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83 対抗戦7

二人の戦いに続きが気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。


そこで、出来立てのほやほやですが続きを投稿します。本当は明日投稿しようと思って書いていたんですが、二人の戦いに作者もかなり感情が乗り移って筆が進むのが早い事といったら・・・・・・こんなの滅多にない事です。


ということでどうぞ続きをお楽しみください。

「はじめ!」


 審判の再開の声に先程と同様の動きを開始する両者、まだ二人は様子見の段階なので最初から全力というわけではない。


 高速で動き回るさくらに対して橘はその位置を予測した上で氷の弾丸を放つ。さくらもそれを見越してさらに動きに変化を付けて避けるか、迎撃して粉々に砕く。


 さくらもただ動き回っているわけではない。橘の隙を伺いながら牽制の意味で拳から衝撃波を放っている。自分が攻撃をすればその分橘は防御に魔力を割かなければならなくなるので、攻撃に専念できなくなる。


 その事がわかっているさくらは魔力の残量を考えながら離れた所から橘に衝撃波を放っていく。対して橘は自分の周囲に幾重にも展開するシールドに守られながらも、さくらの一撃を受けるたびにそのシールドが一枚ずつ破られていく。


 先程闘技場全体を覆った『弾性結界』ならばさくらの放つ衝撃波を受け止められるのだが、あれは広い範囲に展開して全体の弾性で衝撃を分散する構造なので、自分の体を包み込む小さなシールドには向いていない。


 それどころか一旦凹んで衝撃を受け止めるので、その時に自分の体に結界自体がぶつかる危険がある。このような理由で橘は弾性結界ではなく使い捨てのある程度硬度を持ったシールドを10枚以上重ねて展開している。


 そして彼女はさくらによってそのシールドが何枚か破られるたびに、まとめてシールドを追加して防御力を保っている。この状況はさくらの思惑通りであったが、橘にとっても想定内の事で然程気にする必要はない。


 もっともこの程度の防御力では、さくらの接近を許して直接強力な一撃を受けると一溜りも無い事は橘も承知している。要は接近を許さずに、さくらの隙をついて魔法を当てる・・・・・・それが橘の戦略だった。


 打ち出された氷の弾丸をさくらが砕く、それが目で追えない程の高速で展開されていく。さくらが放つ衝撃波の音と氷が砕ける音、それに時折シールドが砕ける『パリン』という乾いた音が連続して聞こえて二人の戦いは序盤から白熱する。



 魔法学校の生徒が固まって座っている席で、生徒会の役員たちと一緒にこの戦いを観戦しているフィオレーヌは呆然としていた。


 魔法の運用については自信がある。魔力が高過ぎるために初級魔法しか使っていないが、その気になれば最上級魔法すら使用できる。


 だが今目の前で行われているこの戦いは一体何だ? あんなに速い速度で動く者に照準を付けて、それも未来位置を予測して魔法を放つ! そんなこと人間の頭脳で計算出来る演算量を超えている! 一体どうやって橘はこの膨大で緻密な計算を行っているというのだ? 


 それに正確な計算に基づいて打ち出される魔法をかわしたり迎撃しているさくらとはどんな運動神経をしているのだ? 


 二人の戦いは彼女の理解すら超えている。それはまるでSF映画に出てくるような、巨大な宇宙戦艦とそれを何とか叩き落そうと飛び回る戦闘機の群れの戦いとでも表現すればしっくり来るような光景だ。


 さくらはもちろん一人で橘に戦いを挑んでいるのだが、その動きはまるで大勢で中央に陣取る橘を取り囲んでいるようにも見える。


 フィオレーヌの周囲の生徒には『ものすごく速くて目で追えない戦い』程度にしか見えていないが、彼女にだけはこの戦いの真の姿が理解出来ている。



 そして貴賓席ではロージーとソフィアが目を丸くしてその戦いを見つめている。だがディーナだけは彼女たちとは全く違う見解を持っていた。


「まだまだこんな所で驚いてはだめですよ! 橘様もさくらちゃんも全然本気なんか出していませんからね!!」


 自信たっぷりに言い切るディーナに二人は信じられない様子で元哉の方を見る。


「ディーナの言う通りだな。橘はまだ初級魔法しか使っていないし、さくらはあと3回は変身の余地を残している」


 全く何事も無いように言い切る元哉に『一体あの二人はどこまで行ってしまうのだろう?』とかえって不安になる二人。


 元哉は昨日のロージーに対する言葉といい、この戦いの見立てといい、成長したディーナを頼もしそうに見ている。だがあえてその事には触れずに、戦っている二人に視線を戻す。


