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23. お世話

 前回ですね(っていうか、つい昨日ですけどね)、「男の人は駄目なくらいがちょうどいい」って言ったら、ある方からつっこまれました。

 ええ~、なんでなんで~? あまりにもダメダメなのはさすがにどうかと思うけど、「もお、しょうがない人ねぇ」ってくらいはキュン対象でしょ!?

 ――と、思ったら、なんかそうでもないみたいですね。みなさんはどうですか?


 てなわけで、今回は「お世話」について語っちゃいます。


 ただこれね~、厳密に言ったら、お世話をしたいわけじゃないんですよ。いや、したいんだけど、したくない、みたいな。う~ん。難しいな……。うまく話せるかな(いや、話せないだろう)


 あのですね、たぶんだけど、お世話しちゃうのは習性です。愛情の有無は関係ありません。

 私が手助けすることで相手にメリットがあることが明らかな場合、見逃すことができません。なので、相手がきちんとした人だととても楽です。お世話をやりたくてやっているわけではないので。

 かといって、嫌々やっているのかというと、そうでもないです。相手がお世話されたことに気付かなかったり、それを当然のことと思っていたとしても、なんで私がやってあげなきゃいけないの!? とは思わないので、やはり好きの部類にはいるのでしょう。


 祖母や母も世話焼きな性格なので、これはもうDNAですね、きっと。そう思って諦めています。

 祖母や母と違うのは、嫌々じゃないという点です。彼女たちはやりたくてやっているわけではなさそうです。自ら世話を焼いておきながら文句言ったりしています。意味がわかりません。

 私は完全に自己満足のためにやっています。相手のメリットになるであろうと信じてやってはいますが、実際に相手がどう思うかまでははかりかねます。とりあえず、迷惑じゃなきゃいいかな、と。


 お世話DNAとはいえ、いったいいつこんな自分の首を絞めるような性質に目覚めたのかと考えて、まず思い当たったのが小学生の時のこと。


 5、6年生は委員会に入らなきゃならなかったんですけどね、私は2年間飼育委員だったんですよ。小さいころから毛の生えた生き物を飼いたかったのに、借家だったため水に棲む生き物かインコしか飼えなかったんです。まあかわいかったんですけども、やっぱり毛の生えた4本足の生き物も飼いたかったんですよ。で、飼育委員。

 まあねぇ、当番制だし、懐きゃしませんよ。でも楽しい。幸せ。


 飼育委員といっても、所詮小学生。大半の子は当番をサボっていました。生き物相手に当番サボるとか信じられんっ! しかも夏休みの当番もサボる始末! 鬼畜かっ! いや、畜以下だよ!

 というわけで、誰もお世話をしていなかったらどうしようと心配で心配で、当番じゃないのにお世話をしに行っていました。

 行ってよかったよ、案の定、誰も来てないでやんの。

 誰もいないから、小学生女子が一人でキャベツの入った大きな段ボールを山の下の八百屋さんから運んだりするんですよ。えらくない? 私。うさぎさんはそんなことわかっちゃいないけど、掃除の終わったうさぎ小屋で、キャベツをバリバリ食べているのを見るのは幸せでした。


 と、まあ、こんな体験をしたものだから、これがお世話の原点かと思っていたのですが。そういえば、と母からよく聞かされる話を思い出しました。


 私には3歳下の弟がいるのですが、私が2歳になったばかりの頃に、母はつわりで苦しんでいました。

 当時は福岡県に住んでいまして、しかも引っ越して間もなかったこともあり、横浜出身の母は親も友達もいなかったんですね。

 で、私の出番ですよ。つわりのなんたるかも知らないのですが、洗面所に頭を突っ込んでいる母のそばに、鏡台から椅子を引きずってきて、その上に乗って背中を撫でていたんだそうです。言われてみればぼんやり記憶があります(私は1歳くらいからの記憶が結構あります)。

 それが落ち着くと、今度は座布団を二つ折りにして、横になれと促したそうで。で、子供を寝かしつけるかのようにポンポン叩いたりとか。

 不思議ですよね、だって、そんなことをしている人を見たことないのに、なんでそうしようと思ったのでしょうね。恐るべし、お世話DNA。


 弟といえば、よく泣く世話の焼けるやつでした。私がほとんど泣かず、おとなしく、1歳数か月でほとんど問題なく会話ができていたということもあり(当時の録音カセットテープを聞いたことがあるけど、普通の文章をしゃべってた)、赤ちゃんらしい赤ちゃんの弟に母も戸惑っていたようでした。

