プロローグ 始まりはいつも突然で
この物語の世界には、解き明かされていない不思議が沢山ある。それは、魔力の成り立ちである。それらは未だ知ら不るもの……未知とよばれ、人々の好奇心を書き立ててきたのである。
―――和国小学校四年三組、副学級長。その名は君賀洋。十歳にして未知の開拓者としての使命に目覚めた少年である。あらゆる事象に疑問を持ち、即座に行動する小さき冒険者である。その活動は、時に周囲を驚かし、時に周囲を楽しませ、時に周囲を困惑させる。良くも悪くもトラブルメーカーな彼は、今、新たな活動に踏み出そうとしていた。
「俺、新しいクラブを作りたいんだよね」
「作る?クラブを?」
小さき挑戦者に相対するは、学級担任の日丸司。初任として着任してから三年、いよいよ仕事の勝手も分かってきたところの彼女は、洋の言葉に軽く頭を捻った。
和国小学校には、四年生からクラブに入らなければならないという規定がある。運動系は、野球、サッカー、バスケットボール等合わせて十種類。文化系は工作、新聞、文芸等こちらも合わせて十種類存在している。そして、魔術に関するクラブが「生活」・「研究」・「実践」と三つ存在している。大抵の児童は一週間の体験を経て、この内のどれかを選んで入部することになる。
しかし、何事にも例外はあるもので、四名以上の部員と顧問の教師がいれば、新たなクラブの新設が可能なのである。ただ、このシステムは40年前に園芸部が新設されて以来、使われていない。司がこれを把握していないのは無理もないことである。
幸い、洋は説明する能力が小学生にしては高い。事前に他の先生から聞いていたクラブ新設に必要な事項を、彼は身振り手振りも交えながら熱心に司に語った。
「なるほど、クラブの新設なんてシステムがあるとは知らなかった。よく自分で調べたね」
「調べるのは得意だから!」
洋は、自信に溢れた笑顔を司に向ける。彼は、何事も満足がいくまで調べ尽くさないと気がすまない性格だ。情報を整理する能力も高く、自分の意見を論理で固める手腕に関して彼を越える児童は、数えるほどしかいない。
さて、そんな彼が新たに設立したいというクラブは一体どんなものなのか。その異常なまでの探求心からとんでもない活動を画策していてもおかしくない。深呼吸を一つして、司は洋に核心となる問いを投げ掛ける。
「それで、洋はどんなクラブを作りたいんだ?」
「挑戦クラブ!」
欠片の淀みもなく、洋は目を輝かせて答える。一方の司は再び頭を捻ることとなった。挑戦?いったい何に?いくら考えても具体的な活動内容が見えてこない。
洋は、司の様子を察したようで、さらに言葉を付け加えた。
「あー、えっと。色んなことができるクラブにしたいんだ。こう、野球とか、演劇とか、そういう風に決めつけないで、色々なことに興味がある奴らを集めて片っ端から挑戦していく……そんな感じのクラブに入りたいんだよ。……わかるかな?」
司はようやく合点がいった。つまり、洋はいつものトラブルメークをクラブ活動という拠点を作って行おうとしているのだ。彼はこれまで、「魔術開発」「いじめ撲滅運動」「学校の立ち入り禁止区域潜入作戦」「全校一斉レクリエーション」など、ジャンルを問わず様々な活動に尽力してきた。彼なりに一貫した目的があってこれらの活動を行っていたようだが、その真意は今だ明らかになっていない。洋自身は別に隠しているわけではないが、この件に関して自分の考えを的確に説明するだけの語彙を持っていないため、誰もその真意を掴むことができないでいる。今のところ、教師陣はこれらを「君賀イベント」と名付け、あるものは学校の風物詩として楽しみ、あるものは問題行動として警戒を露にしている。
(これを設立すれば、厄介事の進行が目の届くところで行われることになるのか)
洋に対しては、規模の大きな活動をするときは必ず先生に相談しろと何度も指導をしている。しかし、彼は自分の行いの規模を理解していない。友達と公園で遊ぶことと、学校全体を参加させる大レクリエーションを同じレベルに考えている。公園で友達と鬼ごっこをすることを一々先生に報告しないように、運動場で突発的大レクリエーションを行うときも先生に確認を取らないのだ。
