28. 割り勘
人と付き合うなかで、時間とお金の感覚って大切だなと思います。どうあるのが正解とか、どうするのが優れてるとかはないと思うのですが、この二つの感覚が合う人とは大抵の感覚が折り合える気がします。興味のあるものが違っても、なんだかんだで長く付き合っているのはそういう人たちです。ほかの方たちにも当てはまるのかどうかは知りませんが、私にとっては結構重要ですね。
でもこういうことって、すぐにはわからないもんです。初めのうちはお互いに気を遣っているから、相手に合わせようと探っている感じもありますしね。
というわけで、今回は、お金の方の話をしようと思います。
あ! ちがうちがう! お金が好きって話じゃないです。割り勘が好きって話ですからね。
さて。
中高生からの友達とはいまだに一円単位まで割り勘です。精算に時間も手間もかかるけど、誰も「そんなの適当でいいよ」と言わないところがおもしろいです。社会人になってからの友達とは結構適当な計算だったりするので、当時の金銭感覚が残っているということなのでしょう。
もちろん、絶対に割り勘じゃないとイヤ!というわけではなくて。お祝いだからとか、お礼だからとか、車出してもらったからとか、そっちの方が交通費かかっているからとか、相当の理由があるのならおごったりおごられたりは気になりません。だから、友達とは特にこの点で気になることはないのですが、問題はそれ以外の関係の人ですよねぇ……。
親や親戚、職場の人、恋人。これらの人とも割り勘にしたい。
親や親戚との物のやり取りは均等でなくても気になりません。もらってばかりでも、あげてばかりでも。たぶん相手も気にしていないだろうし。
でも、一緒に出掛けた時に、たいてい相手が払ってくれちゃうんですよね。せめて自分の分だけでもと差し出してもけして受け取りません。私が先にまとめて払ったとしても、会計後に全額を渡してきます。いやいや、くれるとしても自分の分だけにしてよ、と思います。
毎回、払う払わないでヒートアップしてしまう親戚たち。母VS祖母のやり取りなんて、次第に喧嘩腰になってしまいます。もう私の入る隙なんてありゃしない。誰もが自分が全額払うと言ってきかないんです。もう平等に割り勘にしようよという提案も聞き入れられない。
もう、なんなのさ、これ! めんどくさいし、人目があるし、どうにかならないのかしらといつも思います。
次のケースは職場の人。私は、後輩とか部下がいたことがほとんどないので、おごる立場になったことはありません。
同僚との飲み会ならまだいいです。基本割り勘ですから。
困るのは、上司や年長者に誘われたとき。絶対に払わせてくれないじゃないですか。それがわかっているのに、誘われると「行きます」と言いにくい。当然行った以上は、自分の分は払おうとするのですが、受け取ってもらえたためしがありません。
もちろん収入は明らかに違いますが、そういう問題じゃないし。たとえ年収1000万超の人とアルバイトでも割り勘希望。
なんだろう……金額の問題じゃなくて、気持ちの問題なのかな。
しかも会社員時代の若かりし頃は、いろんなおじさま(もちろん社内のです)に飲みに誘われました。私、お酒飲めないんですよ。それを知っていても誘ってくれるんですよ。その気持ちはとっても嬉しい。けどなぁ~と渋っていると「おごってやるから」と言う。「だから、それが気が引けるんですって~!」と言っても「まあまあ。いやじゃなければ来てよ」と。で、いやなわけじゃないから行って、おごっていただいてしまうという。モヤモヤします。
そして、最後。割り勘にしにくいもの。それはデートかと。特に付き合いはじめ。
さすがに今の時代はそんなこともないのかもしれませんが、私が社会に出たのはバブル崩壊直後だったし、男女雇用機会均等法もそれほど進んでいなかったし、女性は男性にもてなしてもらえるものって感覚が残っていたんですよね。バブリーなデートって意味じゃないですよ。ちょっとお茶したらその数百円を男性が払ってくれるとか。そういうこと。もちろん食事とかもですが。遊園地や水族館の入場券も買ってくれたり。そういう人がスマートだったりしたんですね。
でも、私はヤダ! 態度でちやほやしてくれたり、お姫様扱いしてくれるなら大歓迎ですが(あいにくそういう方と出会ったことはありませんが)、お金は別でしょ、お金は。と思うわけですよ。
恋人じゃなくても男性がおごるのが暗黙の了解みたいなとこもありましたね。友達の知り合いの男性たちと食事したりして(合コンではない。残念ながら合コンをしたことがない。一度くらいしてみたかった。きっと一言もしゃべれないけど)、そういう場でも男性陣がほとんどの額を払ってくれました。
も~、そういうのが嫌なんだってば~。でもね、そこで割り勘なんてことになると、その男性はケチって思われるんですよ。おかしいでしょ。
かつては~なんて話していましたが、ネット上をふらふらしていても、いまだにそんな価値観はあるみたいですね。たとえば、「初デートでクーポン券使うとかありえな~い」とか。
いやいやいや。むしろ、そんな男性だったら惚れますって。行き先が決まっていて、事前にクーポンとか用意してくれていたら嬉しいし、しっかりした人だな~ってうっとりです。
でもね~。うん、まあ、言いたいことはわかりますよ。なんか安い女として扱われた気がするんでしょうね。うん、わかるけどさ~、それをかっこ悪いと思う価値観を私は持ち合わせていませんねぇ。
むしろ、そういうことを気にしない女として見てくれたって感じて嬉しくなります。そういう男性をかっこいいと思います。ホテルのティールームでお茶するより、公園のベンチで自販機の飲み物の方が素敵だと思います。たとえそれが初デートでもね。
とはいえ、慣れてきたらそれでもいいけど、初めのうちはさすがにねぇ……と言われるのでしょう。理解はできます。否定もしません。完全に好みの問題ですね。
でね、割り勘志向を基準に人を好きになるわけではないのに、おごってくれる男性とつき合ったことがありません。ラッキーでした。世間一般にはどう思われるかわかりませんが、私にとっては快適そのもの!
逆に今思えば完全に貢いでいたな……というくらいのことも。まあ、貢がれるよりは数倍いいですけどね。
さすがの私でも、恋人に対してまで、中高生時代からの友達のように一円単位まで割り勘を望んだりはしませんが、だいたい均等がいいですね。もし相手が高給取りで私が無職だったとしても。
そして高給取りであってもデートでクーポン券とか使っちゃう人が好みです。
ただあれですよね、男性ってめんどくさがり屋さんが多いから、なかなかクーポンとか用意しないでしょうね。そう考えると、金銭感覚とは別問題のような気もします。
内容が同じなら安く済ませようとする、そんな金銭感覚も好きですが、大雑把な性格はもっと好きです。お財布の中でお札があっちこっち向いていても気にしないようなところにキュンとします。よくそれで気持ち悪くないな~と不思議には思いますが。
ちなみに私は、お札の向きを揃え、千円札なら五枚ずつゼムクリップでとめています。そして、人と出かけるときは割り勘用にと、なるべく千円札と小銭を用意しておきます。
このように準備万端ですので、私とお会いになる際はぜひ割り勘でお願いします。