 今思うといろいろ問題はありますが、なにしろ子供を二人連れての買い物は大変なのでしょう、母は弟が寝ると私を見張りにつけ、急いで近所のスーパーへ走ることがよくありました。

 弟は目覚めるとひどく泣き、私が必死にあやしていたそうです。

 ある時は弟が大の方をしたらしく、教わったこともないのに、見よう見まねでおむつ交換まで済ませていたこともあったとか。2歳数か月から3歳くらいの子がどの程度のことができるのか知りませんが、我ながらよく世話をする子だと思います。


 う~ん。でもどうなんだろう? これって長女としては普通なんだろうか? だとしたら、特にお世話DNAのせいではないということになるけれど。


 まあ、これが一般的だろうがそうじゃなかろうが、どちらも感謝されたということが私の性格形成に影響を及ぼしたのだろうと推測されます。


 飼育委員の件は、見ている人は見ているもので、用務員さんが先生に報告していたようですね。褒められました。弟の世話も母に感謝されました。

 きっとそういうことが成功体験として私の中に染み込んでいったのでしょう。お世話すると喜んでもらえる、私も嬉しい、そんなwin-winな行為。今まで深く考えたことはありませんでしたが、たぶんそういうことなんじゃないかと。


 ただこれ、地雷がありまして。余計なお世話ってやつですね。おせっかいとか。気を付けないといけませんね。気を付けているつもりでも結構やっちゃってますね。


 そういうこともあって、多少お世話しすぎてしまっても嫌がらない人というのは、私にとって楽な相手です。


 はい、ようやく冒頭に戻りましたよ。「男の人は駄目なくらいがちょうどいい」これね。なぜ男の人なのか。女の人じゃだめなのか。いえ、いいんですよ、女の人でも。

 でもね、失礼を承知で言っちゃいますけどね、女の人はお世話してもやっぱり大人は大人なんですよ。それに対して男の人はどんな大人でも子供みたいなところがあって。あ、私がそう感じるだけですけどね。別に上から目線なわけじゃなく。


 私は基本的に母性本能はないと思っています。むしろ母親になりたくない。な・の・に! お付き合いする男性に対して母親になってしまう! これ、すごく嫌! もちろん私がお世話しすぎるからいけないんだけど、お世話受ける方も受け入れすぎじゃない!? と思うわけですよ。自分を棚に上げちゃいますけども!


 はい、ここでまた冒頭につながりますよ。いいですか、ちゃんとついてきていますかぁ?


 『あまりにもダメダメなのはさすがにどうかと思うけど、「もお、しょうがない人ねぇ」ってくらいはキュン対象でしょ!?』


 これ。これですよ。


 どこまでも受け入れちゃうのが「あまりにもダメダメ」な人。

 相手も駄目な人だろうけど、私だって駄目な人なんです。私が甘やかしすぎたら、そこまではいらないって言ってくれないと。


 そんな都合のいい人なんていないと思いきや、出会ったことがあります。お世話とはちょっと違うし、文字数もそれなりに多くなってきたけど、話します。


 待ち合わせをしてね、ちょっと待たされたわけですよ。

 でも携帯電話のない時代だったら、1時間や2時間待たされるのはしょっちゅうだったし、下手すりゃ何時間も待って連絡取れないまま帰宅するなんてことも少なからずあったわけで。だからこまめに連絡が取れる昨今、遅れるって連絡くれた上でちょっと遅れるくらいどうってことないのです。

 で、「遅れてごめんね」って言うから、「大丈夫。待っている楽しみがあるから」と答えたんです。悪くない返事でしょ?

 そしたら、「ダメだよ」って言われたんです。なんでも許していたらそのうち共依存になるって。


 ハッとしました。


 たかがちょっとの遅刻くらいで大袈裟な気もしますが、遅刻するようなダメなところがありながら、根本はしっかりしているって素晴らしいと思いました。


 もちろん時間を守ることが大事だけど、毎回きちんとしていると、こっちはもっときちんとしなくちゃって疲れちゃう。でも、相手がダメすぎても、お世話機能付きの私としては疲れちゃう。そんな私に「ちょうどいい」をわからせてくれた瞬間でした。


 これが、「男の人は駄目なくらいがちょうどいい」の基準です。ゆるいようで意外と難しい基準でしょ?


 私のお世話機能は時々暴走するので、与える時はリミッター付きの要お世話人物であることをオススメします。


投稿した後で、なんか一部書いた記憶あるなと思ったら、弟のくだりは某昭和エッセイでも書いていました。そのタイトルも「嗚呼、お世話が止まらない」だって(笑)

そちらもお読みくださっていた方にはダブり部分があってすみません……

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