洋は基本的に素直な少年であり、先生の言うことを良く聞く子だ。だが、前述の通り思考パターンが常人のそれと大きく異なっているようで、言うことを「正しく」聞かせるのは至難の技である。
そんな彼の行動を、クラブという体裁をとって監督できることは大きなメリットであると司は考えた。だからこそ、「内容の是非」よりも「筋を通す」ことに重点を置く問答をすることに決めた。
「なるほど、挑戦クラブ。お前に合った、面白そうなクラブじゃないか。……だが、お前の言うとおりなら、顧問の先生と洋以外の三人の児童が必要だ」
「部員の方は心当たりがある。10人ぐらいあたりをつけてるんだ。ただ、な」
ここで、洋はぐっと唇を引き結んで、深刻そうに顔を歪めた。直前の言葉から察するに、顧問の先生が見つからないのだろう。
現在、全ての教師が何かしらのクラブの顧問を担っている……というのも、全てのクラブに二人以上の顧問が入るように割り振られているため、余りは発生しないようになっているのである。
(まあ、私が担当している陸上部は、他に二人の先生がいるから、請け負ってやってもいいんだが)
司は、助言をせずに洋の言葉を待つ。洋はむむむ、と声を漏らしながら司をじっと見ている。たっぷり30秒の間を開けて、洋は言葉を絞り出した。
「日丸先生、陸上部って確か3人先生がいるよね?」
「いるな」
「3人って、絶対必要なの?」
「3人で仕事を分けてるから、仕事がないってことはないぞ」
むう、と洋は再び口元に人差し指を当てて悩むそぶりを見せる。司は、ここで少し助言をしてやることに決めた。十分に自分で考えて、それでも答えがでないならば、その時こそ教師の出番なのだ。
「……どの先生もどこかのクラブに入ってるんだ。要らない先生なんて居やしない。ここは、やってくれそうな先生に一か八か頼んでみるしかないんじゃないか?」
「おお、それもそうだ!悩んでも仕方がないことだった!」
仕方がない、ということはない。今悩んだ時間は、確かに彼の経験値になったに違いない。司は、洋の成長に期待しつつ、彼による次の言葉を待つ。
がたりと机を鳴らし、勢い良く立ち上がった洋は興奮した様子で言った。
「じゃ、鷲島先生に頼んでくる!」
「え?」
言うが早いか、洋は保健室へと駆け出していった。「廊下を走るな」と注意する間もなく、彼は廊下の彼方へと消えていった。
しばらく呆然としていた司は、椅子に寄りかかり、天井を見上げながらふうと一つため息をついた。
養護教諭の鷲島鷹志は、保健室で入室状況を記した資料の整理を行っていた。放課後とあっては、入室者もそうそうおらず、実にのどかな雰囲気である。そこに三回、コンコンコンとノックがされる。
「どうぞ」といえば、元気な「失礼します」の声とともに、ダン!と勢いよく保健室の扉が開かれた。なるほど、嵐の前の静けさ、というやつだったらしい。鷹志は、台風のごとき児童の到来に、こちらもまた楽しそうな笑顔で迎えて見せた。
「おや、君賀氏。どうしました」
「鷲島先生!俺のクラブの顧問やってください!お願いします!」
鷹志は一瞬考える。クラブ新設に当たって、相談を受けていたのは何を隠そうこの男であった。なるほど、顧問の当てとして頼られるのは道理である。しかし、担任の司を差し置いて話が来るのは少々違和感がある。
優秀な養護教諭は、安易に頷かず、まずは状況を詳しく確認することに決めた。
「ふむ……?君賀氏が私を頼ってくれたとあっては、二つ返事で了承するのも吝かではありません。……が、担任の先生はどうしたのです。日丸先生に頼んだ方が、色々と都合がいいのではないですか?活動の話し合いとか、一々職員室や保健室に顔を出さなくても良くなります」
「日丸先生は陸上部の仕事が忙しくて無理だって!」
洋は一つ勘違いをしていた。司は自身のクラブの担当について、皆が役割を持っていることを単純な事実として述べたが、彼はその言葉を「その中でも司(または陸上部の顧問)は忙しい」と解釈してしまった。こればかりは、司の伝え方が悪かったと言わざるを得ない。
