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9. いわゆる悪筆

 大きくて汚い字が好きです。筆圧強めだとなお可。


 女性特有の繊細で優しげな美しい文字にもうっとりするのですが、堂々と力強い文字を見ると、書いた人に興味を持ちます。きっとおおらかで裏表のない人なんだろうなぁと思えてとても心惹かれます。男女問わず。


 筆跡って人柄があらわれる気がします。上手下手ではなくて、魅力的な字を書く人っていますよね。友人知人の筆跡を思い浮かべてもその人柄と一致している気がします。後からその人の筆跡を見ることになった場合でもしっくりくることが多いです。


 タイトルは長くなっちゃうので「いわゆる悪筆」としてしまいましたが、冒頭で言った「大きくて汚い字」「筆圧強め」を私は悪筆とは思っていません。

 あ、いっけない。「汚い字」とか言っちゃっているし。一般的に汚い字を私は汚い字とは思っていま……う~ん。言えば言うほどにこれは……。なんだか「汚い」って単語がゲシュタルト崩壊を起こす寸前です。え~、なんて言えば失礼じゃないんだろう。下手な文字? 読みにくい文字? どう言ってもだめじゃん。あ! いいの思いつきました! 個性的な文字! うん、これでいいでしょう。


 大きくて個性的な字が好きです。筆圧強めだとなお可。


 ……いや、やっぱだめだな。ここは汚い字じゃないと。


 大きくて汚い字が好きです。筆圧強めだとなお可。


 うん、やっぱりこっちで行きます。別に誰の筆跡って言ってないし、いいですよね? ついでに表現が長ったらしいので、以降「いわゆる悪筆」で統一します。あしからず。


 さて。気を取り直して。


 なにより、近頃は直筆の文字を目にする機会が減りましたよね。仕事でもちょっとした指示とか引き継ぎとかもメールで送ったり、パパッとwordやtextで書いて印刷しちゃいますよね。たしかに仕事ならその方が見やすいし、効率がいいと思います。

 達筆すぎて読めない上司のメモとか困りますよね。聞くに聞けない……。でも聞かないと仕事にならない。読めないって言ってしまうのと、仕事に支障が出るのだったら、当然ながら読めないって言うべきですもんね。

 秘書をやっていた時にですね、ボスの走り書きが半分以上読めないんですよ。遠慮しつつ聞いてみるんですが、ボス自身にも読めなくなっていたりして、ふたりでうんうん唸りながら、ああじゃないか、こうじゃないか、って解読したりしました。でもそのうち読めるようになるから不思議ですよね。慣れですね。ボスの読めない字を私が読めちゃったりして。まあ、ボスのは「いわゆる悪筆」などではなく、走り書きだから判読不能なだけで、丁寧に書かれるとかなりの達筆でした。

 達筆だと知的さが増しますよね。なので私自身は達筆になりたいです。


 まあ、どんな筆跡であれ、手書きの文字っていいですよね。目にする機会が少ないからこそ、一層キュンときます。うん、そうなんですよ、手書き文字ってキュンポイントなんですよ。


 友達の手書き文字を見た瞬間、なんだかちょっと距離が近づいた気がします。

 男性の手書き文字を見た瞬間、ちょっとドキッとします。


 男性が「いわゆる悪筆」だったりすると二割増しで魅力的に見えますね。あ、いや、三割増しかも。いや、四割……さすがにそれはないでしょ、って声が聞こえそうですが、大袈裟じゃないですよ。本当にかなりの重要度なんですって。私にとっては。


 もちろん男性で達筆だと大人の魅力的なものを感じます。出来る男、って印象を受けますね。

 でも「いわゆる悪筆」はキュンときちゃうんですよ。条件反射なので、もうこれはしょうがないですね。私、悪筆フェチなのかもしれません。


「もうっ、なにこれ、読めないよ~」

「うるせ~。どうせ俺は字が汚いよ」


 ──みたいなやりとりも好きです。胸の奥がくすぐったくなりますねっ!


 ただね~、みなさん謙虚な方が多いらしくて。「字が下手なんだよ~」とか言いつつ、そうでもなかったりするのですよ。ちょっと残念。

 もう思いっきり下手で汚い字がいいです。大きくて筆圧強めでね。


 電子化された文字ばかり見ていて満たされないこの思い。ああ……目の保養に「いわゆる悪筆」求む!




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