「まあゆっくりと見ていればいい」


 それだけ言って彼は試合の行方を黙って見つめる。


 少し離れた席では、皇女アリエーゼが口をポカンと開けて試合を見ている。普段はわりと凛々しい振る舞いを心がけている彼女にしてはまったく隙だらけの表情だ。それだけこの戦いの与える衝撃が強いのだろう。皇女の周囲のメイドたちも皆似たような表情をしている。


 彼女たちはこれでも特殊旅団の訓練生として元哉とさくらに鍛えられているのだが、それでもこの有様だ。



 相変わらず様子見の駆け引きを繰り返していたさくらと橘だが、ここで試合が大きく動き出す。さくらがギアを一段階引き上げて身体強化を発動する。


 動き回ったままその小さな体が燃えるような赤い魔力に包まれ、その一つ一つの動作にさらに素早さとキレを増していく。


 速度に物を言わせて橘に接近しようとするさくらだが、橘はそれを待っていた。


 動く速度が増すほど慣性が働き、方向転換や急停止が困難になる。そこにつけ込もうとする橘は左手で相変わらず氷弾を放ちながら、その右手は小さくて複雑な動きを始める。


 さくらは橘の微妙な変化をその眼で捉えてはいたが、その意図がわからなかったので橘に向かって構わずに突進する。


 そしてあと10メートルでその体が橘に触れるところまで到達した時に、突然足元の地面が爆発した。


 その威力に吹き飛ばされて宙を舞うさくらだが、空中でうまく体を捻って橘をはるかに飛び越えた位置に見事に着地を決める。ただし爆発の衝撃で口の中を切ったのか、一筋の血がその口から流れていた。


 口の中に生じた鉄の味を感じて『ペッ』とその血糊を吐き出して逆に二ンマリと笑うさくら。一瞬だけ二人の間で時間が止まったようにその動きが停止した。


「ふふん、さすがはなちゃんだね。私が血を流すなんて2年ぶりだよ」


 橘の目を見て全く恐れた様子も無く不敵に笑う。対する橘は一つ目の切り札をあっさりと破られたが、その表情は全く変わっていない。


「まったく・・・・・・わが姉ながらどれだけ丈夫に出来ているの! これで仕留めるつもりだったのに」


 口振りとは裏腹にまだ余裕の表情をしたままで橘はその場に立っている。一見さくらにダメージを与えたように見えるが、まだまださくらにも余力がたっぷりと残っている事がわかり追撃はすでに諦めている。


 橘がさくらに対して仕掛けたのはそれほど難しい術式ではなかった。土魔法でさくらの踏み込む位置に魔法陣を描き地雷を仕掛けただけのことだ。先程橘の右手が細かく動いていたのはこの魔法陣を描くためだった。


 フィオレーヌの魔法運用を参考にして離れた所に魔力を飛ばしてそこに魔法陣を描く。もちろん橘でないとこのような精緻な魔法は実現できない。


 そこに踏み込んださくらは見事に吹き飛ばされたのだが、足が地面についた瞬間に違和感を感じて躊躇う事無く全力でジャンプしたためにダメージは吹き飛んだ土くれが唇に当たっただけだ。もちろんその闘志は衰えるどころか、自らの血を見て逆に燃え上がっている。


「今度は油断しないよ! さて、再開しようか」


 さくらの声ともに再びその姿が消えうせる。橘はその一歩先に氷弾を打ち込む。先程までの攻防の繰り返しが始まる。


 その動きの中でさくらは考える。


『あの地雷攻撃は初めて見る魔法だったけど、対処法はわかったから今度仕掛けてきたら逆に利用してやる』


 対する橘もさくらに氷弾を放ちながら考える。


『さくらちゃんの事だからきっと地雷に対する策も考えているでしょうね。おそらく逆に利用して接近を図るといったところかしら・・・・・・それならそれでこちらにも対策はあるわ』


 めまぐるしく動きながらも相手を出し抜くための駆け引きを繰り返す二人、この先の戦いはさらにヒートアップしていく。

 

「こんにちはディーナです。このところ投稿のスケジュールが全く当てにならなくてすみません。でも遅れるよりも早い方がいいですよね。という事で今回は断言します。次の投稿は明日です! 絶対に間違いありません! これを書いている人が言っていました。その人は年が明けてようやくひと時の休みが取れて、その時間をほぼ執筆に費やしているそうです。作者の頑張りに対してどうか感想、評価、ブックマークをお願いいたします。それから年が明けてからたくさんのブックマークをいただきました。本当にありがとうございました」

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