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84 対抗戦8

お待たせしました、二人の対戦の続きです。なかなか決着が付かずに長引いています。当初は2話ぐらいで終わるかな? と甘い目算を立てておりましたが、白熱する一方の試合は終わる様子を見せません。きっとあと2話ぐらいで決着が付くと思います。(すっとぼけ)


たくさんのブックマークと評価をいただきありがとうございました。

 白熱する二人の戦い、さくらがギアを上げたことに対抗して橘は魔法のレベルを一気に引き上げる。


 これまでは牽制と魔力の節約のために初級魔法しか使用していなかったが、今まで盛んに放ってきた氷弾に加えて、元哉を相手にして開発した新たな術式の投入に踏み切った。


 例のダミー魔法のコアが破壊されると同時に本当の術式が発動して電流を流したあとで爆発を引き起こす相当にエグイ魔法だ。


 もちろん全ての攻撃をこの魔法に置き換えるのは効率が悪すぎるので、まとめて10発ずつ放っている氷弾の中にひとつだけ混ぜる。


 だがさくらはこの橘の企みをすでに読んでいる。今までと比べて魔法を打ち出すタイミングにわずかな遅れが生じたことに気がついているのだ。この辺は彼女の野生の勘が素晴らしい働きをする。恐らく二人が初めて模擬戦で対決したときに、さくらが苦杯をなめたあの攻撃が来るに違いないと考えている。


 そこでさくらは突然その動きを停止して、橘の魔法を正面から受け止めようとする姿勢に切り替える。


 橘はさくらが急に身構えたことにやや驚きを見せるが、すでに魔法は発動を終えているので構わずに打ち出す。時速100キロを超える速度でさくらに迫る氷弾、そしてその中には確実にさくらを仕留める威力を持った術式も含まれている。


 さくらは目を凝らして飛んでくる10発の氷弾を識別しようとする。身体強化のレベルをさらに引き上げて、ノーマルの氷弾は体にぶつかってもダメージを受けないように準備をして、わずかに他の物とは動きが違う氷の塊をあろう事か右手でキャッチする。


 自分の体にぶつかって砕け散る氷弾は一切無視して、右手で掴んだ本物を思いっきり橘に向けて投げつける。


 魔法で打ち出された速度をはるかに上回り、もはや音速に近い速度で橘に向かって唸りを上げて迫る氷弾。もちろん橘がよける暇など無い。


『ヒューーン・・・・・・ドカ--ン』


 そして橘のシールドに着弾。



 橘が緊急に展開した追加のシールドにぶつかってその氷弾は馬鹿デカイ音を上げて爆発する。目の前で起きた爆発に橘は肝を冷やすが、シールドは半分消し飛んだものの彼女にダメージはない。


 それよりも橘が驚いたのはさくらの対処法だ。まさかキャッチして投げ返すとは思ってもみなかった。いくら何でもやる事が無茶苦茶過ぎる。


「でもこれこそがさくらちゃんか」


 橘の口から少しさくらの事を甘く見すぎていた反省の言葉が漏れる。目の前に立っているのは日常生活に関しては一切何も役には立たないが、戦闘に関しては真の天才にしてこの世界の獣を統べる獣王だった。





 橘が爆発に気をとられてその注意がそれた瞬間にすでにさくらは動き出している。さらに強化されて向上したスピ-ドを全開にして橘に突進を開始、橘が気がついたときには彼女はすでにシールドに手が届く所まで来ていた。


 慌てて全力でシールドを強化する橘、だがそれをあざ笑うかのようにさくらの拳が強化したばかりのシールドを次々に打ち破る。シールドを挟んで至近距離で向き合う二人、この距離ではさくらが圧倒的に有利だ。



 二人の攻防に会場を埋め尽くす観衆は沸き立つ。先程までは防戦一方に見えたさくらが接近戦を挑んで攻勢に出た事に観衆は目を見張る。




 その中で客席から戦いの行方を注視しているフィオレーヌは最早お手上げ状態だった。


 橘が重ね掛けした魔法の術式があまりに高度で彼女をしてもようやく理解が追いつく程の物だった事は兎も角として、それを手で受け止めて投げ返すなどいったい誰が思いつくのだろう! 非常識にも程がありすぎて声を上げるのも馬鹿馬鹿しくなっている。





「さくらちゃんの非常識が始まりましたね!」


 貴賓席ではディーナがその様子を楽しそうに見ている。いい加減慣れたさくらの非常識さに今更驚く彼女ではないが、相変わらずロージーとソフィアはポカンとしている。


「まあ、さくらだったらあのくらいは当然だな」


 元哉もディーナ同様に面白い見ものを見ている表情だ。


「元哉さん、あれは橘様の新しい術式ですか?」


 ディーナは橘が放った術式に興味があったようで、一体どのような物か元哉に説明を求める。


「そうだな、俺を標的にして魔法学校で何度も練習していたぞ」


 元哉は魔法に対してあまり詳しくはないが、橘から説明を受けた事をそのままディーナに話す。そのあまりに高度すぎる術式の内容はディーナにしても想像を絶するものだった。


「でも元哉さん、標的になったって言っていましたけど、あれを受けたんですか?」


 その強力な威力の魔法をまさかまともに受けた訳ではないだろうと思いながら一応聞いてみるディーナ。


「決まっているだろう! 的が動く訳にはいかないからな」


 さらっとすごいことを言ってのける元哉だが、その顔は『何を当たり前のことを聞いているんだ?』と雄弁に語っている。


『何事もないような顔であの術式を食らって無事でいるあなたの方がもっと非常識です』ディーナは心の中で突っ込むことを忘れなかった。



 その間に接近戦に移行したさくらと橘の試合は、シールドを巡る攻防になっている。橘はこれを破られるともはや後がない事を覚悟して全力で最も強力なシールドを次々に生み出すのに対して、さくらは○○百烈拳のように目に見えない速さで拳を繰り出してシールドを突き破る。


