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act.17:きたぞ!我らのブレイガーO!!

 ミサイル眼魔邪巨神 ガンクロン

 頭剣乱舞邪巨神 ギロニアヘッド

 結晶反射力邪巨神 プリズマエル

 超弩級岩塊邪巨神 イワサイガミ

 石化偽蛇獣邪巨神 メタデューサ

 三首吸精邪巨神 ギドラキュラス



 髑髏巨神 スカルキング


             登場












 キュゥゥゥゥゥゥンッ!



『時間がない中、よく完成させてくれました!!

 HALMIT(ここ)にいる誰一人が欠けても、ブレイガーOは完成することはできなかったはずです。


 みんな、ありがとう!!』



 タキシングを終えたジェットウィンガーが、反重力魔導機構によってホバリングを開始する。







『これが、ブレイガーO最初の出撃になります!!』








『全シークエンス終了!!

 発進どうぞなのぜ!!』


 管制より聞こえてきた声に従い、アフターバーナーを起動させウィンガーは前に進む。


 一瞬で速度は時速600km。

 上空へ上がり、目的地へ機首を向ける。



「そういえばその声はマーシャ君だね。

 他のスタッフはどうしたの?」


『いったい誰がぶっ倒れるようなレベルのお仕事を押し付けたのぜ?

 みんな死んだようにお昼寝中なのぜ」


 ごめんね、とは思いつつその様子を想像して笑ってしまう。


「さて、目的地が見えたよ。

 用意はいい?」


『HALMIT制御用自動詠唱機の全システム、ウィンガーと同期済みぜ!

 起動詠唱(アクセスコード)を唱えるぜ、そうすればブレイガーOが発進!するのぜ!』


「了解!前のままだね!?」


『無論なのぜ!!』


 山を抜け、HALMIT正面口といわれる場所へたどり着く。


 煉瓦造りの綺麗な入り口の建物と、大きな噴水を見て、パンツィアは唱える。







「ブレェーイクッ、ゴォーッ!!!」






 起動詠唱(アクセスコード)の言葉と共に噴水の底が開く。

 ぽっかり空いた穴の奥から、ダンジョンの仕掛けによりせり上がった床に乗り、ブレイガーO本体が地上へ上がっていく。





「ウィンガー、」




 回り込んだジェットウィンガーは、位置を調整しながらその東部へと合体部を向けて降下していく。



「オォンッ!!」



 ウィンガーオンの起動詠唱(アクセスコード)と共に合体を終え、ブレイガーOは起動しその瞳を光らせる。


 グォォォ、と両腕を上げ、その動力が隅々まで行き渡ったかのように振る舞う黄色い巨人。


 その内部で、ブレイガーO操縦用に操縦桿を変形させたパンツィアは、両腕の試験と言わんばかりに操縦桿を押す。


 ガシィンッ!!


 右手を握り、左掌に突き合わせるブレイガーO。

 起動が完了したブレイガーは走り出し、パンツィアはもう一つの物を起動させる詠唱を唱える。



「スクランブルウィンガー!!」




 ジェットウィンガーの発進したパンツィアの研究施設兼格納庫。


 そこから、巨大な翼が姿をあらわす。


 三日月と言うべき形の翼が、3つ並ぶエンジンの内ジェットエンジン2基をうならせ滑走し、自動操縦魔法で空へと舞い上がる。



 大地を走り抜けるブレイガーO、

 その頭上へ巨大な翼、スクランブルウィンガーが舞い降りた瞬間、背面のロケットブースターを起動させ跳躍する。



「スクランブルッ、クロォスッ!!」



 完璧なタイミングでスクランブルウィンガーから伸びた保持マニピュレーターがブレイガーOを掴み、合体。


 シュボッ!

 ━━━キィィィィィッ!!!


 ジェットエンジンに挟まれたロケットエンジンが起動し、爆発のような大推力を生み出して吐き出す。

 ブレイガーOは、亜音速で空気を斬り裂きながら目的地へ向かっていく。



       ***


 ギドラキュラスの朝食後の運動がてら放った怪光線は、一瞬で髑髏大地を焦土と変えた。


 周りの邪巨神達も歓喜の声を上げる中、忘れ去られたイクスマキナの残骸の中、





「━━━━━日頃の、」


 ごとり、とサビの塊をかき分け、白い腕が伸びる。


「行いが良かったと言うべきか、

 ちゃんと忠告を聞いておいたからと言うべきか……!」


 がしり、と錆びたオリハルコン製の残骸を頼りに、立ち上がる。


「助かったわ〜〜……痛ッ!?!

