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少年召喚士は伝説となる。  作者: 千羽 鶴
少年召喚士、異世界に転生する。
5/18

ダンタリオンは神について語る。


楽しんでいただけると幸いです!

「……はい。単刀直入に言います。カケル様、貴方は………………転生しました」


 言いにくそうに、けれどハッキリとした口調で言うダンタリオン。

 それは、僕が予想した通りのものだった。

 頭では理解して覚悟もしてたつもりだったけど、やっぱり第三者から直接言われると、ちょっとキツいものがあるな。

 現実が、一層心に重く伸し掛る。体が無意識に震える。

 その震えを抑える為、僕はグッと拳に力を入れると、努めて平静を装う。


「……『転生』って言う事は、やっぱり僕は死んだってことかな?」

「…………はい。申し訳ありません」


 ダンタリオンが、沈痛な面持ちで謝る。


「あはは!別にダンタリオンが悪い訳じゃないだろ?だから……謝んないでよ」


 僕はわざとらしく、何でもない事のように笑い飛ばした。


「……カケル様」

「……それで?僕はどうやって死んだの?正直、あの時の事は記憶が曖昧で、あまり覚えてないんだよね」

「それは…………信号無視をした愚か者のせいです!カケル様は、その愚者の車により、ほぼ即死でした」


 拳を握り締め、ダンタリオンは肩を震わせて、怒りながら吐き捨てるように言った。


「そっか~……やっぱりね。まあ、死んじゃったものはしょうがないよ」


 しょうがない…………何て嘘だ。

 そんな簡単に割り切れるものじゃない。

 それでも、死んだと言う実感はまだ無いが、ここが僕の知る世界で無いことは間違いない。

 さっきのライオンに似た動物(多分魔物と言うやつ)や、僕が穴が空くまで見ていたカードである、ミカエルやダンタリオンが、今僕の目の前に現実として存在する。

 ならば、現実は現実として受け止めなきゃ。


 ……………………そう自分に言い聞かせないとやってけないだけなんだけどね。


 僕は自分自身に苦笑する。


「それで?みんなが実体を持てるようになった経緯は?僕が死んだ事と関係があるんだよね?」


 僕は先を促す。


「……はい。あの時…………カケル様が死ぬ時、我らは願いました。カケル様を助けて欲しいと。カードは一丸となって祈り……そしてそれを地球神?と言えば良いのでしょうか?その方とこの世界の神により、異世界へと転生を果たしたようです」


 ああ……あの時のあれは、幻聴でもなんでも無かったのか……。


「地球神……神様なんて本当に居たんだ」


 僕は少し驚く。

 僕は別に神様を信じてるわけでも、信じてないわけでもなく、居たらいいな~位にしか思ってなかったので、寧ろそっちの方に驚いた。


「そうみたいですね。ですが、恐らく人間が思い描く『神』とは異なると思います。地上で祀られる神々は、大半が人の信仰により作られた偶像のようなもの。確かに、結果的にそれで『神』が創られる(・・・・)事もありますが、あくまでそれは思念の集合体と解釈すれば良いかと。とは言え、実際に神が存在するのは事実です。本物の(・・・)神と言うのは、人間が認識するには烏滸(おこ)がましい存在なのです」

「へ~……中々面白い話だね」


 僕は素直に関心した。

 これは、人間とそうでない者(・・・・・・)との違いなのか。

 それとも、神とやらを実際に見た(・・)から、そう断言出来るのか。

 そう僕が考えてると、ダンタリオンは僕の考えを読み取ったかのように、即座にそれらを否定する。


「因みに、私共も地球神と実際にお会いしたわけではありません。先程も申しました通り、我々は精神体のような存在です。付喪神……と言えば良いのでしょうか。本来は、長い年月を経て道具などに神や精霊(霊魂)が宿るとされていますが、我々はカケル様にとても大事にされ、ほぼ毎日話し掛けられていた為、意志を宿す事が出来ました」


