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31. サポート

 補助的な役割が好きです。部活のマネージャーとか、生徒会の副会長とか、秘書とか、専業主婦とか。

 よくよく考えてみると、特に雑用が好きというわけではないので、誰かが歩く道の前の小石を取り除いたり、通り過ぎた後の落とし物を拾ったりするのが好きなのだと思います。その誰かがサポートされていることに気付かずに快適に走ってくれるほど爽快な気分になります。そして、ふと立ち止まって、あれ? なんかスムーズにここまで来たけど? ってちょっと振り返って、ほんの少しだけ私のやったことに気付いてもらえたら最高です。全部を知られるのは恥ずかしいです。気付くか気付かないかくらいがちょうどいい。


 だけどなぜか、うまい具合にそういう人物に出会いません。

 すぐ気付かれて感謝されてしまったり、初めから当てにされてしまったり、私の助けなんかいらなかったり。まあ、最後の人はそれはそれで素敵なのでいいのですが。二番目のは問題外ですね。サポートをしたいのであって、丸投げされたいわけではないのです。逆になんでもかんでも面倒をみられるのも窮屈かもしれません。ちょっと経験がないのでわかりませんが。されてみたら意外と快適かもしれません。一生に一度くらいは至れり尽くせりのお姫様気分を味わうのも……よくないな、やっぱり。


 うちの中学では部活動にマネージャー制度がなかったので、すごく憧れました。スポーツはやるのも見るのも興味ないけど、マネージャーはやりたかったです。

 ないものは仕方ないので、生徒会の副会長をやりました。会長のサポートとか気持ちよさそう!と思って。

 あ、そうそう、楽しいじゃなくて、気持ちいい、なんですよ。わかります? この違い。胸がわくわくじゃなくて、くすくすするんですよ。ふりゅふりゅするっていうか。しっくりくるオノマトペが見つかりませんが。(ふりゅふりゅもないと思うけど)

 でもせっかくサポートしたくて副会長になったのに、会長がへなちょこだったために(私から見て、ですが)常に尻を叩くような感じになってしまい、なんだかなあって感じでした。サポートというより、やらせてる感。鬼嫁じゃなくて、大和なでしこになりたいのに……。


 高校では絶対運動部のマネージャーになるんだから!と周囲にも公言していました。受験校は、本命が県立高校、滑り止めが私立高校だったのですが、私立高校に願書を出しに行った際、あれはラグビー部かなにかだったと思うのですが、爽やかなお兄さんたちが「うちを受験するの? 入学したらマネージャーになってね!」と声をかけてくれました。ふにゃ~ん。すてき~。なります、なります~。って思ったけど(てか、お兄さんたちに言ったけど)、本命に合格したので県立高校に行ってしまいました。

 県立高校では、中学で同じ演劇部だった友達も一緒で、彼女とは仲良しだったので「また演劇やろうね」と言われ、もうやるつもりのなかった演劇部に入り、しかも弱小部活だったために、一年生のうちから部長になりました。

 そんなこんなで、私のサポート願望はまたしても果たせず。


 そこから何年も経って、縁あって大学の研究室秘書をやっていたことがあるのですが、これはよかったですねぇ。ボスがまた魅力的な、私の大好きなB型女性でした(「14.B型」参照)。仕事内容はそれまでの仕事より格段に大変で面倒で緊張を強いられるものでしたが、秘書というポジションは非常に気に入っていたし、たぶん向いていたと思います。


 仕事でなくても、誰かのサポートは好きです。先に家に上がった人の靴をそろえるとか、先に席を立った人の忘れ物を確認してから後を追うとか、そういう小さな一つ一つも好きです。

 ちょっと私が下準備や後始末をすることで、誰かが立ち止まることなく自分の快適なペースで進んでくれると、私が快適です。


 ただねぇ、なかなか出会わないですねぇ。相手がしっかりしすぎていたり、次第に依存してきたりで。まあ、自分でもどの程度が私の快適サポートの範囲なのかはっきりしないんですけども。


 そして、もっと問題なのは、自分から走り出してしまうことが少なくないってところでしょうか。けして姉御肌ではないと思うのですが、なぜか「姐さん」と呼ばれるようになってるし(苦笑)

 まあ、しかたないですかねぇ。理想は大和なでしこですが、私自身はそんなおとなしく控えめな性格じゃないし。


 とはいっても、リーダー気質ではないし、かといって、言われたことを淡々とこなすのも性に合わない。理想はやっぱり補助的ポジション。できることなら、秘書の時みたいな責任感はいらないから、私の半歩前を行く人を快適に歩けるようにサポートしたい。お母さん的役割よりお姉さん的役割を果たしたい。具体的にどういう状況か思い浮かぶわけでもないのですが。

 おそらく一生そんなふうに思い続け、そして叶わない気がします。きっとまたサポートしているつもりがいつしか尻を叩いていそうですしね。

 自分にできそうもないから憧れるのかもしれません。

 ああ、控えめな女性になりたいよ……。まずはそこからだな。


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