 ぐわぁ…………死ぬほど全身が痛いけど……死んでいないなら、最高、って事ね……!」


 デウシアは、お世辞にも良いとは言えない顔色で、それでもなんとか立ち上がる。


「クソッ……あの化け物ぉ……!!」


 デウシアは、まだ天上へ向かい歓喜の雄叫びを上げるギドラキュラスを睨む。


「そりゃあ良い気分でしょうよ!!

 女神(ひと)の魔力やら何やら勝手に吸いやがって……!!!」


 それも腹がたつが、まずはと別の空を見る。


 ドレッドノートは健在、大空戦艦は下部への攻撃能力をほぼ失うもののまだ動ける。


 何もしないのは、まぁいい判断ではある。


 相手の能力は未知数なのだ。

 魔王本人も飛び出さないあたりまだいい判断である。

 基本的に邪巨神は質量が大きすぎるし、いくら魔王クラスの魔力で極大魔法を放ってもようやく腕一本の頑丈さ。

 そのくせ反応速度もこちらの大きさと同じぐらい早い。


 なんて言うのは、共通認識だ。


(んなことはどうでもいいのよ!)


 だいぶ疲れた体を押して、大きく跳躍するデウシア。




「やられっぱなしっていうのも、



 腹たつのよこのやろぉぉッッ!!!」





 ズン、とギドラキュラスの顔に一発拳を叩き込む。


 一瞬、よろけた巨体だが、すぐさまこちらに赤色の光を輝かせた口を向ける。





「━━━あんたもそういう口でしょ?」




 ズガン、とその口を閉じさせるよう、黒い拳が叩き込まれる。


 吹っ飛ばされた体をイワサイガミが受け止めた時、拳の主をギドラキュラスは見る。



 くっちゃくっちゃくっちゃ、


 どこからか調達した地竜の肉を食い、下品なくらい大きな音でゲップをする白い髑髏の顔。


 そこに入ったヒビから流れる血を気にもとめず、なおも食いながらギドラキュラスを見る。




「……不味い命だからと吸い切らなかったのは、間違いか」


 キュルル、と睨みつけて鳴くギドラキュラス。


「飯食って次の殴り合いだぁ??

 そういうのはよぉ……


 俺様の得意な事なんだよねぇ!!」


 ごっそさん、と聞こえそうな勢いで合掌するように掌を合わせ、大きく吠えるスカルキング。


「あんた、生命力凄いわね?

 量も回復量も規格外なんじゃない??」


 シュタッ、とそのスカルキングの肩に乗っかったデウシアが言う。


「なんだチビ?あの金属人間の中身か??

 てかなんで俺お前の言葉わかんの?」


「私女神様だから」


「そっか!よろしくメガミサマ!!メガミサマってなんだ??


 邪魔だ、どいてろや。

 コイツは、お・れ・の!獲物だ!!」


 ゴキゴキ、と拳を鳴らし、邪巨神達も取り囲むギドラキュラス相手になおも強気に一歩踏み出すスカルキング。


「あんたも強情ね!!

 でももし親切心で言っているなら意味はないわよ!!」


「あんだぁ!?文句でもあんのかチビ!?」


「やる気??」


 と、勝手に喧嘩を始めようとした両者すれすれに、ピシャァァァ、と赤い稲妻が走る。


「……なるほど、コレが、


 『寂しくなる』という事か……!」


 気がつけば、独特の声でなくギドラキュラスと共に、残りの邪巨神4体がこちらを見ている。


「…………おいチビ、お前何できる?」


「しょーじき、結構消耗してるし、魔法で遠距離から援護がもう精一杯?」


「上等。俺もちょっと怠いからよ、遠慮なく頼るわ」


 ぐ、と構えるスカルキング。


 一触即発の空気が漂い、そして唐突にその時が訪れる。




魔式極大雷魔法(ボルトパライザ)━━━━━━ッ!!!」





 が、激突の瞬間、両者を割るように天井から無数の雷が降り注ぐ。


「この技は……!!」


「もちろん、魔王の余♪」


 すいー、とやってくる赤い影。

 雷竜魔王ことネリスは、いつも通りのドヤ顔を見せて言う。


「長生きもするものね、まさか魔王と共闘するだなんて!」


「いや?