 ダンタリオンは目を細めて、僕を愛おしそうに見詰める。

 その視線に、僕は気恥ずかしさを覚えた。


「その点で言うなれば、我々はどちらかと言えば、人間達が偶像して創られた神々に近い存在と言えましょう。ですが……敢えて【地球神】と称していますが、実際の神には、どうやら『名』も『実体』も存在しないようです。簡単に言えば、【力の塊】に近いように感じました。故に、我々は事実、地球神と邂逅したわけではありませんし、何より言葉を交わすこともありませんでした」

「……ん?それだと、あまりにも詳しすぎないかな?」


 あれこれと、随分神について知ってると思うんだけど。

 僕が首を傾げて疑問を口にすると、それも丁寧にダンタリオンは説明してくれた。


「それは、あくまで【地球神】でのことです。此方の神ーー名を【リーシャス】様と言いますが、この方は実体があり、尚且つ正しくこの世界の者達に認識されているようです」

「えっと……それはつまり、神様が地上に姿を見せてるって事?」

「いえ、基本的には、神々はよっぽどの事がない限りは不干渉を決め込んでおります。それ故に…………言い方は悪いかもしれませんが、我々が居た地球の神は何と言いますか……それが顕著と言いますか、放任主義と言いますか……要は、滅多にその力を使われないらしいですね」


 ダンタリオンは苦笑しながら、少し言葉に苦戦してるようだった。


 ……うん。まかりなりにも神様だから、悪く言いたくない気持ちも分かるよ。


「とは言え、全く手を加えないとなると、世界が維持出来ないので、どうやらそこら辺の按配あんばいを考えて、世界に力を送っているようですね。それに引き換え、リーシャス様達()は、人前に滅多にお姿をお見せする事はありませんが、僅かに人々に恩恵を与えてるみたいな事はなさっているみたいです。ただし、地上のいざこざには手を出さないそうですが。我々がお会いし、話を聞いたのは、そのリーシャス様よりなのです。そして、今回のカケル様の転生についても、リーシャス様から聞かされたのですが……」


 若干話が逸れてしまったが、僕が本来聞きたかった本題に差し掛かったので、僕は気持ち身を乗り出す感じで、続きを待つ。


「まあ…………その、地球神の気紛れみたいなものです」

「……………………はい?」


 流石に予想してなかった言葉に、僕は一瞬呆けてしまった。


「あ、いえ!その、カケル様はある意味特別(・・)であった事は間違いないんです。何せ、我々のようなただのカードに意思を持たせる程ですからね。希少価値はあったのでしょう。ですが、本来なら普通(・・)に転生させれば良いものの、態々『異世界への転生』などと手の込んだ形を取った訳です。最も、我々の願いもカケル様(・・・・)に生きていて欲しいと言うものでしたから、願ったり叶ったりなのですが……」


 どうにも、僕の世界の神様とやらは、気難しい性格をしていそうだ。

 やはり、神様にも色々居るのだろう。


「ま、それでも転生出来たのだから、地球神とこの世界の神様?には感謝かな?……あれ?でも僕の姿って生前と変わらないよね?転生って赤ん坊とかに生まれ変わるんじゃないの?」


 鏡が無いから断言は出来ないが、見た限りあまり変わりは無いように感じる。


「はい。それもリーシャス様のご好意です。まず初めに、一度死んだ人間を生き返らせる事は、幾ら神でも(ことわり)に反する事なので無理です。ですから、地球(あちら)でのカケル様は、実際に亡くなられております」


 それは僕にも分かる。

 幾ら気紛れな神様と言えども、死んだ人間を気紛れに生き返らせてしまえば、世界は大混乱に陥るだろう。


「なので、【魂】のみを此方に送り、生前と同じ姿に肉体を生成し、且つ、この世界に順応するように、多少の手心を加えて頂きました」

「…………手心?」


 ダンタリオンの次の言葉に、僕は絶句し、それと同時に心が躍るのだった。


「はい。何せこの世界は【剣と魔法の世界】ーーファンタジー世界ですから」


むぅ。どうしても、神様の説明が上手く纏まらん!

多分、後日編集すると思います(汗

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