食堂
食堂の中はキレイなレストランという感じだった。
「ここの食事は美味しいのよ」
とカエデはなぜか小声で教えてくれた。
メニューを開くとお子様が好きそうな食べのものから大人でも一部マニアにしかうけそうにない激辛料理までなんでも揃っていた。
みんなはそれぞれメニューをタッチしている。
どうみてもこれは紙にしか見えないがシオンも同じ様にタッチしてみた。
1人の男の人が来たかと思うとメニューを下げていった。
「あらダーリン注文の仕方知ってたの?」
カエデがからかう様に言う。
「みんなのマネをしました」
シオンは恥ずかしくなってきた。
「こっちに来てから初めて外で飯食ったろ? 今までは自炊か?」
「えっと……そんな感じです」
シオンが学校に行ってる間にマリアが買ってきてくれていたのだとシオンは思った。
冷蔵庫には最低限の物が常に入っていた。
「まぁセンターの中だけだけどな。 この科学力はこっから出さない決まりなんだ」
「そうなんですか……」
シオンは腰のナイフをみる。
「シオン君、それは大丈夫だよ。 ナイフは合法だ!!」
太郎がシオンの視線を察して答えてくれた。
「ご飯食べたらスーパー行かない? あそこ知らないと不便だよ」
カエデが言うと花子も頷く。
「いいけど、ゲートが閉まるのは夕方6時だ。 間に合うか?」
ナオキは不安そうに言う。
「大丈夫、ゲートから近いし途中で切り上げてもいいし。 ダーリンに教えてあげるの!!」
カエデが立ち上がり興奮気味に言う。
「あのさ、私もダ……ダ……ダーリンって呼んでいい?」
シオンの横に来た花子が言う。
カエデの視線が花子に向かう。
まるで腹を空かせた肉食獣が怪我をした子供の草食動物を狙うかの様な睨みであった。
「いや、花子さんには名前で呼んでもらいたいな」
シオンは自分に向けられていない視線に怯えながら答える。
「できればカエデさんにも名前で呼んでもらいたいんですけどね」
シオンは頑張って笑顔を作る。
花子は頷き席に戻る。
カエデは静かに座ると顔が下がる。
「大丈夫ですか?」
シオンが声をかけるとカエデは顔を上げた。
てっきり泣いているものだと思った。
しかしカエデの顔は幸せそうな顔をしていた。
「シオン。 シオン。 シオン」
ニヤニヤしながら呟く。
ナオキと太郎は少し引いていた。
少しすると料理が運ばれ始めた。
シオンはオムハンバーグドリアカレーを頼んだ。
お子様が喜びそうなメニューをただ全部混ぜただけのメニューだがなぜか惹かれて頼んでしまった。
少し子供すぎたか……シオンが他の人のメニューを見ると全く同じものが花子の元へ運ばれてきた。
「これが美味しくて……」
花子は照れながら言うとシオンが同じものを選んでるのをみて少し嬉しそうだった。
太郎は鶏肉……ローストチキン。
ナオキはステーキとサラダ。
カエデは意外にもサンドウィッチ。
ノアは野菜スティックのみ。
「意外と普通の物を食べるんですね」
「当たり前だろ。 この国に長くいても特に食生活は変わらないぞ」
太郎が答える。
「えっと……前から1匹食べてるんですか?」
「あぁ、当たり前だろ」
シオンは返事に困ったので笑顔を返して食べ始めた。
動いたのでかなりお腹が空いていた。
あっと言う間に平らげまだ少し足りないとシオンは感じていた。
すると隣に座っていたノアが野菜スティックを差し出した。
「いいんですか?」
ノアは頷くとセロリの方をシオンに向けた。
シオンはセロリを取ると食べた。
ノアはさらに勧めてきた。
シオンはまたセロリを食べる。
残りのセロリは一本。
ノアはシオンに勧める。
「ノアさんセロリ嫌いなんですか?」
するとノアは横に首を振りニンジンをシオンに向けた。
シオンはクスリと笑うと手を伸ばしてセロリを取って食べた。
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