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SARA  作者: ホーリン・ホーク
Sugar Mountain
26/34

26.a ray of hope

ついに聖地シュガーマウンテンへ……。

 彼女はハーレーに乗って砂漠のハイウェイを行く――。

 一九九二年九月二十六日、いよいよその地に辿り着こうとする。


 二十歳(ハタチ)のサラは今までまるで矢のように走り続けてきた。

 五年前の事件の悪夢を取り払うために……。



 ****



 トミー・フェラーリが母クリシアの耳元で拳銃の引き金を引き、彼女は両の聴力を奪われた。

 内耳蝸牛(かぎゅう)の損傷〝急性音響外傷〟。

 精神的ショックもあり重度で、難聴と耳鳴りが続いた。

 投薬での治療は不完全で、めまいも酷く立っているのが困難になっていった。

 ブリウスの撃たれた左腕は完治したが自責の念で彼の苦悩は続いた。

 酒を飲んでは隠れて泣く父親を、サラは見たくなかった。



 サラの暮らしは暗く一変した。

 道に立てないほどつらい日々もあった。

 それでもサラはクリシアの前では笑顔を絶やさなかった。



 ある日リバ族の村長オールドマンは言った。

「シュガーマウンテンには伝説がある。光の竜の棲むラグーンの水は〝聖なる生命の水〟。それは傷を癒し心を癒し命さえも蘇らせるといわれる奇跡の水。再生の水。わしの祖父にあたるゴールドハートはその水で祖母の病いを治した。そう伝えられてきた。わしやアーロがここに存在()るのも聖なる生命の水のお陰。……もし、信じるならば……一縷(いちる)の望み、かけてみるかね?」



 サラは信じた。

 オールドマンから授かった守護石セイレイを握りしめて。

 旅立つ前、サラは母クリシアの頬に優しくキスをした。

 傍らで見つめるブリウスに

「必ず帰ってくるから」と、笑って見せた。




挿絵(By みてみん)

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