」」

 やけに元気だなぁ。まぁいいか。



 それから私たちはフィオーレ家の誇る庭園で遊んだ。

 今日はいつもより人数が多かったから、格段と楽しかった。久しぶりの鬼ごっこも悪くないものだ。


 お開きにしましょうというときに、()()は起こった。


「クリスト様~!ぐあぁ!」

 クリストとカインの護衛で来ていた騎士の一人が、叫びながら駆けつけてきたと思ったら、後ろから男に斬りつけられた。

「キャ~!」

「何者だ!皆様、危ないので下がっていてください。」


 私たちは屋敷の騎士たちの後ろに下がった。敵は盗賊のようでその数は多く、20人はいた。対してこちらの護衛の騎士の数は5人。流石に不利ね。

 騎士たちは数の差には勝てず、倒されていった。

 もしかしてこの人たち、最近貴族の屋敷を襲っているという盗賊かしら。


 カインはまだ三歳なので、クリストに泣きながらしがみついている。

「大丈夫だよカイン。絶対俺たちが守るからね。」

 そういうクリストの声も震えている。


 とうとう私たちは囲まれてしまった。

「ヒヒヒ。まずはそのお嬢ちゃんから来てもらおうか。」

 一番強そうな盗賊が言う。

「お前ら、かかれ!」

「「「「「ウォー!」」」」」


 私に向かって盗賊が向かってきた。

「ルーナに触らせるか!」

 わたしを「お嬢様、お二人がお越しになりました。」

 自室で本を読んでいる私に次女が言う。

「ありがとう。すぐ行くわ。」


 今私は五歳。この世界で新しい人生が始まってからもう五年もたった。働いてばかりだった私には新しいことがいっぱいで、お父様は貴族だから屋敷があり、使用人たちがいる。何をするときも使用人が代わりにやってくれるので、人間が腐りそうだ。やっぱり自分でやりたくなるが、それが侍女にばれると必死に止めてくるので、やってもらっている。


 今日は早めね。最近、毎日のようにアークスとルーカスの二人が遊びに来る。

 アークスは子爵家の二男で、紺の髪をしている活発な男の子だ。彼の実家のグレイ子爵家は、代々優秀な騎士を輩出しているらしく、王国一の実力者ぞろいである近衛騎士団に所属する人が多い。彼もそんな血を受け継いでいるのか、正義感が人一倍強い。

 ルーカスはリッチモンド侯爵家の嫡男。彼の髪は思わず見とれてしまうような輝く金色をしている。彼は人を思いやるのが上手で、心優しい。彼の出身のリッチモンド侯爵家は、宮廷に努める高官を輩出する家系で、彼もとても頭が良い。私もその知識の量には驚かされることがある。


 二人ともフィオーレ家と屋敷が近く、当主である父親同士の仲も良いため、本当に小さい時から仲良くしている。精神年齢的には40歳以上異なるが、実年齢は同じである。


「ルーナ!早く~!」

 ホントにアークスは遊ぶのが大好きなんだから。

「はいは~い。今行くね~!」

「今日はね、新しいお友達がくるんだ!」

 目を輝かせながらルーカスが言った。

「ここの場所は教えておいたから、もうすぐ来るはずだよ!」

「へぇ~。どんな子なんだろう。すっごく楽しみ!」

 この二人が新しいお友達を連れてくるなんて初めて。どんな子なんだろう。


「ルーナ様!大変です!」

「あらリリア。そんなに慌ててどうしちゃったの!?」

 リリアはいつも穏やかで声を張り上げることなど滅多にない。そんなリリアが叫び慌てているなんて、何があったの!?

「そ、それが...王家の馬車が...門に...。」

「お、王家の馬車ぁ~!!!???」

「もしかしてクリストたちが来た?」

「やっと?」

 「きた~?」じゃないわよ!王家って...王家...おう...。もしかして...。

「もしかして、今日来る新しいお友達って、王子様!?」

「そ、そうだよ。そんなに慌ててどうしたの?」

 ルーカスが心配そうな顔をしてくる。あぁ~お腹が痛い...。今日はお父様もお母様もいらっしゃらないのよ。私が一人でお出迎えをしないといけないの...。服は大丈夫よね?OK。


