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SARA  作者: ホーリン・ホーク
Sugar Mountain
27/34

27.arrival

 サラが出発した日の夜、リバ族の村長オールドマンの所へ一人の男が現れた。

 かつて善人を装い、旅人としてやって来たその長身の男に、オールドマンは確かに見覚えがあった。


『光の竜の話をお伺いしたくて……』


 その内なる邪気を見抜いてオールドマンは答えた。

『竜などおらん。ただのお伽話じゃよ』


 黒いレザーコートを纏い、雷鳴と共に現れたその男ネプチューンはオールドマンを襲った。


 そして彼の胸のセイレイを奪い、闇夜に消え去った……。



挿絵(By みてみん)



 華の都ロンドロンドから一人、アーロ・ブロンコはチェロキージープで向かっていた。

《爺ちゃんはもう歳なんだから俺に任せなよ。大丈夫だって! 俺だってリバ族の戦士なんだ。爺ちゃんは村を守っててくれよ》



 仲秋の穏やかな山の連なり。

 畝るアスファルトの車道は鉄柵に囲まれた緑の木々が続く。

 窓を開けると澄んだ風が頬に沁み入った。


 アーロはサラより一足早くそこ、シュガーマウンテンに着いた。

 地図とガイドにある通りタイル貼りの鉄筋建造物が見えてくる。

 駐車場に車を停め、アーロは先ず、その入山管理所脇の公衆電話に向かった。


「爺ちゃん! 今、無事に着いた! 」

《おお。よくぞ辿り着いたな。よかった。……一つ、お前に伝えねばならん事がある》

「何だい?」

《ある男に……わしのセイレイを奪われた》

「え?」

《男は……大柄で骨張った顔の、黒いレザーコートを纏った、その風貌はまさに死神。不吉じゃ。其奴の真の狙いは光の竜。気をつけるんじゃぞ。サラちゃんをしっかり守れ》





 午後三時。大地に響き渡るハーレーの音。

 外で遠くを見ていたアーロは近づいて来るサラに手を振った。

 彼女は速度を落とし、ゆっくり停車する。

 そして頬に笑みを浮かべ今、ついにそこに降り立った。


「サラ。よく来たね。何事も無かったかい?」

「ええ。あなたは? リバ族の戦士さん」


 それぞれに違う道へ進んだ二人は、二年半ぶりに再会した。

 オールドマンが告げた〝彗星が煌めく〟今日がその約束の日だった。

 電話だけではもどかしく、アーロは早く会いたかった。

 サラは強がっていたが、気持ちは同じだった。



 サングラスを外し、彼女は手を伸ばす。

 二人は握手をして互いの喜びを感じ合った。



挿絵(By みてみん)



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