この中に眠る何か
初めての短編です。
布団を干している時、ふと、空高く飛ぶ旅客機を見た。
彼は私を愛してくれているし、もちろん私も彼を愛している。
幸せかと聞かれたら、幸せだと答える。
ただ……ただなんとなく、寂しくなった。
もうどこにも行けない、私はここからどこにも動く事ができないんだと。
何か分からないものに、何かで囚われている。
それはまるで、安心して囲われた世界を泳ぎ回る、水族館の魚の様な幸せ。
水槽から飛び出てしまうと、すぐに死んでしまう。
もちろん分かっている。だから飛び出さない。
飛び出せない。