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シオサイ戦記  作者: 松田 飛呂
花子の話
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花子の話

花子は家に帰ることをためらった。


家には誰もいない。


教室で1人椅子に座りぼんやりと外を眺めている。


みんなは元の世界で仲良く暮らしているはず。


お母さんに会いたい。


私の友達の話を聞かせたい。


花子が元の世界にいたのは小学生までだった。


その頃は友達がいなかった。


能力のせいだと思っていた。


こちらの世界に初めて来た時クラスメイトは30人くらいいた。


しかし誰とも仲良くなれなかった。


ある日委員長に任命された。


みんなやりたくないから押し付けられた形だった。


でも嬉しかった。


しばらくしたらみんな学校を辞めた。


花子を1人残しみんなは黒王の元に行った事がわかった。


花子は独りぼっちになった。


次の日に太郎が入ってきた。


彼はとても優しく仲良くしてくれた。


しばらく2人だったがシオンが来た。


彼は能力を使いこなせない。


それなのにこの前は守ってくれた。


そんな彼を本気で好きになった。


「私の初恋の話お母さんは知りたいのかな?」


独りぼっち涙が流れる。


その時教室の扉が開く。


「あれ? 花子さんまだ帰ってなかったの? えっ? 涙……大丈夫? どうしたの?」


彼が慌てて近付いてくる。


「大丈夫、欠伸しただけだから。 それよりシオン君はどうしたの?」


「忘れ物をしちゃって……」


見え見えの嘘だ、さっき掃除しながらシオンの机を運んだが中身は空っぽだった。


「そう……」


「あ……いえ、嘘です。 花子さんが教室に残ってるのが見えたので来ました」


「えっ?」


花子は驚いた。


私の為に来てくれる人がいるんだと思うと心が温かくなる。


「シオン君、ありがと」


私笑顔になってるかな?


花子は立ち上がる。


「今日は一緒にいたいな……」


こんな事まで聞いてくれる人なんていないが寂しいのは確かだ。


「一緒にいるよ」


シオンが微笑む。


思わずシオンに抱きつく。


シオンは黙って頭を撫でてくれる。


しかしそこに1人の女が入ってきた。


「待ちなさい。 シオ……ダーリンは渡さない」


カエデだ。


彼女は生徒会で男子人気ナンバーワンのナオキと友達だし喧嘩していてもみんなの中心にいる。


私とは真逆の位置にいる存在だ。


彼女との繋がりを作ってくれたのはシオンである。


彼の側には不思議と人が集まる気がした。


ランクは違えど渡せない。


「今日は私といてくれるって言ってくれたもん」


カエデは引き下がらない。


シオンの腕をとると引っ張る。


「じゃあみんな誘って打ち上げしませんか?」


カエデはしぶしぶ頷く。


私も頷く。


買い出しに出かけ太郎を誘う。


シオンはお金を持っていない。


「シオン君時計見てみて」


「あ、1000クロンって表示されてる」


「じゃあ少しお買い物できるね」


するとシオンは少し考えていた。


しかし次の瞬間花子の耳元にシオンが近づく。


「みんなにジュース買えるかな?」


「大丈夫よ」


耳元に返す。


まるで恋人みたいだと花子は口元が緩む。


「ねぇ私の秘密教えてあげるね」


囁くとシオンは聞きたそうな顔をしていた。


「また後でね」


焦らしてシオンに気にかけてもらいたかった。


買い物が終わりシオンの部屋に行く。


ノアやナオキや太郎が集まりみんなで盛り上がる。


シオンの漢字の間違いを指摘して盛り上がった。


ノアさんも漢字が読めなかったらしい。


学園のアイドルのノアとは全く接点がないし今後もないと思っていた。


しかし彼女はとても静かで冷たく見えるかもしれない。


しかしジュースが空になるといち早く気がつき注いでくれる。


優しい人なんだと思った。


ナオキさんはイケメンであるしかなり能力も強くみんなからの人望もある。


しかし少し抜けているような気がする。


きっとナオキさんとノアさんみたいな2人が美男美女なんだなと憧れに似た感情で見てしまう。


「どうした? 俺また何かついてるか!?」


ナオキは口の周りをナプキンで拭く。


みんな笑うがノアさんだけは笑わないで黙っている。


デザートまで食べ終わるとみんな帰るのかと思いきやそのまま寝る支度をし始めた。


「え? ここに泊まるんですか!?」


「当たり前だろ。 こんな楽しい日に帰れるかよ。 それに明日学園は休みだ、朝からパーティしようじゃないか」


「そうだ! シオン、朝から走ろうか!」



ナオキと太郎が提案する。


それを聞くとノアはそっと帰ろうとしていた。


カエデに呼び止められノアもしぶしぶ戻ってくる。


「私パーティ嫌いなのに……」


ノアの必死? の抵抗も虚しくカエデがパジャマに着替えさせようとする。


ノアは能力を使いそれを防ぐと寝室に歩いていく。


「えッ!?」


私は声をあげてしまった。


ノアは足を止め振り返る。


みんなも私を見ている。


「あ、いえ、気にしないでください!!」


両手を振り続けたが遅かった。


「どうしたんだい花子さん?」


太郎が聞いてくる。


「あ、いや、あのー、ノアさんがシオン君の寝室を分かったのって……」


「…………お手洗い?」


誤魔化す様に首を傾げる。


かわいい。


「フフフ、あなたは何も知らないのね」


まるでなにかの達人の様にカエデは右足を机に乗せ指を指してきた。


「お姉様に分からないことはないのよ」


自分の事の様に自慢する。


「……カエデさん? えっと……シオン君の家に来たことが無いと場所わからないですよね?」


「だから、お姉様は来なくても分かるのよ。 直感? ってやつ」


「…………」


私はシオン君を見る。


「試験官だったので一度部屋に来たことがあるんです。 封筒を一緒に開けて説明してもらったので……もちろんマリアさんも一緒にいましたよ」


カエデ達は納得した様だ。


私は見逃さない。


「じゃあなぜノアさんはお手洗いなどと嘘をついたのかしら!?」


まるで犯人を追い詰める様にノアを指す。


「……眠たいから」


口に手を当てアクビをすると寝室に消えていった。


なんだろう……もうどうでもいいや。


ノアの可愛さになぜか言い返せない自分が情けなくなった。


そのまま崩れ落ちると完全に敗北者の気持ちになった。


「大丈夫ですか? みなさん寝ますか?」


「そうだな。 寝ようか」


「えぇ、ダーリンの隣は私だからね」


などと言いながら寝室の扉を開ける。


するとシオンのベッドにはノアが気持ちよさそうに眠っていた。


「……お手」


ノアの寝言が聞こえた。


みんなはノアの可愛さに悶絶するとそれぞれ布団を敷き眠りについた。


私はシオン君の隣に寝ようとしたがなぜか太郎とナオキさんがシオン君の横に寝た為カエデの隣で寝ることになってしまった。


「明日はあなたと決着をつけるわよ」


「えぇ望むところよ」


お母さん、私は友達に囲まれて幸せです。


また会えるならば友達と一緒に会いたいです。


花子は眠りについた。





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