甘い罠
シオンが目を覚ますとベンチで美人に膝枕をされていた。
シオンは慌てて起き上がる。
「ごめんなさい。 気を失ったみたいで……」
「いえ、お気になさらず。 それよりも先ほどの男と知り合い?」
「なんかスカウトされてしまって……」
すると美人はシオンの手をしっかりと包み込みじっと見つめる。
「彼は悪魔よ。 私は彼から逃げたいの。 お願い助けて」
と突然言われてしまい戸惑いながらもシオンは頷く。
「ありがとう。 私について来てくれる?」
首を少し傾げて尋ねられたら断れない。
かなり怪しいのはわかっていたが一緒に立ち上がると後をついて歩く。
駅からは離れて行っているが気にしない。
少し駅から離れたところで立ち止まると彼女は電話をかけ始めた。
「ボス、承諾してくれたから連れて行くわね」
シオンは危険を感じ逃げようと美人から少しずつ離れる。
しかし美人はこちらに振り返ると、
「1度承諾したら逃げないわよね? 一応男だよね? 逃げたら女の子に生まれ変わらせてあげるわよ」
とすごく冷たい笑顔のまま言われた。
シオンは全身を震わせながら立ち尽くした。
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