 余が共闘している女神は、『そっち』」


 へ、と振り向くと、すぐ後ろには満面の笑みのフェイリアがいた。


 ズン、と細腕と思えない力で腹を殴られて、何か言う前に気絶するデウシアだった。


「ありがとう魔王様♪

 デウシアって、昔から腹に穴が開いても戦おうとするから大変なの」


「なるほどな。ところで、女神デウシアの内臓の何割か潰れてはおらぬか、それ?」


「おほほ!私みたいな戦闘の苦手な女神の力なんて気絶させるのが精一杯よ♪」


 見事に白目を剥いたデウシアを片手で抱えて、フェイリアはそのまま転移魔法で離脱した。


「うむ!

 ところで、この大地の王よ!

 貴殿も休め!!後は任せようぞ!!」


「なんだよ、いきなり出てきて普通に言葉が通じてよぉ〜!!

 つーか俺は逃げねーぞ!!!

 まだ戦える!!」


「ならば、次の出番まで温存しておくがいい!!


 あの空を見よ!!」


 グァ、と空を見上げるスカルキング。


 釣られて、邪巨神達も空を見る。






 ボフンッ!!


 雲を割って何かがやってくる。





「スクランブルアタァーックッ!!!」




 雲を纏っていた中身から、さらに雲を突き破って何かが飛び出す。


 瞬間、音速を超えて飛翔してきた『翼』は、



 ズガァァァァァン!!

 ━━━キュルルァアァァァァッ!?!



 ギドラキュラスへ直撃し、3つほど山を吹き飛ばしながら共に遠くへと飛んで行った。




 呆気にとられた顔の邪巨神達の背後、


 ズゥン、と着地の衝撃で土ぼこりが舞う。


 煙が晴れた先、三点着地……いやあえてこう表現しよう。





 ━━━スーパーヒーロー着地、をしたブレイガーOが、


 緑に光る目を邪巨神達に向けていた。







「ありゃ一体なんだ!?

 さっきのやつと似てる……!?」


「来たか!





 いや、


 きたぞ!我らのブレイガーO!!」











 パンツィアの視界に映されるレーダーロックオン表示。



爆発魔法推進拳(ラケーテンファウスト)ォッ!!」



 両拳を構えて叫ぶ詠唱により、腕のロケットエンジンが作動し拳が飛ぶ。


 ズゴォン!!

 ━━━ギャアアアッ!?!


 メタデューサとギロニアヘッドを超合金の拳が亜音速でぶつけられ、大きく吹っ飛ばされる。


「まずは挨拶がわりだ!!

 っ!」


 グォォォッ!!!


 しかし、腕が戻るより早く、100m級の巨体を持つイワサイガミが迫る。


「なんの!!

 サマーソルトキィーックッ!!」


 しかし、1/4の体躯しかないブレイガーは、全身のロケットエンジンを巧みに使い宙返りのようなキックを浴びせ、巨体の顎を捉える。


 ズゥン、と地面が一回転したかのような衝撃が周りに走り、イワサイガミが倒れる。


 しかし、その合間を縫ってプリズマエルの強力な光線の発射形態がブレイガーOへ向く。


「なんの!!

 ブレイガーOが攻撃能力だけじゃ無いってことを見せてやる!!」


 戻ってきた左腕の掌をかざし、魔法の起動詠唱を叫ぶ。


反射魔法障壁展開(リフレクトシェ)ェェェッドッ!!」


 左腕を中心に、一つの大きな魔法陣と4つの点滅を順番に繰り返す魔法陣で構成された防御障壁。

 光線が当たった瞬間、その手前で五芒星を思わせるように光線が曲がり、元の場所へ光線が跳ね返される。


 ビシャァンッ!!


