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31.light of lagoon
シュガーマウンテン。
かつてのリバ族の空に青い月の静寂。
慎ましく、虫たちが唄う。
風が優しく頬を撫でる。
暖かく焚き火に照らされて、アーロはうっすら目を覚ました。
黄色いパーカーが肩に掛かっている。
胸に手を当てる。傷などない。心臓がトクトク脈打っている。
ふと見渡すと、サラが潤んだ目で見つめていた。
「サラ……」
身を起こす前にサラが寄り添った。
「アーロ……」
「サラ……〝水〟は?」
「ええ。手に入れたわ」
岩肌にラグーンの光が射し込んでいる。
「そうか……よかった……」
「だからあなたも助かったのよ。伝説は本当だった」
そう言ってサラはアーロを抱きしめた。
「俺は……不甲斐なくて」
「ううん、いいの。こうしてまた……あなたと話せるだけで」
「ありがとう。嬉しい……」
震える声でサラは言った。
「あなたがいるだけでいいの」
アーロは彼女の髪を撫で、濡れる頬にキスをした。
「……俺はずっと、君を守っていきたいんだ……」