鷹志は、30代の養護教諭であるが、その実数々の心理学系研究で名を残す『エリート・保健室の先生』だ。養護教諭たるもの、児童のみならず教員の心身も気にかけるべしと、司を始めとする校内の教諭陣の内情もよく把握している。彼は、洋の言葉を受けて直ぐに事の起こりを推察、取るべき行動を組み上げた。
「ふむ?司先生も気遣い家なことですな。陸上部の仕事なら、ちょっと頑張れば2人でも回すことができるでしょう。あなただって、相談がしやすい担任の先生に顧問になってもらえたほうが、何かと都合がいいでしょう」
「うーん。じゃあ、どうすれば顧問やってもらえるかな?」
保健室で二人、揃って「うーん」と考え込む。洋は真剣だが、鷹志の方はフリである。洋の様子に気を配りつつ、良い案が出てこなさそうならば、「いいことを思いついた」風を装って、彼に助け舟を出すのである。
「……あぁ、そうだ!まずは、クラブのメンバーから先に集めて、やる気を見せるのはいかがです?みんなで揃って頼み込めば、司先生も了承してくれるかもしれません」
「なるほど!流石は鷲島先生だ!」
洋のやる気を維持しつつ、正しい方向に軌道修正。ついでに、司が頭を整理する時間も作る。多方面に気を配れなければできる学校の健康管理者・養護教諭は名乗れないというものだ。
洋はその名前の音を示すがごとく、意気揚々と駆け出した。それを笑顔で見送って、よいしょと鷹志は腰を上げる。
ことに顛末を、いち早く司に伝えなければならない。。
「……という顛末で、明日にでも日丸先生に再度依頼が来るでしょう」
「ああ、鷲島先生……有難う御座います。いつも助けられてばかりで……今度一杯奢らせてもらいます」
「はっはっは、気遣いは結構!これは、あなたへの餞別ですよ。君賀氏とその愉快な仲間たちが織り成す不思議な活動に、3年間振り回されることになるあなたへのね!」
もちろん、何かあれば手助けをしますが!と鷹志は楽しげに笑う。彼からの煽りとも激励ともとれる言葉に、司は苦笑した。
「まあ、愉快な仲間と言ってもいつもの仲良しメンバーでしょう。咲、明音、五郎衛門、雛と言ったところじゃないですかね」
「おっと、それは見通しが甘いですよ、司先生。君賀氏以外の、児童のほとんどは入るクラブを決めています。彼は、決して『自分が良ければそれでいい』と考えるような男ではありません。友人の挑戦……自分が選んだ道を阻害することはしないでしょう。すでにクラブを決めた者を誘うことはないと思われます」
鷹志の言葉に、司は少し思案する。洋と同じクラスで、クラブが決まっていないのは洋の他には二人だけだ。大体の四年生は、すでにクラブが決まっているはずである。
「もう、いないじゃないですか。クラブに入っていない児童なんて」
「いえ?少なくとも私は七人は心当たりがあります。家の都合でクラブなんてしていられない子やクラブに入る義務を性質上の都合から免除されている子などですね」
司は嫌な予感がした。クラブの加入が免除されている児童はそれ相応の理由があるのだ。例えば、自分のクラスの児童で言えば音無奏がそうである。代々著名な音楽家を出す家庭の子だが、感性が高すぎてあらゆる音が音楽に聞こえる特性を持っている。体験入部の時は、クラブ活動中の喧騒に耐えられなかった(授業はなぜか問題なく受けられるのだが)。彼女自身に悪意はないが、反射的に錯乱することが度々あったため、無理に活動に参加させることは却って危険と判断された。
こういったメンバーを集めてくるということならば、教師としても数多の支援策を講じなければならない。
「場合によっちゃ、色々と指導する必要があるかもなぁ」
「まあ、そこは、教師人生三年目になったあなたの手腕を見せてもらいましょう。では、失礼します」
鷹志が教室を出てからおよそ10分後、教室のドアが叩かれた。時刻は16:00。児童は基本的に総下校する時間である。
「日丸先生、クラブに入ってくれる奴ら、全員連れてきた!」
「もう、完全下校時間なんだが……」
司は呆れたように呟きつつ、本心では疑問符がこれでもかと浮き出ている。
(こんな時間まで残っているような奴で、まだ部活に入っていない児童?そんなの、3人以上もいるか?)