 あらゆるエネルギーを吸収するとはいえ、自分が撃った攻撃をそのまま返されては答えたのか、空中で痺れたかのように雪の結晶に似た体を震わせる。




 僅か一瞬で、ブレイガーOは邪巨神達を追い詰めていた。




       ***


「やったぜぇ!!!

 ブレイガーO全然強いじゃねーか!!」



『おぉぉぉ……!!』



 ブレイガーOの活躍を見たドレッドノートの面々は、今までの状況を覆すその様子を見て歓喜の声を上げる。


 ふと、ジリリリリ、と壁に設置された通信機が鳴った。


「こちらドレッドノート、カーペルトだ!」


『こちらブレイガーOのパンツィアです!

 みなさん無事ですか!?』


 通信の主がパンツィアと分かり、カーペルトは通信機を格納庫内スピーカーへ繋ぐボタンを押す。


「パンツィア!!良くやったぞ!!

 あれほど強かった邪巨神達がこうもあっさりと、皆喜んでおる!!」


『あー…………


 いや、ごめんなさい。

 喜んでもらっているところ申し訳ないんですが……』


 と、等の本人は何やら妙な様子でそう言いずらそうな言葉を吐く。


「どうした?一体なにが?」


『……多分、武装選択間違いました。


 ━━━全くダメージ入ってないですよ相手……!』



 なにぃ、と皆外を見る。


       ***


 グォォォッ!!!



 再び襲い来るイワサイガミの巨体。


「うわぁぁぁぁぁ!?!」


 上半身ぐらいは一口とも思える巨大な噛みつきを、上下の顎を腕で抑えて耐える。


「コイツ……!!

 デカイくせして、意外と早いしパワーも……!!」


 ギギギギ、とスーパーオリハルコン製の腕が軋みそうな音を上げる。

 ビービー、と腕部のエンジンの異常加熱警報まで出てくる。


 ━━━ブモォォォォォォン!!


「しまっ、キャァァァァァァァッ!?」


 横から来る一閃、ギロニアヘッドの刀のような頭の一撃で大きく吹き飛ばされる。


 ぐるぐる回転するコックピット内のパンツィアは一瞬下半身が消えたのではと思ったが、ズシンと大地を踏みしめる衝撃で超合金の硬さに感謝した。


「ぐ……って!?」


 しかし、回復した視界に映ったのは、


 さっき見たことがある大量の『眼』。




「ガンクロン!?」



 眼の付いた生体ミサイルは全てがブレイガーに着弾。

 一瞬見えたガンクロンは、着弾の衝撃と閃光にかき消され消える。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?!」




       ***


「なんと言うことじゃぁぁッ!?」


 当然その様子はドレッドノートからも見えていた。


「パンツィアーっ!!

 生きておるか!?生きておるよな!?!

 ワシの孫にお前の死を知らせるなど嫌ぞ、返事をせい!!」


『━━━━━、流石は超合金だ……!!

 この程度じゃブレイガーOの塗装も剥がれない……!!』


 咳き込む声とともに、通信機からパンツィアの声が響く。


 おぉ、とその場の全員が安堵の声を漏らした。






 この時、パンツィアは衝撃のせいか口から血を流していた。

 口ではなくもっと奥の方、な気もするが、まぁまだ無視できる傷だと何も言わない。


「みなさん、ちょっとお願いがあります!」





「なんでもいい、元より皆はお前の知恵袋よ!!

 何だってやろう!!まずは話せ!!」


 冷や汗交じりにカーペルトは大見得を切る。


『話が早くて助かります、そこにジョナスさんはいますか!?』


「何かな、パンツィア君!」


『HALMIT共同ネットワークに、出来るだけ早くこの邪巨神の詳細データを!


 コイツらは、適切な武器を当てなければおそらく勝てない……!』


「何ぃーッ!?

 こ、この場の邪巨神達の、『詳細なデータを』って、今言ったのかいィーッ!?」


 ジョナスの驚きの通り、それは相当無茶な申し出だった。

 何せそもそもこれらの個体、進撃した期間が長いとはいえ、まだ分からない事も多い。


『お願いします!!

