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12.RIVA
先住民リバ族の登場。
時は十九世紀中頃。
〝蜻蛉の一族〟と呼ばれるリバ族のゴールドハートは、その輝きに目を奪われ立ち尽くした。
眼前に広がるのは赤い空に映える巨大な〝光の竜〟。
祈祷師ヘルポレス婆の水晶に見た竜は本当だった。
「およそ百三十年の周期で星が輝き竜が現れ、奇跡をもたらす。それはわしらリバ族の言い伝え……わしらにしか見えん精霊じゃ。怖れず、身を委ね、その導きに従うのじゃ……」
ゴールドハートは胸のリバ族の守護石セイレイを握りしめ、移動してゆく竜の後を追った。
彼は病床にある妻に必ず帰ってくると言った。
入っては二度と戻れないと言われる魔境、その先にあるものを手に入れるために。
――帰ったらまた外へ出よう。華やぐ高原を一緒に歩くんだ……。
その場所は魔境、死の峡谷。
やがて竜はシギシギと音を立て光を放ちながら、散った。
はっと我に帰ったゴールドハートの目の前には伝説の湖が。
〝聖なる生命の水〟を湛えた、シュガーラグーンが広がっていた。