教室のドアが勢い良く開かれる。
「日丸先生、俺たちのクラブの顧問になってください!」
「お願いします!」
「……ん」
「どうも、日丸先生。お疲れ様です」
そこには、個性的では片付けられないメンバーが一堂に会していた。
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和国小学校には運動会が春季と秋季で二回ある。各学年7クラスという大所帯を赤・黄・青の三つのチームに分けて、自身の運動能力をぶつけ合うのである。
さて、今日は春季運動会。赤340点、黄220点、青240点。赤チームが圧倒的だった。
これは、チーム分けの制度が関係している。1組は赤、2組は黄といったように、クラスのくくりでチームを決めているのだ。すると、どうしても運動能力に偏りが生まれる。毎年、どこかのチームが圧倒的な点数をたたき出して終わってしまうのである。
「今年は赤組が優勝ですね」
「やはり運動能力の高い子を公平に分配するべきでは?」
「1200人を公平に?誰がやってくれるんです?」
実を言うと、教員たちはこの現状を良しとしてはいなかった。これでは、運動会を嫌う児童に対する十分な補助ができないためである。
「勝ち負けをなくすべきでは?」
「闘争心から生まれる成長もあるだろうよ。無くすことで解決することは多々あるが、それによって成長が失われては、学校行事の意味がなくなってしまう」
そんな教員たちのぼやきが聞こえる中、顔色悪く立っていたのは司である。隣では、楽しそうに笑う養護教諭の姿があった。
「絶対やるだろ、あいつら」
「おや?もしかして、君賀氏が……『でぃぷ・らーくな』がまた何か企んでいるのですかな?」
「今日の朝、突然提案されました。児童会どころか、職員会議も通していません」
「はっはっは!まあ、起こるとわかっているだけいいではありませんか。なに、彼が唐突にイベントを始めて困惑するのは一年生ぐらいでしょう」
新成クラブ『でぃぷ・らーくな』。和国小学校のトラブルメーカーによって結成されたそのクラブは、この1か月ちょっとの間に様々な活動を起こした。最初は、校内の清掃ボランティアに扮した宝探し作戦。つぎに、全校クラブ活動対抗運動会前レクリエーション。洋曰く、『でぃぷ・らーくな』をみんなに知ってもらうことが目的だったという。
そして、今回。運動会という一大行事にて、ついに大きな行動を起こそうというのだ。
「お、お待ちください!あの得点版の前に立つあの影は何だ!?」
突如響き渡る、焦りを伴ったアナウンス。皆が得点版に注目すると、そこそこの数の人影があった。逆光の中、目を凝らしてみれば、『でぃぷ・らーくな』の面々と、各チームの体力自慢六人の計十人が仁王立ちしているのが分かった。
真ん中を陣取る洋が、マイクを持って高らかにその存在を主張する。
「紹介しよう!赤チーム代表!『変幻自在の忍び』四年三組石田五郎衛門。そして、『怪力番長』六年六組の田島万斉だ!」
「に、ござる」
「はっはっは!運動会の帝王、ここに君臨だぞ!」
紹介された二人は、それぞれ静と動といった風の短いパフォーマンスを行った。五郎衛門は一瞬姿を消す「粉微塵の術」を、万斉は咆哮を挙げながら手にしたリンゴを握りつぶして見せた。
「青チーム代表は五年一組、『知的スポーツマン』吉沢リンナと、四年七組『子供ヤクザ』下部幸司だ!」
「いぇーい!君イベの仕掛け人側は初めて!よろしくぅ!」