 せめて、ブレイガーOのどの武装が有効かを特定したい!!』


「くぅ……プリズマエルやザンダラ以外の対策は万全ではないしなぁ……!!」


 ジョナスは本気で困った顔を見せて言う。


『無理ですか!?』


「━━━━体表の硬度の目測だけなら行ける」


 しかし、ジョナスはそう言葉を続け、手持ちのタブレットを起動させる。


「目測、要するに光学情報は馬鹿にはできない。こと、体表の硬度だけでいえば、ここからの光学情報を精査するだけなら、5分でできるよ」


『1分で!!後で恨んでもいいですし間違ってても恨みません!!』


「よぉし。

 みんな手伝ってくれ!!テトラ君は鉱物の知識もあるだろう!?硬度当て競争しようじゃないか!!」


「合点承知の助だぜぇ!!んなぁ!!」


「前国王、ブレイガーOの武装を教えてもらいたい!!」


「よし来た!!年寄りに任せろ!!」


「俺たちはどうする!?」


 いよいよ慌ただしくなるドレッドノート内。

 残り時間は少ない。


       ***


「1分、耐えられるか……!?」


 ブレイガーOが跳んだ過去位置に、光線が木々を薙ぎ払って放たれる。


 プリズマエルはその厄介さを身をもって知っている以上、先に倒さねば、


 と近づこうものなら、飛んできた十字型の鱗が邪魔をする。


「ギロニアヘッド!!」


 既に大空戦艦からきた情報で名前は決まっている刀剣頭の怪物の一閃。


 思わず、白刃どり。


 しかし、そこからなかなかのパワーでブレイガーOへ刃をジリジリと攻めてくる。


「こいつ……本当に強い……!!

 このサイズでパワーはイワサイガミ以上、スピードも厄介だ!!」


 先にブレイガーOが動く、刃を逸らして膝蹴りを叩き込む。


 ブゥ……ブモォォォォォォン!!


 一瞬、怯むが、すぐにその煌めく頭の刃を刺突してくる。


「うぉっとぉっ!!」


 後ろにあった丘が、刺突の衝撃で爆ぜる。

 吹き飛ぶ土砂に巻き込まれたブレイガーOに、突如プリズマエルのものではない怪光線がやってくる。


「なっ……!?」


 それが当たった瞬間、


「なんでぇっ!?!」


 左半身を覆った土砂が、石化してブレイガーOを固めたのだ。


「まさか!?」


 ギョロリ、と覗く『眼』。

 ガンクロンにも似たそれは、蛇と竜種を足して割ったような頭部の口を開いたメタデューサの、その中からのぞいていた。


「どこまでもゴルゴーンみたいな邪巨神だなぁ!?」


 言いつつも、流石にブレイガーOが岩を砕くパワーがあったとしても、そう簡単には抜け出せない。



 その隙に、ガンクロンとプリズマエルの一斉発射がやってくる。


「この、調子に乗んなぁっ!!」


 動ける右腕を超高熱火球砲(プラズマキャノン)に変形させ、自分を固める岩に撃つ。


 威力が上がり、連射できるようになった超高熱火球砲(プラズマキャノン)三発で動けるまでになり、着弾スレスレで脱出、爆風で吹き飛ぶブレイガーO。


「うわぁぁぁぁぁっとぉッ!!」


 地面を3回転半し、地に足をつけて地面を食いしばりながらようやく止まる。


「くっ……あぁッ!?」


 その瞬間、ブレイガーOに身体がガクンとした衝撃と共に宙に浮く。


 目の前には、最大級の邪巨神イワサイガミの顔。


 ブレイガーOの4倍の全長、100mの巨体から生える巨大な片腕で掴まれたブレイガーOは、グルングルンと中身をシェイクするように回される。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」


 そして、唐突に斜め下へ豪速球で叩きつけられる。


「ぐあっ!?」


 流石に視界が暗転し、少し血を吐く。


「やったな……へ?」


 だが、その直後突然暗くなった周りの景色に疑問を抱き、上を見て絶句する。


 そこには、跳躍したイワサイガミの背中が、空中から迫る様子が見えた。



「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?!」



 髑髏大地に、絶望的なほどに巨大な地響きがなり渡った。

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