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SARA  作者: ホーリン・ホーク
Revenge In The Barrel
16/34

16.sei-rei

 オールドマンが美しい刺繍の襟元から覗かせていたネックレスを露わにした。

 サラは目を奪われる。

「サラちゃんこの石はの、わしらの御守りなんじゃ。この石は〝セイレイ〟という」

「精霊?」

「わしらリバ族のことを〝蜻蛉(セイレイ)の一族〟と、聞いたことがあるかね?」

「……いいえ」


 自ずと輝いて見える碧い石。

 オールドマンのそれはアーロのものより大きく、トンボか竜を模ったプラチナに縁取られている。


「蜻蛉とはトンボのことじゃ。わしらにとって蜻蛉は神の使い。前にしか進まん縁起のいい勝ち虫でもある。まぁ、大自然の神の化身というかの」

 サラはキラキラと目を輝かせている。

「お爺様、私見たんです! 精霊……蜻蛉を、透明なトンボを! アーロが転入してきた日の朝も、さっきここへ入る時も」

「な、なんと!」

「ほ、本当なんです!」


 身を乗り出し、お茶をこぼす勢いのサラ。

「一瞬なんですけど、まるで妖精みたいに」

 真剣な眼差しのサラに、オールドマンは深く頷いた。

「わしと同じように蜻蛉もあんたを気に入ったんじゃろう。あんたは既に蜻蛉に守られておる」





 百年ほど前、リバ族はシュガーマウンテンから切り離された。

 政府軍の男たちがライフルやショットガンを持ってやって来た。

 リバ族もズマ族も戦ったが硝煙弾雨、文明の力には敵わなかった。

 彼らは狭く荒れた土地に追い出され、シュガーマウンテンは国の所有となった。

 先住民の彼らは肌の色が違うとして蔑視され、過酷な労働も強いられた。


 リバ族の(おさ)ゴールドハートは家族、部族を守るため、法を学び法と戦った。

 その息子シルバは人権運動の指導者になった。

 その息子オールドマンは教師になり慈悲の精神を説いた。

 その息子ハーベィは都会で建築士に。

 しかしその息子アーロは都会の喧騒に馴染めなかった。

 そしてアーロは祖父オールドマンの下でしばらく暮らすこととなった。



 アーロの母親は彼が幼少の頃、病いで亡くなった。

 アーロのネックレスは母親の形見だ。

 サラがそれを拾って渡してくれたことをアーロは一生忘れない。

 オールドマンはサラに友好と加護を願ってセイレイをプレゼントした。



挿絵(By みてみん)

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