 だが思念だけで魔法を発動できる橘の方にこの攻防はわずかに軍配が上がり、次第にその防御力は強化されていく。さくらもここは最大のチャンスとばかりに最大速度で拳を振るうが、橘の防御を破るにはわずかに至らない。


 ようやく防戦一方だった橘は、再び攻撃に回る余裕が出てきた。シールドを生成する傍らで、攻撃魔法の術式を発動する。ここはあまり時間をかけていられないので、単純で威力が有りそれでいて至近距離では避け難いものを選択する。


 橘に魔力が集中する気配を感じたさくらは、再び彼女が攻勢に移る可能性を危惧してそろそろこの場での攻防は終わりにする事を考えている。さくらにとってはすでに十分に目的は果たしているからだ。


 さくらが大きく飛び退き後方に下がるのと、橘の左手から派手な火花を撒き散らして特大の迫雷撃が飛び出したのはほぼ同時だった。


「危ないなー! あんなのをまともに食らったらいくら何でも持たないよ」


 いいタイミングで橘から離れたことに胸を撫で下ろすさくらに対して、あとほんの少しで仕留めるチャンスを逃した橘は『チッ』っと舌打ちする。


 試合は再び遠距離からの打ち合いの様相を呈する。この展開では橘が有利のように思えるが、実は橘は先程のシールドを巡る攻防で魔力の4分の1を消費していた。全魔力を集中的に動員しなければさくらの猛攻を防ぎ切る事が出来なかったので、これは仕方が無いこととは言え少々痛手だ。


 対するさくらはまだ魔力は1割少ししか使用していないし、体力の方はようやく準備運動を終えたばかりのようにまだ有り余っている。


 橘にしてみれば、さくらの馬鹿体力に付き合って長期戦になると不利になるのは最初からわかっていた。ここからはさらに緻密な戦術を組み立てていかないと、相手の思う壺に嵌る事になる。だが彼女はまだ切り札を何枚も隠しており、残された切り札をどこで有効に使うかで彼女の勝機が生まれる。


 さくらは逆にこの展開を歓迎している。橘の魔力を削るだけ削っておくのが今回の戦いの基本方針だった。先程のような機会があと4,5回あれば、橘の魔力を空に出来ると計算している。日常生活の中では計算は全くの苦手だが、戦いの時に限ってはさくらコンピューターは極めて高い性能を発揮する。 


 ようやく目が慣れてさくらの動きを追いかける事が出来るようになった観衆は、刻一刻と変化するこの対戦を固唾を呑んで見守っている。


 そして改めて距離をとった両者の対戦はこの先全く行方がわからないまま、新たな動きを見せようとしていた。

「こんにちはディーナです」


「こんにちはロージーです」


(ディーナ)「今日はいつもこの場を仕切っているさくらちゃんが手が離せないので、私たち二人でこのコーナーをお送りいたします」


(ロージー)「それにしても二人の試合はすごいですね。お互いの実力が伯仲していて、長引いていますね」


(ディーナ)「ロージーさんがそれを言いますか! あなたの戦いで6話も費やしておいて・・・・・・私の出番なんか1話でお終いですよ!」


(ロージー)「その事はまあいいじゃないですか。それだけ私が存在感があるっていうことで」


(ディーナ)「でも6話もかかった割には最後に負けましたよね」


(ロージー)「グサッ! で、でもたとえ負けたにしても、で、出番が多い方がいいし・・・・・・」


(ディーナ)「そういうのを負け犬の遠吠えというんですよ!」


(ロージー)「グサッ! 何とか致命傷ですんだけど、ディーナちゃんちょっとひどくないですか!」


(ディーナ)「この際ですが、元哉さんを争うライバルに徹底的に差をつけるチンャスですので」


(ロージー)「そんな事を言っていると読者のファンを失いますよ!」


(ディーナ)「ドキッ! ロージーさん、今のは無かった事にしてください」


(ロージー)「いやもうすでに大勢の読者の方が目にしていますよ」


(ディーナ)「違うんです、今のはちょっとしたシャレです。そう、ブラックジョークです!」


(ロージー)「判断は読者の方々にしていただきましょう。ディーナちゃんは性格が悪いと思う方はぜひ感想、評価、ブックマークをお寄せください」


(ディーナ)「語るに落ちたな! 一体どちらが性格が悪いんですか! 次回のこのコーナーできっちりと決着をつけましょう! 次の投稿は明日の予定です。それまでに皆さん、どちらの方が性格が悪いか考えておいてください」




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