案内
シオンは目を覚ました。
朝日が昇り始めているのでまだみんな寝ているはずだ。
シオンは1人キッチンに行くと冷蔵庫を開け水を飲む。
1人キッチンにもたれるとしばらくぼーっとしていた。
物音がしたのでシオンがリビングに行くと太郎が起きてきた。
「おはよう」
太郎は腕立てを始める。
「おはよう……」
シオンは少し戸惑う。
「一緒にどうだい?」
太郎は腕立てをやめない。
「遠慮しときます……」
「そうか、じゃあ朝の日課をやらせてもらうよ」
そういうと次から次へと筋肉を鍛え始めた。
そこまで鍛えてどうするんだろうとシオンは思っていたが何も言えなかった。
シオンは気を取り直し外に出て学園を見る。
最近は何事も起こっていないので平和を感じると共に少し寂しさも感じた。
「争い事は嫌いなんだけどな……」
シオンが呟くと返事が返ってきた。
「この世界は常に争いしかないわよ?」
「マリアさん!? お、おはようございます」
シオンはお辞儀する。
「あら、気にしないで。 それよりも随分楽しそうな夜だったわね」
「あ、うるさくしてすいません。 実はみんなで体育祭の打ち上げをしまして」
「へぇ? 楽しそうね。 まぁ今の内に楽しんでおいてね」
「はい。 でも近所の人うるさくないですかね?」
「アレ? 言ってなかった? このマンション私達しか住んでないのよ?」
「え!?」
「だってこれ私のマンションだもん」
「……そうだったんですか」
「えぇ、女子寮にして可愛い子限定で、住ませる予定だったのよ」
「そ、そうだったんですね……でもなぜ僕は住ましてもらえるのですか?」
「それは学園長が私の側に置いておいてくれって言うからよ」
マリアは口を尖らせる。
「マリアさんなら断りそうですが……」
「まぁ最初は断ったわよ。 でもね、迷える子羊を放っておけるほど私は冷酷ではないのよ」
「はぁ……」
「ところでシオン君、ノアちゃんの寝顔は?」
手を差し出して聞いてくる。
「えっ?」
「シオン君……ノアちゃんの寝顔の写真撮ってないの? なんで?」
「いや、むしろなんで写真撮るんですか?」
「それは可愛いからよ!!」
「あ……はい……そうですね……」
シオンは戻ろうとする。
「待ちなさい」
シオンは肩を掴まれる。
「次はお願いね」
口元はニコニコしているが目が完全に笑ってない。
「頑張ります。 さようなら」
シオンはそれだけ言うと慌てて部屋に戻る。
背後で舌打ちが聞こえた。
シオンがリビングに行くとみんな起きていた。
「おはようシオン」
ナオキが挨拶してきたのでシオンも返す。
「おはようございます」
ノアは外を見ていた。
「何見てるんですか?」
シオンが近寄るとベランダを指差した。
そこでは太郎がスクワットをしながら鳥と会話していた。
シオンは見なかった事にした。
「なぁ今日はどうする?」
カエデと花子が朝食を仲良く? 作っているので3人はコーヒーを飲んで待っていた。
「やっぱ遊園地とかか?」
「遊園地もあるんですか?」
「あぁ、あるさ。 まぁ普通の機械が動く遊園地だからつまらないけれどね」
ナオキが言うとシオンは目を輝かせる。
「遊園地はずっと憧れていたんです。 でも両親にダメだと言われまして……1回も行ったこと無いんですよ」
「そうか……ノアちゃんはあるか?」
「私も無い……」
「じゃあ遊園地に行くかい?」
そこに朝食を持って2人が現れる。
「さぁ朝食ですよ」
ニコニコしているが2人は肘をぶつけ合っている。
太郎も部屋に入ってきた。
なぜか爽やかな香りがする。
「あぁ、これかい? これは能力ではないけれど朝トレーニングすると爽やかな気持ちになるだろ? それでこの様な匂いになって鳥とかが来るんだ。 すまないね」
「いや、気にならないよ」
ナオキが言うと太郎は嬉しそうだった。
みんなでパンにウインナー、卵焼きを食べた。
「さぁ遊園地に行くかい?」
ナオキが言うと太郎と花子とカエデは嫌そうな顔をした。
「え? 遊園地? 子供でも今時行かないわよ。 そもそもあそこ廃墟になっていなかったってけ?」
「僕も演習場だと聞いたことあるけれど……」
「私は不良と幽霊がいるって聞いたことあるけれど……」
普通には楽しめないんだろうなとシオンは思った。
「それよりもシオン君に街のこと教えてあげようよ」
「それが良いわね。 本屋さんめぐりとか?」
「いや、シオンにはジムを紹介しよう」
3人は色んな意見を出してくれる。
「じゃあ今日はこの世界を教えるって事でいいかな? 確かにシオンはまだ狭い世界しか観ていないしな」
ナオキがまとめる。
シオンが頷くとみんなも賛成する。
こうしてシオンにこの世界を案内する事になり部屋を出た。
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