 とにかく行かないと...。

 私は屋敷の門に急いで向かう。今屋敷にいるできるだけの使用人も集めた。


 王家の人間しか使用を許されない特別な馬車の扉が開いた。


 中から出てきたのは私たちと同じくらいの大きさの銀髪の男の子と、一回り小さい男の子だった。


「ようこそお越しくださいました。申し訳ないのですが本日は当主である父が外出しておりまして...。」

 ふぅ。何とか噛まずに言えた。

「だ、大丈夫ですよ!...な、カイン!?」

「も、もちろんですお兄様!」

 なんでこのお二人は一貴族の娘でしかない私に敬語なんだ?周りの護衛の騎士さんたちとアークスとルーカスが驚いてるけど...。




 俺は今日、運命的な出会いをした。


 ここソレント王国の第一王子として生まれた俺、クリストは、生まれてから一度も恋をしたことがなかった。もちろん、王子という立場上はいろんな貴族の令嬢と会う機会はあったのだが、その時は向こう側から一方的に話しかけてくるだけで、興味を持つような子はいなかった。


 でも、この子は違った。初めて見たとき(ついさっき)から、彼女に目をくぎ付けにされる。その華麗なたたずまいと言葉遣い。そして何よりその美しい顔。見とれていたら急に話しかけられて、緊張して敬語を使ってしまった。


 体全身が熱い。自分ではわからないが、顔も赤い気がする。

 僕はこの子に恋してしまったのか。一目惚れをしてしまったのだろうか。

 この子のことをもっと知りたい。お近づきになりたい。仲良くなりたい。一生隣にいてもらいたい。


 俺の表情を見て気づいたのだろう。アークスに睨まれている気がする。もしかしてアイツも彼女に気があるのか...。道のりは長そうだ。




 僕は今日、運命的な出会いをした。


 この国の第二王子として生まれた僕、カインには、好きな女の子ができた。その子はものすごく美人で、優しそう。僕より歳は二つ上だけど、この人が僕の運命の人だって直感的に感じた。


 今までいろんな女の子と出会ってきたけど、その子たちはみんなただの「お友だち」だった。向こうは僕に気があるのかもしれないけど、僕からしたらただ仲がいいだけ。それ以上でもそれ以下でもない。


 でも、この子は違った。「好きだ」って思った。他の女の子のことなんて一切入らないほど、僕の頭の中を埋め尽くした。心を満たした。


 これが一目惚れっていうのかな。急にお兄様に話を振られるからびっくりしちゃった。


 ルーカスが僕をにらんでる。彼も彼女のことが好きなのかな。絶対渡さないもん。




「申し遅れました。私は、ルーナ・フォン・フィオーレと申します。」

「お、俺は、クリスト・グラン・ソレントです。ルーナさんは敬語じゃなくて大丈夫です。」

 お兄さんなのかな。君も、「俺」と敬語混ざっちゃってるけど。

「僕は、か、カイン・グラン・ソレントです!三歳です!弟みたいに思ってください!」

 二歳年下かぁ。かわいいねぇ。癒されるねぇ。自分から弟って言う人はあんまりいないと思うけど。

 私が二人のことを見ていると、

「ほら!遊ぼ!」

「何して遊ぼう?」

 とアークスとルーカスが早く遊びたいというふうに横やりを入れてきた。

「そうね。まずはお庭に行きましょうか。フフ。クリスともカインも、私に気軽に接してくださいね。」

「「はい!」」

 やけに元気だなぁ。まぁいいか。



 それから私たちはフィオーレ家の誇る庭園で遊んだ。

 今日はいつもより人数が多かったから、格段と楽しかった。久しぶりの鬼ごっこも悪くないものだ。


 二、三時間ほど遊び、お開きにしましょうというときに()()は起こった。


「クリスト様~!ぐあぁ!」

 クリストとカインの護衛で来ていた騎士の一人が、叫びながら駆けつけてきたと思ったら、後ろから男に斬りつけられた。

「キャ~!」

「何者だ!皆様、危ないので下がっていてください。」


 私たちは屋敷の騎士たちの後ろに下がった。敵は盗賊のようでその数は多く、20人はいた。対してこちらの護衛の騎士の数は5人。流石に不利ね。

 騎士たちは数の差には勝てず、倒されていった。

 もしかしてこの人たち、最近貴族の屋敷を襲っているという盗賊かしら。


 カインはまだ三歳なので、クリストに泣きながらしがみついている。

「大丈夫だよカイン。絶対俺たちが守るからね。」

 そういうクリストの声も震えている。


 とうとう私たちは囲まれてしまった。

「ヒヒヒ。まずはそのお嬢ちゃんから来てもらおうか。」

 一番強そうな盗賊が言う。

「お前ら、かかれ!」

「「「「「ウォー!」」」」」


 私に向かって盗賊が向かってきた。

「ルーナに触らせるか!」

「危ない!」

 わたしを守ろうとして立ちはだかったアークスとルーカスは、簡単に吹き飛ばされ、意識を失った。

ゆるりと楽しんでってください。

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