表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ナナミの冒険  作者: ななまる
3/36

ヴィラの花市

花市の開催で賑わうヴィラの街。ナナミもお祭り気分でうかれ楽しんでます。

「きゃぁぁぁぁ」

祭りに浮かれる街中でボクたちの耳に、小さいな悲鳴が届いた。一瞬顔を合わせた後、ボクたちは駆け出した。

「あぁん。いったい、どういうつもりだってんだぁ?」

「・・・・」

「黙ってちゃわからんだろう。落とし前はきっちりとってもらわねぇとな。」

「まぁ、こんなとこじゃなんだ、ちょっと付き合ってもらおうか。」

「ご、ごめんなさい。でも・・・・」


事情はよくわからないけど、通りを外れた路地裏で女性を囲む人相の悪い男どもが3人。構成もお約束どおりだ。出っ歯で目つきの悪いチビが花籠を持った女性の目の前に刃物をちらつかせる。頭の悪そうな巨漢が腕力を誇示するかのように両手を合わせて指を鳴らしてる。少し下がったところにマントを羽織りショートソードを腰に差した男、フードでよく見えないけど他のふたりよりは多少マシかな、が薄ら笑いを浮かべてる。


考えるまでもない。ショートソード抜いて男たちの前に立つ。

「チビとハゲはまかせて。マントをお願い」

「おおっ!!」


「覚えてやがれ。このブスッ。」

「誰がブスだっ」

お約束どおりの捨て台詞に、ミリカさんが手元の礫を投げつける。

「ぷぎゃ。」

上手く当たったみたい。連中が走り去った方から変な声がした。それにしても、なんで投げた礫が曲がるの?

「もう大丈夫だよ。順序が逆になったけど、ちょっと事情を教えてもらえないか・・・・な。」

ニッコリと振り返るミリカさん。

でも、そこには女性の姿はなく、女性が持っていた花籠とあたり一面に撒き散らされた色とりどりの花弁があるだけだった。

「あれぇ〜」

「いないですね。」

小さな花輪をつけた鞘にショートソードを納めながら、ミリカさんに応える。


「ミリカ。面通しはしたはずだったよな。」

詰所に戻ったボクたちは、西地区担当の警備主任に呼び出された。何故か怒りに顔を真っ赤にしてる主任は開口一番、訳のわからないことを言い出す。

「は??」

ミリカさんにも分かってないみたいだ。


「今朝、中央通りで東地区連中と揉めたそうだな。」

「???」

「ヤシロたちの邪魔したそうじゃないか。」

ぽーん。あっ、なんとなくわかった。

「ヤシロって、あの格好付けのバカですか?」

「そうだ。臨時応援の冒険者ふたりと動向の怪しい女を詰所に連れていくところを、お前に邪魔されたって、東の主任から文句が来てるんだよ。」

「あっ、」

ミリカさんにも分かったみたいだ。

「いや、でも、あれは不可抗力で・・・主任だって昼に話したときは『よくやった』とか言ってたじゃないですか。大体、徽章も付けずにあんなことしてたら、誤解するに決まってますよ。」

ミリカさんが抵抗を試みる。

「そのための顔合わせだろうが。この時期は、人手が足りない分を冒険者で埋めるのはうちも一緒だろうが。」

「・・・・・あっ。いや、でも、・・・・」

あっダメだ。なんか思い出したみたい。抵抗が弱くなってる。


ヴィラの街では年に一度、大規模な花市が開かれる。街中が色とりどりの花で包まれ、商人たちは花輪や花車で店を飾る。通りにはおっきな花人形なんかも置かれ、それらの出来を競う品評会が評議会主催で開催される。また、近隣はもちろん遠方からも珍しい植物が持ち込まれ、好事家相手の競りなんかも開催される。お祭り騒ぎも手伝って、馬鹿みたいな値段がつくこともある。昨年は、形がちょっと珍しいってだけで魔法薬とかの原料にもならない花に1万Gを超える値段がついたらしい。

で、ひとが集まるといろいろトラブルが起きる。街の警備隊だけでは人手が足りないってので、冒険者に応援の依頼が舞い込んでくるってわけだ。ボクも、あと3日臨時の警備隊員をやって、その後は花市を見て回ろうって思ってる。

朝の連中もそんな冒険者だったみたいで、顔合わせをしたはずのミリカさんは、そのことをすっかり忘れてたってことみたいだ。でも、あの状況じゃ仕方ないと思うけど、今、言っても主任さんは聞いてくれそうもないし、どうしたものか・・・・。


ーーー


依頼完了報告 ナナミ(翠玉)

ヴィラの街の臨時の警備隊員としての、依頼を完了。依頼主である警備隊の完了証明を添付する。


ヴィラの街の花市

☆☆(ナナミ、人族)

言わずと知れたヴィラの街の花市。街中、色とりどりの花に包まれ、散策するだけでも楽しい。

見るだけじゃなくて、ちょっとした花輪なんかを作って、品評会に参加するのも楽しい。参加方法はかんたんで、評議会事務所に出品物を持って行くだけ。参加料を払って出品登録をすれば、出品物に青いリボンをつけてくれる。後は、出品物を人目につくように持ち歩けば、街中にいる採点者が採点してくれるってことだ。優秀賞なんかは流石に専門の職人さんの独壇場だけど、審査員特別賞なんかは、街の風景に溶け込んでるとか、出品者を引き立てるとか、審査員毎に独特な評価基準を設定してるので、素人にも受賞のチャンスがある。

ほんとにいろんな楽しみ方があって、誰にでも自分なりの楽しみが見つかると思うので、是非参加してもらいたい。


ーーー


『導入だよね。』

『導入だよ。・・・・もちろん。』

盤上を見つめる彼ら。ひとりの問に、別の者が応える。

『伏線っぽいものもあるし、導入に決まってるよ。』

自らを勇気付けるかのように呟く。


『・・・・でも、依頼完了してるみたいなんだけど。』

今回も拙いものを読んでくれてありがとうございます。

なんとなくお祭り騒ぎの街の風景が頭に浮かんで書き始めたのですが、当初は競りの内幕なんかも考えてたのですが、書いてるうちにこんがらがっちゃっいました。

「彼ら」の呟きはななまるの呟きでもあります(¯∇¯٥)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