「おいこら、てめぇ洋。なんだヤクザって。ウチんとこは信用命の組合だぞ。ネガキャンすんじゃねえ」
「そっか!失礼!幸司のショルダーネームは『異民勢のビッグボス』に変更します!」
「……いや、それもどうなんだ」
吉沢は注目を浴びる中、その場で宙返りをして決めポーズを繰り出す。困惑の中、ちらほらと拍手の音が聞こえ始めた。幸司は特に何もせず、不機嫌そうにその場に胡坐をかいた。
「黄色チーム代表!『鬼神の一太刀』2年2組、御剣刹那、『大言壮語の一般民』6年5組、島風轟雷!」
「……くだらない」
「犬も歩けば木から落ちるというが、俺が歩けば雷が落ちる。この俺がいずれ天地支配する颶風渦巻く轟雷だ!」
「格好いい名乗り上げですが、木から落ちるのは残念ながら猿だ!犬が歩いても棒に当たるのがせいぜいです!」
「あれ、そうだっけ……えっと、猿も歩けば木から落ちる……?犬も棒に当たる……??」
刹那は腕を組んでそっぽを向いている。辺りからは「刹那ちゃん可愛い」コールが聞こえ始める。そのせいで、轟雷の雄々しいアピールは特に誰も聞いていなかった。ある意味、恥の上塗りをせずに助かったとも解釈できる。
最後に、『でぃぷ・らーくな』のメンバーが紹介される。
「最後は、俺たち『でぃぷ・らーくな』の紹介だ!もう、お前らも覚えてくれたよなぁ!?『みんなの友達』大村咲!『万象知る神童』桜木菊!『小さな大魔王』東京!そして、この俺!君賀洋だ!」
「よ……よろしくおねがいしますっ!」
「どうも。私も参戦してしまいました」
「……?」
謎の歓声が沸き起こる。学校関係者一同、誰一人として現状を正しく把握できていないことだろう。ただ、この運動会という大舞台で、目玉ともいうべき実力者の六人と、普段行事に参加しない『神童』桜木菊と『魔王』東京の登場はそれだけで盛り上がるに足る集合であった。
一方で、思いのほか派手に動いた『でぃぷ・らーくな』に、司は頭を抱えた。
「……やることがでけぇよ」
「この分だと、放送委員には前々から話をつけていたようですな」
「その話を、先に、こっちにしろっつってんだよお」
歓声が自然と止んだところで、改めて洋が一歩前に出る。
「今日の俺たちは悪戯な風。春一番の後に吹く二番目の強風」
洋を除く9人が、一枚ずつ得点板をはがす。得点は3チームとも3桁だったので、ちょうど9枚のパネルがあった。
「我ら、『春二番隊』!お前たちの得点、俺たちが全部もらっていくぜ!」
『春二番隊』の面々が思い思いの方向に逃げ出していく。さすがは運動能力自慢たち。パネルを持ってもなかなか速い。会場にどよめきが広がる。
「さあ、返してほしければ!二〇分以内に我々を捕まえて見せるんだな!ちなみに、俺を捕まえればボーナスで9のパネルをプレゼントだ!最高で90億の点をゲットできるってわけだな!じゃあ諸君!よーい、スタートだ!」
「大変です!得点が全部取られてしまいました!ですが、これは逆転のチャンスかも!?春二番隊から得点板をぶんどって、自分たちの得点を作っちゃいましょう!」
和国小学校の運動会は、波乱に包まれた。ちなみに、放送担当の子の名前は「望渓新菜」さんである。なお、春一番隊の面々のうち、『でぃぷ・らーくな』以外の六人はしばらく出てこないので、望渓さん共々忘れてしまって構わない。
TIPs1 君賀洋
・ルールより好奇心が優先される。
・こう見えて勉強大好き。いろいろな言葉を使おうとする。難しい言葉は度々使い方を間違える。
・彼は問題児なのだろうか?